第四十九章
彼らの集結する場は、使われなくなり蓋をされている井戸の側だ。
そこが一番宮殿に近く、さらに人目がないと、調べ尽くしている。
ルナが到着すると、他の二人はもう、井戸の蓋の真ん中に置かれたランタンを囲んでいた。
「夜のお仕事、ご苦労さま」
デイミアンの嫌味を、ルナは無視した。
「分かったのか?」
彼女が尋ねると、サイモンが口を開く。
「ああ、運が良かった。ラパロ商会はエンディミオン市に進出していて、フィリッポもそこの屋敷にいる」
「例の件は?」
ふん、とサイモンが何かをあざ笑う。
「調べる必要もなかった。奴が自ら酒席で公言している。『英雄を苦しめたのは俺だ』とな」
「そうか」
ルナの瞳が闇で濁る。
やはりあの茶番劇の背後に、フィリッポはいたのだ。
「ちなみに」
すでにサイモンからの報告を聞いていたのだろう、デイミアンが、横から入ってくる。
「フィリッポとラパロ商会は、今日、大きな酒宴を催しているそうだ。時間的にまだ酒を呑んでいるだろう……分かるか?」
「今は機、と言うことだな」
「そうだ。今日は夜まで外出している。どうする? 疲れているようだが」
ルナはデイミアンの問いに、口角をにっと上げた。
「論ずる必要もない。好機だ、それを生かすだけだ」
ルナの丸三日寝ていない身体に、殺意の電流が走る。
刺客たちが闇に駆ける時だ。




