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「畜群的人類(大衆)」の侮蔑者は、結局畜群に追いつかれ、角で突き刺される

作者: 樋口諭吉

『「畜群的人類」の侮蔑者は、結局畜群に追いつかれ、角で突き刺される』


 ニーチェが表題のようなことを述べた背景には、個人と集団心理の力学への洞察があります。現代においてもこの洞察は生きており、実際に例を挙げることができます。


 現代における典型例を紹介します。


 たとえば、「言葉の自動機械」などと人々をレッテル貼りし、正論で追い詰める行為。こうした態度は、畜群的人類(一般大衆)への侮蔑そのものでしょう。


 こういったことをすると、対象となった人々の間で認知的不協和が増幅され、不満や怒りが高まり、共感者を巻き込んで集団的な感情爆発を招くことになります。


 実際に例を挙げると、


 ・社会学者の宮台真司氏が、(おそらく)SNSでの言論活動に起因するトラブルによって刺傷事件に巻き込まれました。


 ・また、社会学者の北村紗衣氏が、SNSでの言論活動に起因するトラブルのなかで、オフラインでもトラブルに巻き込まれる事態が発生しました。


 ・さらに、海外でもアメリカで「インフルエンサー叩き」から暴力沙汰に発展した事件がありました。SNS上での正義感的な糾弾(正論攻撃)がエスカレートし、ターゲットとなった人物の自宅襲撃という形に至っています。


 無論、すべてのケースが物理的暴力に至るわけではありません。多くの場合は、思想的な排除キャンセルカルチャーという形を取ります。


 この問題の根底には、二元論的思考──つまり、「正しいか間違っているか」という単純な構図──が存在してるのです。


 そして、その二元論のフィールドで論破合戦を続けることが、排除や事件の引き金になり得ます。


 実際、言葉での勝負に行き詰まると、認知的不協和を解消するため、少数ながら確実に、暴力という手段を選ぶ人が現れます。


 ニーチェが喝破した「畜群に刺される」という構造は、ここに現代的な姿を取って再現されています。


 本題に戻ります。


 教育者は、二元論のフィールドで戦うべきではありません。


 むしろ、多元論的思考──他者の視点に立って考える柔軟な思考──へと導く役割を担うべきです。


 具体的には、別のエッセイでも述べましたが、「他者の視点になって考えてみる」ことをまず教える。


 それが二元論思考という枠組みの中で「認知的不協和によるゆらぎ」となって、二元論からの脱却へ、そして多元論的共存への道につなげます。


 二元論のフィールドでの論破合戦がもたらすものは、ヘイトだけです。


 教育者が管理教育に従い、思考の柔軟性を育む努力を怠ってきたことがこうした問題を深刻化させています。


 ・最後に


 誰しも最初は二元論的に物事を捉えてしまうものです。しかし、そこから一歩踏み出し、「人間の思考の複雑さ」を見つめることによって、多元論的世界観への道が拓かれます。


 多元論思考の推奨を、ぜひ、教育現場においてもご一考いただきたいと思います。


 ・このエッセイのフロー


  [SNS上の畜群批判行為](相手を「言葉の自動機械」とレッテル貼りして馬鹿にする)

  ↓

  [相手の認知的不協和増幅](モヤモヤ感・反論できないことへの不満)

  ↓

  [感情の高ぶり・共感者の増長](共感者からの嘲り・さらなる不満)

  ↓

  [論理的対話の行き詰まり]

  ↓

  [不協和解消のための実力行使へ]

  ↓

  [刺傷などの暴力事件発生]


 ※無論、SNS上の炎上問題全ケースに当てはまる訳ではありません。

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― 新着の感想 ―
樋口さん最近、難しい話しているなあと思いつつ。 人の立場って、分るもんですかね。私はそのあたり疑っていますよ。相手の目で見ていると勘違いしているだけで、自分の目しか持っていない。 畜群といいますか、…
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