第三十三章
「それで、お話を聞かせてもらっても良いですか?」
コリーがジョッキから口を離したので、ルナは切り込む。
「あ? ああ、何の話だ?」
「あなたのお仕事の話です。大変だと伺っています」
「ああ」とコリーの眉根が寄る。
やはり処刑人の立場についてを、彼自身が理解しているようだ。
「誰にでも出来る仕事だとは思えません。さぞかし苦労しているのでしょう。尊敬します」
ルナは敢えて過剰に、コリーを持ち上げる。
功を奏したのか、彼はにやりと口角を上げる。
「そうだろう! お嬢さんは良く分かっている。そうさ、オレの仕事は普通の奴らには出きねー……なのにあいつらは……」
「どんなお仕事なんですか?」
ルナは遠回りを覚悟した。
案の定、それからしばらく、彼女にはどうでも良い、変な命乞いをした罪人や、最後に抵抗する罪人の首を切る話になる。
エールは進んで行き、敢えてコリーに何倍も追加注文をさせ、彼を酔わせた。
「そんでよお、そのバカ野郎がよう……」
コリーはすっかり酔っぱらい、エールの泡を口辺にべったりと付着させ、舌もこんがらがり始める。
ここらだろう。
ルナはオレンジピールをつまみながら、核心に迫る。
「そうですか、大変ですね……そう言えば、私耳にしたんですけど、アレクシス王子の件です」
「あいつか?」
コリーはおかしくて溜まらない風に、クスリと笑う。
「英雄気取りのおぼっちゃんだったぜ。そうさ、オレが首をはねてやった」
テーブルの下にある、ルナの手がぎゅっと握られる。
「あれは最高のショーだった。みんな大喜びさ……何せ、わざと二回目を作ったからな」
「どうしてそんな事を考えたんです? コリーさんが考えたんですか?」
「うん?」
さすがに踏み込みすぎたのか、コリーに警戒の色が滲んだ。
「コリーさんにエールのおかわりを下さい」
すぐにルナは店主に注文した。
コリーは黄色い欠けた歯を剥き出して、喜ぶ。
「……そうだらあ……あんら聞きたいのか?」
「はい、とても興味があります」




