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追放された支援魔法使い、誰も気づかない"歩きやすさ"で世界を変える  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)


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第19話「継承」

第19話「継承」



 世界中央支援魔法局が設立されてから、二年が過ぎた。

 その間に、支援魔法の理念は、さらに多くの国に広がった。

 世界中で、三百人以上の支援魔法使いが働いている。

 育成学校も、十を超える数になった。

 支援魔法の理念は、もはや一国の制度ではなく、世界規模の運動になっていた。


 ある日、僕はエドワード部長から呼ばれた。

「優真さん、少し相談があります」

「何ですか?」

「実は、僕ももう年ですし」

 エドワード部長は言った。

「そろそろ、後任を決めるべき時だと思うんです」

「後任?」

「施設管理部の部長として、後を継ぐ者です」

 部長は説明した。

「君は今、世界中央支援魔法局の長として、多忙だと思う」

「そうですね」

「だから、王城の施設管理部は、別の者に任せるべきだと思うんです」

「それは、誰になるんですか?」

「第一期生のジャックはどうでしょう?」

 エドワード部長は提案した。

「彼は、これまで多くの現場で経験を積んでいます。十分に適任だと思います」

「そっか。良い考えですね」


 その週末、ジャックに相談した。

 彼は、施設管理部の部長に任命されることについて、少し驚いていたが、すぐに承諾した。

「局長、わかりました」

 ジャックは言った。

「王城の施設管理部を、任せていただきます」

「ジャック、頼みますね」

「はい。これまで、局長から学んだ全てを、活かしたいと思います」


 同じ時期に、リサからも相談を受けた。

「局長、実は結婚することになりました」

 リサは嬉しそうに言った。

「相手は、採鉱町の採掘者です」

「そっか。良かったね」

「ありがとうございます」

 リサは続けた。

「それで、採鉱町に移住することになりました」

「そうなんですか」

「採鉱町で、支援魔法使いとして働くつもりです」

「良い決断ですね」

「はい。採掘者たちと協力して、さらに安全で、快適な採掘環境を作っていきたいです」


 多くの第一期生たちが、新しいステージに進んでいた。

 王城の施設管理部の部長になる者。

 結婚して、地域に根ざす者。

 さらに高度な魔法を開発する者。

 誰も気づかない"歩きやすさ"を、様々な形で実現していた。


 ある日、第五期生の卒業式を見ていた時、僕は思った。

 これまで育成してきた支援魔法使いたちが、今、全世界で働いている。

 彼らは、僕の理念を受け継いで、さらに発展させている。

 僕の仕事は、もう、支援魔法の技術を教えることだけではない。

 理念を継承することだ。

 そして、その理念を、次の世代に渡すことだ。


 その夜、リリアが僕に重要な話を持ってきた。

「優真さん、あなたについて、提案があります」

「何ですか?」

「あなたは、もう十年以上、支援魔法のために働き続けてきています」

 リリアは言った。

「十年は、本当に長い時間です」

「そうですね」

「そろそろ、後任を育成する時だと思います」

 リリアは続けた。

「世界中央支援魔法局の長として、後を継ぐ者です」

「後任を?」

「ええ。あなたは、その長を育成することに専念してもいいと思うんです」

「……」

 僕は少し考えた。

 本当に、後を譲る時が来たのか。

 でも、リリアの言う通りだ。

 支援魔法の理念が、多くの人に継承されるためには、僕がずっと前に立つ必要はない。

「わかりました」

 僕は決断した。

「世界中央支援魔法局の長として、後を継ぐ者を育成します」


 その候補者として、僕が選んだのは、複数期の生徒たちの中から、最も才能を示していた者だった。

 名前はアルトゥール。

 三十代の男性で、元々は別の国の支援魔法使いだった。

 彼は、世界中央支援魔法局のスタッフとして働いていた。

 その能力と理念の深さは、本当に素晴らしかった。

「アルトゥール、来てください」

 僕は彼を呼び出した。

「はい、局長」

「実は、君に大切な役割をお願いしたいんです」

 僕は言った。

「世界中央支援魔法局の次の長として、準備をしてもらいたいんです」

 アルトゥールは少し驚いた。

「え? 僕が?」

「ああ」

 僕は続けた。

