1話 強箱?
引きこもりだった俺は家族が旅行に出ている間に風邪を拗らせ、たぶん肺炎であっさり死んだ。コロナ的な物だった可能性もある。
救急車を呼べば助かったかもしれないが、意識朦朧としていた上に筋金入り(実家から一切出ない)引きこもりの俺にはハードルが高った。
享年17歳。最終学歴小学4年生。こんなもんか。まぁ親の心配の種がさっくり消えた。という意味では親孝行できたかな。
···
······
·········お?
森、だ。森にいる。木の精油、草いきれ、土の発酵臭、鳥や獣や虫の鳴き声、草木が風に揺れる音。
小学生の頃、不登校を心配して親にアウトドアセラピー? みたいなのに参加させられたことが何度かあった。なんか宗教みたいで楽しくなかったけど、自然の記憶はまだあった。
俺は身体を起こした。
「こ、コスプレ?」
俺は某古典JRPGの『布の服』みたいな格好をしていた。革のポーチと、簡素な靴、近くに『檜の棒』まで落ちている。
「げ、ゲームモチーフの、ふ、フルダイブ型医療の治験、と、とか??」
だとすると俺はなんらかの経緯で医療機関に保護されているはずだが、ちょっと都合良過ぎるか? 大体技術が進み過ぎてるし、あったとしても俺? て話だし、なによりこんなことになるってことは相当状態悪いんだろう。
「ま、ま参った、な···」
身体は清潔にされていて髪も短髪になり、薄くあっまはずの髭も伸びてないがヒョロヒョロに細く色白で猫背であることは変わりなし。
「も、モデリングリアル、す、過ぎ。···げ、ゲームじゃなくて、い、異世界、て、転移、とか??」
ダメだ。さっぱり判断材料がない。
わからないが取り敢えず俺は、檜の棒を拾って立ち上がった。と、
ガサガサっ!
近くの茂みからっ、
ぽよ〜ん!! 飛び出してきたっ。
「お、おおーっ?! す、すすスライムっ? 顔付いてない、た、タイプっっ」
そうスライム! 半透明の流動体のクリーチャーが現れた。結構デカいっ。内部に核らしいのもある。
「な、なんかま、魔法とか、ひ、必殺技的なのは、な、ないのか??」
ぐぅっ、あったとしてもやり方がわからんっ。
スライムは飛び掛かってきたっ。
「ひぃっ」
無理だっ、家の階段の昇り降りするだけで息が上がる俺がこんなデカい餅みたいなバケモノと棒切れ1本で戦うなんてっっ。
根っからのイジメられっ子でもある俺はその場に屈み込んで頭を抱えた! ゲームでも異世界でも、モンスターとバトルとか俺にはハード過ぎるってっ。
しかし、
バスゥッ!! バットで餅の塊でも殴ったような衝撃音と謎の『弾いた感触』。
「ふぇ?」
よくわからないが、一瞬俺の周囲の『光の箱』が包んでスライムを弾き飛ばしていた!
今のが会心の一撃だったのか? 上手い具合にスライムの中の核が砕け、一気にベチャっと水っぽく潰れてスライムは動かなくなった。
「た、倒した、のか?」
なんだ今の?? ちょっと疲れた気もする? また立ち上がるが、光の箱はもうどこにもない。
「な、なんだ? し、システムが、わ、わからない···ん?」
スライムの死骸? になんか大きい四角のグミみたいな物が落ちていた。
「こ、これは、ドロップあ、アイテ、ム??」
拾ってみる。硬いグミっぽい。
スライムは死んでもデジタル的な処理で消えたりせずにその場に残り続けてる。
「い、異世界転移率上がったき、気がする。で、でもゲームなら、か、観測されてるはず」
キョロキョロする俺。見られてる可能性があるならあんまり変なことできないな···
取り敢えず粘液の付いてるグミっぽいのを服で拭き、ポーチにしまっておこうとした、すると、紙に手が当たった。
取り上げてみると畳まれた荒い目の紙だった。
「な、なんだろ?」
拡げてみると見知らぬ文字で短く、なにか2つの文が書かれていんだが、一瞬でそれが日本語に変換された!
「?!」
そこには『ステータスオープン!』『君は勇者!』と走り書きされていた。
「ゆ、勇者、設定?? す、ステータスオープンて」
俺がそう呟いた途端、目の前にいわゆるゲームステータス画面が表示された!
「ええーっ?」
内容は、
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名前 タケル 性別 男 種族 人間 職業 勇者 年齢 17 レベル1
体力F 魔力E 精神力G 力F 守りF 速さF 器用さD 賢さD 運S
スキル 強箱
強箱派生スキル 反射箱、鉄箱、休眠箱、隠行箱
スキル 共通語日本語変換
獲得魔素2
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となっていた。
「つ、強箱て、な、なんだよぉーーっ??!!!」
絶体癖強い能力だっっ。




