第18話「運命の再会」
第18話「運命の再会」
国際支援魔法会議から、一年が過ぎた。
その間に、さらに三つの国が、支援魔法ネットワークに参加した。
世界中で、百以上の支援魔法使いが働いています。
育成学校も、複数の国に設立されました。
支援魔法の理念は、本当に世界中に広がっていた。
ある日、予期しない来客があった。
懐かしい顔だった。
レオンのパーティーのメンバーの一人、ダンだった。
「優真、お疲れ様です」
ダンは深く頭を下げた。
「ダン? 何か用ですか?」
「実は、お願いがあって来ました」
ダンは言った。
「僕たちのパーティーには、いい仕事が来ないんです」
「そうなんですか」」
「実は、最近、多くの依頼が、支援魔法の分野に流れているんです」
ダンは説明した。
「攻撃力のある冒険者より、環境を整える魔法使いのほうが、ずっと評判が良い」
「そっか」
「だから、僕たちも、支援魔法の方向に、転換したいと思ったんです」
ダンは続けた。
「でも、僕たちは攻撃魔法を使ってきたので、支援魔法のことは全くわかりません」
「なるほど」
「だから、君の育成学校に、僕たちのパーティーメンバーを入学させてもらえないかと思って」
ダンは頭を下げた。
「お願いしたいんです」
僕は少し驚いた。
レオンのパーティーの者たちが、支援魔法を学びたいと。
それは、何かの皮肉だろうか。
それとも、運命だろうか。
僕は少し考えた。
「わかりました」
僕は言った。
「ただし、条件があります」
「何ですか?」
「支援魔法は、派手ではありません。名声も名誉も求めません」
僕は真剣に言った。
「それでもいいですか?」
「はい」
ダンは躊躇なく答えた。
「僕たちも、やっと気づいたんです。派手な仕事より、地道な仕事のほうが、人々に喜ばれるということを」
「そっか」
「それなら、育成学校に来てください」
翌週、ダンとセリア、そしてエリカが、育成学校に入学した。
レオンは、パーティーの運営の関係上、参加できなかったが、少なくとも二人は参加することになった。
初日の講義で、僕は彼らに向かって言った。
「皆さん、ようこそ」
僕は教室に立った。
「ここで学ぶことは、派手ではない魔法です」
僕は続けた。
「ですが、その価値は何よりも大きい。それを理解してください」
「はい」
「そして、自分たちの過去と向き合ってください」
僕は言った。
「これまで、派手な魔法を使ってきたかもしれません。でも、これからは、誰も気づかない支援を、積み重ねていく」
セリアが手を上げた。
「優真さん、質問があります」
「何ですか?」
「あなたは、私たちを許してくれますか?」
セリアは真剣な顔で聞いた。
「追放した時のことです」
「……」
僕は少し考えた。
「許す、ではなく」
僕は言った。
「感謝しています」
「感謝?」
「ああ。もし追放されなかったら、今の僕はいません」
僕は続けた。
「だから、僕は恨んでいません。ただ、新しい道が与えられたことに、感謝しているんです」
セリアは涙を流した。
「ありがとうございます」
セリアとエリカの学習は、非常に真摯だった。
彼らは、派手な魔法ではなく、地道な支援を積み重ねることの価値を、少しずつ理解していった。
ダンも、毎日、質問や相談に来た。
「優真さん、僕の魔法は本当に使い物になるでしょうか?」
ダンが不安げに聞いた。
「君の魔法は、本当に素晴らしい」
僕は答えた。
「派手ではないかもしれませんが、確実に誰かの役に立つ」
「本当ですか?」
「本当だ」
僕はダンの肩に手を置いた。
「君たちは、これまで派手な魔法を使ってきた。だが、これからは、目立たない魔法を使う」
僕は言った。
「その転換は、簡単ではないかもしれません。でも、やる価値がある」
「わかりました」
三ヶ月の修行期間を終えて、セリアとエリカが卒業を迎えた。
ダンは、さらに勉強を続けることにした。
卒業式の日、セリアが僕に言った。
「優真さん、ありがとうございました」
セリアは深く頭を下げた。
「これからは、僕たちも、支援魔法使いとして働きます」
「頑張ってください」
「はい」
セリアとエリカは、微笑んで学校を去っていった。
その夜、リリアが僕に話しかけた。
「素晴らしい卒業式でしたね」
