表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された支援魔法使い、誰も気づかない"歩きやすさ"で世界を変える  作者: 自ら(Youtubeで朗読ver投稿中‼️)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/20

第1話「追放の日」

第1話「追放の日」



「お前、もういらないから」

 その言葉を聞いた時、僕――優真は、何も言い返せなかった。


 パーティーリーダーのレオンが、いつもの調子で腕を組みながらそう告げる。

彼の隣には魔法使いのエリカ、僧侶のセリア、盗賊のダンが立っている。

みんな、僕と一緒に冒険してきた仲間だ。

いや、仲間だったと言うべきか。


「支援魔法使いって言っても、お前の魔法、地味すぎるんだよ」

 レオンの言葉に、エリカが頷く。


「そうよ。

私の攻撃魔法や、セリアの回復魔法みたいに、目に見えて役に立つわけじゃないし」

「戦闘中も何してるかよくわかんないしさ」

 ダンまでもがそう言った。


 セリアだけは少し申し訳なさそうな顔をしていたけれど、それでも反対はしなかった。


「だから、これで解散ね。

まあ、悪く思わないでよ」

 レオンはそう言うと、ギルドカードから僕の名前を削除した。

パーティーメンバーリストから、僕の名前が消える。


 ああ、本当に終わったんだ。


 僕は何も言えず、ただその場を離れた。



 僕の魔法は、確かに地味だ。


 支援魔法使いと言っても、攻撃力を上げたり、防御力を高めたりする派手なバフ魔法は使えない。

回復もできないし、敵を妨害するデバフもかけられない。


 僕が使えるのは、もっと小さな、もっと静かな魔法だ。


 例えば、「布を敷く魔法」。


 これは比喩的な表現だけれど、仲間が歩く道を少しだけ柔らかくして、疲れにくくする魔法。

誰も気づかないけれど、長時間歩いても足が痛くならない。


 例えば、「針を抜く魔法」。


 装備の違和感や、靴の中の小石、服の縫い目の引っかかり。

そういう些細な不快感を取り除く魔法。

戦闘中、ほんの少しだけ動きやすくなる。


 例えば、「橋を落とさない魔法」。


 老朽化した橋や、ぐらつく足場を一時的に安定させる魔法。

誰も気づかないけれど、危険を未然に防ぐ。


 そんな魔法ばかりだ。


 派手じゃない。

光もない。

音もない。


 でも、僕はこの魔法が好きだった。


 仲間が安全に、快適に冒険できるように支えるのが、僕の役目だと思っていた。


 けれど、その価値は誰にも伝わらなかった。



 パーティーを追放されてから三日後、僕は王都へ向かう馬車に乗っていた。


 この辺境の街では、もう冒険者として受け入れてくれるパーティーはないだろう。

レオンたちのパーティーは有名だったし、そこから追放されたという噂はすぐに広まる。


 だったら、新しい場所で再出発しよう。


 王都なら、もっと大きなギルドがある。

冒険者の数も多い。

もしかしたら、僕の魔法を必要としてくれる人がいるかもしれない。


 馬車は揺れていた。


 道が悪いのだろう。

石畳の凸凹が、車輪を通じて座席に伝わってくる。

他の乗客たちも、少し不快そうな顔をしている。


 僕は静かに魔法を使った。


「――平らかに、歩みやすく」

 声に出さず、心の中で唱える。


 馬車の車輪が通る道に、ほんの少しだけ魔法をかける。

石畳の凸凹を滑らかにするわけではない。

ただ、車輪が凸凹に引っかかりにくくする。

衝撃を少しだけ和らげる。


 馬車の揺れが、ほんの少しだけ穏やかになった。


 隣に座っていた老婦人が、ふと表情を和らげる。


「あら、道が良くなったのかしら」

 御者が首を傾げる。


「いや、道は変わってねえはずだが……まあ、馬の調子がいいのかもな」

 誰も気づかない。


 でも、それでいい。


 僕の魔法は、そういうものだから。



 王都ルミナスは、想像以上に大きな街だった。


 城壁に囲まれた街の中には、石造りの建物が立ち並び、大通りには露店が並んでいる。

人々の活気に満ちた声が響き、冒険者たちが行き交う。


 ギルドは街の中心部にあった。


 三階建ての立派な建物で、入口には大きな掲示板が設置されている。

依頼書がびっしりと貼られていて、冒険者たちがそれを眺めている。


 僕はギルドの受付へ向かった。


「すみません、冒険者登録をお願いします」

 受付嬢は丁寧に微笑んで、書類を渡してくれた。


「はい、こちらにお名前とクラス、使える魔法の種類を記入してください」

 僕は記入欄に書き込んだ。


 名前:優真

 クラス:支援魔法使い

 使用可能魔法:環境調整系支援魔法

「環境調整系……ですか?」

 受付嬢が少し首を傾げる。


「はい。

地形の安定化や、装備の最適化、疲労軽減などです」

「なるほど。

珍しいタイプですね」

 彼女はそう言って、僕のギルドカードを発行してくれた。


「王都では、様々な依頼がありますので、ご自分に合ったものを選んでくださいね」

「ありがとうございます」

 僕はギルドカードを受け取り、掲示板を眺めた。


 討伐依頼、護衛依頼、採取依頼……色々な依頼が並んでいる。


 でも、どれも「支援魔法使い募集」とは書いていない。

大抵は「前衛」「回復」「攻撃魔法使い」といった、わかりやすい役職が求められている。


 やっぱり、僕の魔法は需要がないのかもしれない。


 そう思いかけた時、掲示板の隅に一枚の依頼書を見つけた。


『城下町整備補助 報酬:銀貨5枚/日 魔法使い歓迎』

 これなら、もしかしたら。


 僕はその依頼書を手に取り、受付へ向かった。



「城下町整備補助の依頼ですね。

こちらは王城の管理部が出している依頼で、街の道路や橋、公共施設のメンテナンスを手伝う仕事です」

 受付嬢が説明してくれる。


「魔法で修復するんですか?」

「いえ、基本的には職人さんたちが作業をします。

魔法使いには、作業がしやすいように補助をしてもらうことが多いですね。

照明魔法で明るくしたり、重い資材を浮かせたり」

「なるほど……」

 僕の魔法でも、何か役に立てるかもしれない。


「やってみます」

「では、こちらが担当者の連絡先です。

明日の朝、城下町の西門で待ち合わせとのことです」

 僕は依頼書と連絡先のメモを受け取り、ギルドを後にした。


 外に出ると、夕日が街を照らしていた。


 王都の石畳を踏みしめながら、僕は思う。


 ここが、僕の新しいスタートだ。


 派手じゃなくていい。

誰も気づかなくてもいい。


 ただ、誰かの役に立てるなら。


 誰かが少しでも歩きやすくなるなら。


 それが、僕の魔法の意味だから。


 優真は、静かに決意を新たにした。


 誰も気づかない"歩きやすさ"で、この世界を少しずつ変えていこう。



第1話 了


次回、第2話「見えない支援」に続く

読んで下さりありがとうございました!

★★★★★評価、リアクションお願いします!

Youtubeにて作品公開中!

再生リスト : https://www.youtube.com/playlist?list=PLmiEOdmheYJyF0sHOSkv5vVRaqmR3BzOs

ご感想やご質問など、ぜひコメントでお聞かせください。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