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42、私の最愛の人



ガルコスに来て二ヶ月が過ぎた。

私達はそれぞれ忙しく、一緒に過ごせる時間がなくなっていた。寂しいけれど、仕方がない。

学園で毎日一緒に過ごしていた日々が、懐かしい。

ディアム様と過ごせる時間は、食事の時間だけだった。


今日も疲れ果てて、自室に戻るとすぐにベッドに倒れ込む。マリーがお茶を淹れてくれても、起き上がる気力がないまま眠ってしまう。


半年後、私達の結婚式が行われた。


「レイチェル様……本当に、お綺麗です!」


真っ白なドレスに身を包んだ私を、マリーは涙ぐみながら見つめている。マリーは侍女というよりも、私にとって母親のような存在だった。子供の頃のことで思い出すのは、マリーの優しい手。今もこうして側にいてくれていることに、感謝している。


「次は、マリーの番ね!」


そろそろ、自分の幸せも考えて欲しい。


「私ですか!? 私は、こうしてレイチェル様にお仕え出来ることが何よりの幸せです。あんなことをした私を、レイチェル様はお許しになってくださいました。そして、救ってくださいました。お気遣いは嬉しいのですが、私が結婚したら旦那様になる方が気の毒です。だって私は、レイチェル様にしか興味がありませんので」


マリーは、優しい笑みを浮かべながらそう言った。顔を見る限り、本気なのか冗談なのか分からなかった。本気だとしたら、嬉しいけれど申し訳なくも思う。


「レイチェルー! 会いたかったぞー!」


お父様達が到着して、控え室に会いに来てくれた。半年ぶりに家族に会うことが出来て、嬉しさが込み上げてくる。


「まあ! 私達の娘は、なんて綺麗なのかしら!」


お母様も、結構親バカだ。


「レイチェル……ディアムと結婚してしまうのだな」


お兄様はディアム様と仲がいいはずなのに、何だか不服そうだ。


「レイチェルったら、すごく綺麗! ディアム様には、レイチェルを泣かせたら許しませんて言っておいたわ! 幸せになってね」


デイジーにも会えて、まるでフィルエッタにいるような気持ちになる。まだ半年しか経っていないのに、何年も前のことのように思える。


結婚式が終われば、ディアム様がこの国の国王になることが発表される。陛下は私達が結婚をしたら、ディアム様に譲位すると決めていた。

ディアム様が国王に即位してしまえば、王族の方々も何も出来なくなるだろうと考えてのことだった。


結婚式が始まり、大勢の来賓の方々に祝福されながらディアム様の元へとゆっくり歩いていく。

これからも大変なことはたくさんあるだろうけれど、ディアム様となら乗り越えていける。


私の最愛の人。

この手を、決して離したりしない。



 END


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