「そうですね」
「優真さんは、本当に懐の大きい人ですね」
リリアは言った。
「追放した者たちを、教え、育てるなんて」
「それが、正しいことだと思ったから」
僕は答えた。
「支援魔法の理念は、全ての人に開かれているべきだと思ったから」
「その通りですね」
リリアは微笑んだ。
「優真さんの優しさが、この理念の最大の強さだと思います」
翌月、セリアとエリカが派遣される地域が決まった。
セリアは、港町に派遣されることになった。
エリカは、農村地帯に派遣されることになった。
彼らは、僕のかつての同僚たちだ。
追放した者たちだ。
でも、今、彼らは僕と同じ理念を持つ同志だ。
派遣前の最後の日、セリアが僕を訪ねてきた。
「優真さん、本当にありがとうございました」
「セリア」
「あの時、追放してしまって、申し訳ありません」
セリアは謝った。
「でも、今、わかります。あの追放があったから、あなたはここまで成長したんだ」
「そうですね」
「これからは、僕たちも、あなたと同じように働きます」
セリアは言った。
「派手ではなく、地道に。でも、確実に人々を幸せにするために」
「ありがとう」
僕は心から感謝した。
セリアとエリアが派遣されて、一ヶ月が過ぎた。
港町からは、セリアについての良い報告が届いた。
『セリアは、港の環境を素晴らしく整備してくれました。労働環境が大きく改善され、作業効率も上がりました。彼女の活動に、港の全員が感謝しています』
農村地帯からは、エリカについての良い報告が届いた。
『エリカは、農業の効率化に大きく貢献しました。彼女の支援魔法により、農民たちの労働が軽くなり、同時にもっと多くの作物が栽培できるようになりました』
その報告を読んで、僕は本当に嬉しかった。
追放した者たちが、今、僕と同じように働いている。
同じ理念の下で働いている。
人生は、本当に不思議だ。
ある日、リリアが重要な話を持ってきた。
「優真さん、提案があります」
「何ですか?」
「今、支援魔法の理念が、世界中に広がっています」
リリアは言った。
「ですが、それを統合する『中央機関』が必要だと思うんです」
「中央機関?」
「ええ。各国の支援魔法使いたちが、情報を共有し、協力し合うための、中央機関です」
「なるほど」
「そして、その長として、あなたがふさわしいと思うんです」
リリアは言った。
「世界中央支援魔法局。その長として」
「世界中央……」
僕は少し驚いた。
「ですが、まずは国王陛下に相談すべきですね」
国王に相談した時、陛下は即座に承認した。
「素晴らしい考えだ」
国王は言った。
「世界中央支援魔法局。その長として、君以上の適任者はいない」
「ありがとうございます」
「この局は、単なる行政機関ではなく、人類全体の為の機関になるだろう」
国王は続けた。
「君の理念が、世界全体を支えることになる」
「頑張ります」
翌年、世界中央支援魔法局が、王城に設立された。
複数の国から、優秀な支援魔法使いたちが集められた。
彼らは、世界中の支援魔法使いたちの活動を監督し、情報を共有し、新しい理念を開発する。
その長として、僕が任命された。
初日、全員が集まった時、僕は言った。
「皆さん、ようこそ」
僕は皆に向かって言った。
「ここは、世界中の支援魔法使いたちが集まる場所です」
「はい」
「ここで、我々は、新しい理念を開発します」
僕は続けた。
「派手ではない。名声も名誉も求めません」
「でも」
僕は声を大にした。
「確実に、世界全体を支える」
全員が、真剣に頷いた。
その夜、僕は城壁の上に立った。
星が輝く夜空が広がっている。
追放されたあの日から、どれほどの時間が過ぎたのか。
どれほどの距離を歩んだのか。
でも、今、僕はわかっている。
全てが、正しい道だったということを。
レオンのパーティーから追放されたあの日。
城下町で、ガルドに出会ったあの日。
王城で、リリアに出会ったあの日。
全てが、必然だったんだ。
そして、全てが、僕を導いていた。
誰も気づかない"歩きやすさ"で、世界全体を支える、その道へ。
第18話 了
次回、第19話「継承」に続く
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