欠落の頁
僕は生きてしまった。
そして来世と同じ、別世界へ転移したのも知っている。
私は死んでしまった。
そして前世と違う、別世界へ転生したのも知っている。
ボゥ....と。
痛いほどの静けさが肌を突き刺すような、冷たく、空虚な世界に小さな火を生む。
急ぐこともない、ここには僕以外に誰もいないのだから。
ゆったりとした、けれども機械的な動作で煙草の先に火を移す。
それは言ノ葉が詰められたものであり、煙となって世界へ吐き出していく。
なんて、悲しい結末だろう。
後悔も、絶望もしてない。
まるで空虚な心地だった。
瞼を閉じれば、目の前の景色とは正反対な過去が見える。
でもそれは、全て夢だったのだ。
僕はここまで、一人でしかなかった。
友達だと信じた人は空想であり、
仲間だと差し伸べた手は空気を掴み、
ずっと与え続けた想いは、こうして破り捨てられた。
「夢は、いつか覚めるものさ」
それが僕の辿り着いた答え。
終わらない物語はないのだ。幸せで終われば、その人の物語はそこで終わってしまう。
それでも良かった。
たとえ嘘でも、僕は夢を見たまま終わりたかった。
「ままならないものだね」
忽然と、僕の背後で中性的な声が聞こえる。
振り返る必要もない。
「まぁ、ね。住んでいる世界が違うって...こういうことを言うんじゃない?」
「君は寂しがりやだから、納得していないと思うが」
______痛いところをついてくる。
「僕も馬鹿じゃない。そこは何とかしたし、どう言い訳したところでこれが真実だ」
そう、真実の刃を振り回す。
けれどもそれは、逆に自分を指していて...まだ痛いと感じることに安堵する。
「そうだね。だからこそ、休憩の時間は終わりだ」
「...休憩?」
「"次"に行くよ。また1からやり直しだけど、こんな軌跡のままは嫌だろう?」
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「僕は知っているよ。夢の結末を」
「私は分からないよ。軌跡の先を」
二つの台詞が、破り取られた頁の最後だった。