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追放された支援魔法使い、誰も気づかない"歩きやすさ"で世界を変える  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)


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第17話「絆の輪」

第17話「絆の輪」

 隣国への派遣から、半年が過ぎた。

 その間に、隣国の育成学校も完成し、最初の生徒たちが卒業を迎えようとしていた。

 同時に、第五期生が、僕の学校に入学してきた。

 支援魔法使いの数は、全国で百五十人を超えていた。

 隣国でも、五十人以上の支援魔法使いが育成されていた。

 誰も気づかない"歩きやすさ"の輪は、確実に広がっていた。


 ある日、僕はガルドの手紙を受け取った。

『優真へ

 最近、城下町にも変化が起きている。

 派遣された新しい支援魔法使いが、城下町に来たんだ。

 彼は、君から育成学校で学んだ者だそうだ。

 彼の魔法も、君と同じく地味だが、確実に街を変えている。

 後継者が現れたってことか。

 本当に良かったな。

 これからも、頑張ってくれ。

 ガルドより』

 手紙を読んで、僕は涙ぐんだ。

 ガルドの言う通りだ。

 もう、僕一人で全てを支える必要はない。

 多くの同志たちが、同じ理念を持って、全国で働いている。

 その輪は、もう止められない。


 その週末、僕は城下町に行くことにした。

 ガルドの手紙の内容について、直接確認したかったのだ。

 城下町に着くと、ガルドが出迎えてくれた。

「優真、久しぶりだな」

「ガルド、お疲れ様です」

「新しい支援魔法使いのことで、来たのか?」

「はい」

 ガルドは僕を新しい魔法使いの所に案内した。

 彼の名前は、マルクスといった。

 三十代の男性で、まじめそうな雰囲気を漂わせていた。

「マルクスさん?」

「はい、優真さんですね」

 マルクスは深く頭を下げた。

「育成学校では、あなたの生涯を学びました」

「生涯?」

「はい。追放から始まり、城下町での活動、王城での活動、全国への展開。全て学びました」

 マルクスは言った。

「そしてわかりました。支援魔法の本質を」

「本質?」

「ええ。派手ではなくても、確実に誰かを幸せにすること。その喜びです」

 マルクスは真剣な目で言った。

「今、城下町で働かせていただいて、その喜びを実感しています」


 その夜、ガルド、マルクス、そして僕で、酒場で飲むことにした。

「マルクスさんは、どうして支援魔法使いを志したんですか?」

「正直に言うと、最初は派手な魔法を使いたかったんです」

 マルクスは答えた。

「でも、育成学校で優真さんの話を聞いて、考え方が変わりました」

「どう変わったんですか?」

「派手さが全てではない。むしろ、目立たないことの価値がある。そのことに気づきました」

 マルクスは言った。

「それからは、支援魔法に真摯に向き合うようになりました」

「良かったね」

 僕はマルクスに微笑んだ。

「これからも、頑張ってください」

「はい。城下町の人々と協力して、さらに良い街を作っていきます」


 城下町での滞在中、僕はマルクスが仕事をしている様子を、じっと見守っていた。

 彼は、ガルドと共に、街の整備を行っていた。

 その姿は、かつての僕と同じだった。

 黙って、静かに、魔法をかけ続ける。

 誰も気づかないように。

 でも、確実に街を変える。

 マルクスは、本当に支援魔法の本質を理解していた。


 滞在の最後の夜、ガルドと二人で城壁の上に立った。

「優真」

 ガルドが言った。

「お前が来た時、この街は本当に地味だった」

「そうですね」

「だが、お前の魔法で、少しずつ変わっていった」

 ガルドは街を見下ろした。

「そして、今、マルクスのような後継者が現れた」

「ガルド」

「これが、本当の成功だと思うんだ」

 ガルドは僕を見つめた。

「お前が作ったものが、お前がいなくなっても、ずっと続いていく」

「……」

「それって、素晴らしいことじゃないか」

 ガルドはそう言って、僕の肩を叩いた。


 王城に戻った時、エドワード部長から重要な報告を受けた。

「優真さん、隣国だけではなく、さらに遠い国からも、協力要請が来ています」

「さらに遠い国?」

「ああ。支援魔法の理念が、国境を越えて、さらに遠くまで伝わっているんです」

 部長は説明した。

「今、五つの国が、協力を申し込んでいます」

「五つの国……」

「支援魔法の国際ネットワークを作るべき時が来たと思います」

 エドワード部長は言った。

「複数の国の支援魔法使いたちが、情報を共有し、協力し合う。そういう仕組みです」

