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スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす  作者: Gai


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九百二十話 爆散

「ッ!!!!!! ギィイイイイイイェアアアアアアアアアアア」


黒色ハーピィが、ファルがうっかり零してしまった失笑に反応してしまい、怒りに感情を支配された。


このタイミングで、ファルも魔力も惜しまず攻撃を放ち始めた。


「っ!!! ジッ!!! ギィアアアアア゛ア゛ッ!!!!!」


まさかの反応に、少しだけ焦りかけるも、黒色ハーピィは圧されることなく、怒りに身を任せた攻撃を連続で放つ。


ファルはなるべく自分から攻撃を仕掛け、意識を自分だけに仕向ける、

相変わらず、黒色ハーピィが放つ遠距離攻撃が明後日の方向に放たれた場合、ソルたちが危ない。

だからこそ、自分だけに攻撃が仕向けられるように動く。


「…………」


「ッ!!!! ギィィイイイイイイェエエエエエエッ!!!!!」


先程よりも攻撃の数、威力は増した。

にもかかわらず、ファルの表情は先程までと関わらず、いたって冷静なまま。


そんな余裕とも取れる表情が、更に黒色ハーピィの怒りを爆発させ……今回は翼や脚の爪からではなく、口からブレスを放った。


ブレスという攻撃は、風を放つハーピィたちの中でも、扱える者は滅多にいない。

その珍しさを考えれば、黒色ハーピィはハーピィの中でも才能がある個体と言える。


しかし……ブレスに関しては、ストームファルコンであるファルにとって、そう珍しい攻撃ではない。

自分も扱える攻撃であり、黒色ハーピィが隠し持っている切り札がブレスだと予想していたということもあって、ファルは放たれる前兆を冷静に確認し……自身も同じくブレスを放ち、激突。


一方の属性は風単体、もう一方の属性は闇と風の複合属性。

そこだけを見れば、複合属性のブレスの方が火力が高いように思われる。


実際、その通りではある。

ただ……それは、両者がブレスという攻撃に関して、どれだけ慣れている。そこが同じであればの話。


結果、ブレスの練度に関してはファルの方が高く、両者のブレスが激突した結果……相殺という形で終わった。


「ッ!!!!!!」


そうなるだろうという結果まで読んでいたファルは自身のブレスと黒色ハーピィのブレスが相殺された瞬間、爆風に紛れて急降下。


そして直ぐに急上昇し、黒色ハーピィの背後を取った。


例え本来持つ筈のない属性を手に入れたとしても、防御力まで上がる訳ではない。

ファルの爪撃がぶちかまされれば……どう足掻いても、黒色ハーピィには致命傷となる。


そう…………間違いなく、それは戦いを決める致命傷となる。

だが、その瞬間、黒色ハーピィは嗤いながら振り返った。


「キィイイェアアアッ!!!!!!」


振り返った黒色ハーピィは、自身の脚を振り回した。

同じ爪撃を放ち、ファルの風爪を相殺させる……のが目的ではなかった。


闇竜から闇の力を授かり、全身に闇の力が馴染んだハーピィ。

この個体が手にした力は……闇の力だけではなかった。


振り返り、ファルに向かって放たれた爪には、闇ではなく毒が纏われた。

確かにブレスも黒色ハーピィが隠し持っていた切り札ではあるが、切り札は一人一つまで……なんていうルールはない。

爪に纏われた毒は、魔力を大量に消費する代わりに、即死はしないが……即効性のある麻痺毒。


魔力を殆ど使用してしまったとしても、それでも動けなくなれば、ファルの頭を潰す、もしくは首や心臓を破壊することは難しくない。


決まった……私の勝ちだ……最後に嗤うのは、私だ……お前じゃなく、この私なのだ。


そう言いたげな笑みを浮かべる黒色ハーピィ。


「っ!!!!!?????」


だが、毒を纏った爪撃は……ファルの爪撃にぶつかることはなかった。


「…………」


確かに、ファルは爪撃をぶつけようと考えていた。

自分の攻撃力なら、黒色ハーピィを仕留めることが出来る、それは間違いない。


しかし、黒色ハーピィの背後を取った瞬間、振り向くタイミング……そこに、焦りを全く感じなかった。


『予想が合てっていたようだな』


切り札は一人一つとは限らない。

それは、主人の友人を見ていれば、嫌と言うほど解かる。


だからこそ、ファルはブレス以外にももう一つ……翼か、爪。そこに何かしらの手札があると考えていた。

そこに、背後という最悪の死角に回り込まれたにもかかわらず、焦りを全く感じなかったという点がピースとなり、ファルは万が一に備えていたもう片方の足に止めていた風を放出。


何十メートルも移動できるような突風ではない。

ただ、一メートルほど動くには、それで十分だった。


「ギべっ!!!!????」


約一メートルの上昇。

それだけで、黒色ハーピィの真上を取れる。


ファルはその頭を掴み……翼で仰ぎ、急降下。


空中で戦っていたとはいえ、それは洞窟内での話。

上昇できる高さは限られており、ファルの加速力があれば……ほんの一瞬で地面は訪れる。


まだ自由に動かせる爪で抉る? それとも翼から大量の鋭い羽を放つ? もしくは、自爆覚悟で闇風のブレスを放つか。


「…………クルルルゥ」


そんな突破案を考える間もなく、黒色ハーピィは頭から地面に激突。

ファルに頭を抑えられていたため、運良く助かる……なんて奇跡は起きることなく、頭部は見事に爆散した。


「ッ!!!!!」


ホッと一安心……したのも束の間、まだ戦闘は終っていない。

そんな現実を思い出させる寒感がファルを襲った。

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