「君は、支援魔法の理念を、誰よりも深く理解している」

「……」

「だから、次の世代を導く長として、君が最適だと思う」

「局長、ありがとうございます」

 アルトゥールは頭を下げた。

「責任の重さを感じますが、全力で頑張ります」


 その日から、アルトゥールの本格的な育成が始まった。

 僕は、彼に、支援魔法の全てを教えた。

 技術だけではなく、理念、心構え、国際協力の在り方。

 全てを、丁寧に教えた。

 アルトゥールは、真摯にそれを学んだ。


 一年が過ぎた時、アルトゥールは本当に成長していた。

「局長、これまで本当にありがとうございました」

 アルトゥールが言った。

「あなたから学んだ全てが、僕の財産になります」

「そっか」

「そして、これからは、僕も、あなたのように、支援魔法の理念を世界に広げていきたいです」

「そうですね」

 僕は微笑んだ。

「君なら、できる」


 国王に報告した時、陛下は承認した。

「アルトゥールが次の長ですか」

「はい、陛下」

「良い選択だ」

 国王は言った。

「優真さんは、これまで本当にお疲れ様でした」

「ありがとうございます」

「これからは、新しい長の下で、支援魔法の理念は、さらに発展していくでしょう」

 国王は続けた。

「そして、君は、別の役割を果たすかもしれませんね」

「別の役割?」

「ああ。まだ、わかりませんが」

 国王は微笑んだ。

「人生は、長いもんです。次は、どんな道が待っているか」


 その夜、城壁の上で、アルトゥールと一緒に立った。

「局長、本当にありがとうございました」

 アルトゥールが言った。

「あなたのおかげで、僕は、支援魔法の理念を学ぶことができました」

「君が学びたかったんだ」

 僕は答えた。

「僕は、ただ道を示しただけだ」

「いえ」

 アルトゥールは首を振った。

「あなたは、道を示すだけではなく、心を教えてくれました」

「心?」

「ええ。派手ではなくても、確実に誰かを幸せにする。その心です」

 アルトゥールは言った。

「あなたのその心が、全世界の支援魔法使いたちを導いてきたんだと思います」

「そっか」

 僕はアルトゥールを見つめた。

「これからは、その心を、世界の人々に伝えてください」

「はい。約束します」


 アルトゥールが、正式に世界中央支援魔法局の長に任命されたのは、その翌月だった。

 式典には、複数の国の代表者たちが集まった。

 彼らは、アルトゥールの任命を承認した。

 そして、支援魔法の理念が、新しい長の下で、さらに発展することを祈った。


 その日の夜、僕はガルドに手紙を書いた。

『ガルドへ

 十年以上の月日が過ぎました。

 あなたが僕を信じてくれた時から、本当に多くのことが起きました。

 城下町での小さな仕事から始まり、今は世界全体で、支援魔法の理念が広がっています。

 そして、ようやく、僕も後を譲る時が来ました。

 アルトゥールという素晴らしい後継者に、世界中央支援魔法局の長を譲りました。

 これからは、僕も新しい役割を探すことになるでしょう。

 でも、ずっと忘れません。

 あなたが、追放された僕を信じてくれたこと。

 あなたが、僕の魔法に価値を見出してくれたこと。

 あなたがいなかったら、今の僕は存在しなかったでしょう。

 本当にありがとうございます。

 これからも、城下町で一緒に働きましょう。

 優真より』

 手紙を書き終えて、僕は窓の外を見た。

 王城が、月明かりに照らされている。


 十年以上の長い時間。

 追放されたあの日から、本当に多くのことが起きた。

 支援魔法の理念が、全世界に広がった。

 多くの人々が、同じ理念の下で働くようになった。

 そして、今、僕は、後を譲ることができた。

 人生は、本当に素晴らしい。


 最悪だと思ったことが、実は最高の転機だったり。

 失望だと思ったことが、実は希望だったり。

 そして、自分の役割が終わる時が来たら、素直に次の世代に譲ることができたり。

 それが、人生なんだ。


第19話 了


次回、第20話「新しい夢の始まり」に続く


読んで下さりありがとうございました!

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Youtubeにて作品公開中!

再生リスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLmiEOdmheYJyF0sHOSkv5vVRaqmR3BzOs

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