「それは良い考えですね」


 その日の午後、国王に報告した。

「複数の国が、支援魔法の協力を申し込んでいるんですか」

「はい、陛下」

「素晴らしいことだ」

 国王は言った。

「君の理念は、本当に人類全体の財産になろうとしている」

「ありがとうございます」

「では、国際ネットワークの構築を進めなさい」

 国王は指示した。

「各国との協力を深め、支援魔法の理念を、世界中に広げるんだ」

「わかりました」


 翌月、僕はリリアと共に、国際ネットワークの計画を立てた。

「複数の国の支援魔法使いたちが、定期的に集まる場を作るのはどうですか?」

 リリアが提案した。

「集まる場?」

「ええ。各国での活動成果を共有したり、新しい理念を討論したり。そういう場です」

「いいですね」

「定期的に開催することで、支援魔法の理念が、世界中で発展していくと思います」

「そうですね」


 その年の秋、初めての国際支援魔法会議が開催された。

 王城の大広間に、五つの国の代表者たちが集まった。

 各国から、選ばれた支援魔法使いたちが参加した。

「皆さん、ようこそ」

 僕は全員に向かって言った。

「ここに集まった皆さんは、同じ理念を持つ者たちです」

「はい」

「誰も気づかない『歩きやすさ』を作ること。それが、我々の使命です」

 僕は続けた。

「派手ではありません。名声も名誉も求めません」

「ですが」

 僕は声を大にした。

「確実に、人々を幸せにしています」

「その通りです」

 隣国の代表が頷いた。

「我が国でも、支援魔法使いたちの活動で、大きな変化が起きました」

「我が国でも」

 別の国の代表が言った。

「支援魔法の理念は、本当に素晴らしい」


 会議の最後に、全員で誓いを立てることにした。

「我々は、支援魔法の理念を守り続けることを誓います」

 僕が言った。

「派手さなく、名声を求めず、ただひたすらに『歩きやすい世界』を作り続けることを」

「誓います」

 全員が、一つの声で答えた。

 その時、僕は感じた。

 支援魔法の理念が、もはや一人の人間のものではなく、世界中の多くの人々のものになっていることを。


 会議の後、リリアが僕に声をかけた。

「素晴らしい会議でしたね」

「そうですね」

「優真さんの理念が、世界中に広がっています」

 リリアは言った。

「追放されたあの日から、ここまで来るなんて」

「本当にそうですね」

「でも、まだ、始まったばかりです」

 リリアは微笑んだ。

「これからもっと、支援魔法の理念は広がっていくでしょう」

「そうだといいですね」


 その夜、新しい手紙を書いた。

 今度は、世界中の支援魔法使いたちへの手紙だ。

『全ての同志たちへ

 初めての国際支援魔法会議が、無事に終わりました。

 そこで感じたのは、支援魔法の理念が、もはや一国のものではなく、世界中の人々のものになっているということです。

 派手ではない。名声も求めません。

 でも、確実に人々を幸せにしています。

 そして、その喜びを感じている人たちが、世界中にいます。

 これからも、共に歩み続けましょう。

 誰も気づかない"歩きやすさ"で、世界全体を支えるために。

 優真より』

 手紙を書き終えて、僕は城壁の上に立った。

 星が輝く夜空が広がっている。

 その星の下で、全世界の支援魔法使いたちが働いている。

 誰も気づかない。

 でも、確実に世界は変わっていっている。


 追放されたあの日から、多くの時間が過ぎた。

 多くの距離を歩んだ。

 多くの人々と出会った。

 そして、その全てが、支援魔法の理念の下で、つながっていた。

 ガルド、リリア、エドワード部長、トーマス、マルクス。

 そして、世界中の支援魔法使いたち。

 全ての人々が、同じ目標に向かって働いている。

 誰も気づかない"歩きやすさ"で、世界全体を支えるために。


 その時、僕は本当に思った。

 人生は、素晴らしい。

 最悪だと思ったことが、実は最高だったり。

 失望だと思ったことが、実は転機だったり。

 大切なのは、そこからどう歩き続けるか。

 その先を、どう見るか。

 それなんだ。


第17話 了


次回、第18話「運命の再会」に続く


読んで下さりありがとうございました!

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Youtubeにて作品公開中!

再生リスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLmiEOdmheYJyF0sHOSkv5vVRaqmR3BzOs

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