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八十七話 どの道に進んでも史上最強

復活した鉱山には確認されたオーアルドラゴンだけではなく、多数のモンスターが潜んでいる。


「……この硬さで突進を食らったら痛いだろうな」


そう言いながら蹴り飛ばしたモンスターはロックスライム。

スライムの上位種にあたるモンスターであり、ランクはE。


スライムの様に動きが遅くなく、重い体に反して跳ねる。

戦い慣れたロックスライムは坑道内で自分の体をピンボールの様に跳ねて動き、敵の体に体当たりをぶち込む。


ただ、レベル二十を超えたアラッドの蹴りは容易にロックスライムの突進を蹴りで押し返し、壁に激突。


「普通のスライムより倒しやすいな」


蹴りの衝撃で体に大きな罅が入り、剣をグサッと刺せば魔石が見える。

それをくり抜いてしまえば戦闘は終了。


ただ、鉱山に住み着いているモンスターはロックスライムだけではない。


「おっ、ラージアントだ」


体長が二メートルを超えるアリ。

ランクはEだが、非常に群れる傾向が強い。


一匹発見すれば、周囲にだいたい四体程は潜んでいる。


しかしこいつらもアラッドの敵ではない。

虫系のモンスターは体を切断されても少しの間動き続ける。


過去に戦ったことがあるので、その気持ち悪さは身をもって体験済。

体を綺麗に三等分して魔石を回収したら終了。


(相手はEランクのモンスター。今のアラッドなら容易に倒せる……それは分かっているけど、五匹のラージアントを瞬殺か。しかも鋼鉄の剛剣には魔力を纏っていなかった。剣技の腕も確実に上達している)


武器に魔力を纏うことで切れ味と威力が格段に上がる。

魔力を纏うのと纏わないとでは、斬った時の感触が大幅に変わる。


だが、人によっては魔力量が少ない。

普段から魔力を纏うことができない人は、なるべく素の状態で敵を斬り裂かなければならない。


(エクストラスキル、糸で何を出来るのか……全ては知らないが、順調に腕を上げている。それに加えて武技や体技の腕は兵士と同等……もしくは少し上)


体技に関しては頭二つ三つ分ほど抜けており、ロングソード以外の武器に関しても着実に上達している。


(魔法の腕も完全に子供が辿り着ける領域を超えている。そして従魔……クロとのコンビネーションも抜群)


現在フールの目の前でクロはアラッドと一緒にゴーレムと戦っているが、文字通り何もさせない。

動くたびに一瞬だけ糸で拘束し、その隙を突いて二人の斬撃が硬いゴーレムの体を斬り裂く。


(もし、騎士として活動したらいったいどこまで上がるのか……史上最強の騎士と呼ばれてもおかしくない筈!!)


親バカ発言……ではなく、周囲でアラッドとクロの戦いぶりを観ている騎士たちも同じことを考えていた。


(でも、それは冒険者になっても同じことだよね。史上最強の冒険者……歴代最速でSランクになった男、なんて記録をつくりそうだね)


既にアラッドが騎士の道へ進む可能性はゼロに近いと分かっているので、冒険者の道に進むことを応援している。

ただ、父親としてはいずれ家に戻ってきてほしいなと思っていた。


「ふぅーーー、普通のゴーレムだとこんなもんか」


偶にそんな動きが出来るのかと驚く様な動きをするが、それでもDランクなので動きが遅い。

二人には硬い体を斬り裂く武器があるので、特別厄介な敵ではなかった。


「……ちょっと切り裂き過ぎたな」


「ワゥ……」


「いや、クロは悪くないよ。確かにゴーレムは初めて遭遇したモンスターだけど、素材はそこまで貴重な物じゃないから」


アラッドがいずれ造ろうと思っているマジックアイテムにゴーレムの素材が使えないことはないが、メインは鉱石。

それさえあれば目の前に転がっている斬り傷が多い素材は必要ない。


「アラッドなら。魔石がある部分を集中して砕けば、あまりゴーレムの体を傷付けずに倒せるんじゃないかい」


「そうですね……分かりました。今度は素手で倒してみます」


現在手甲や脚甲を付けていないアラッドが素手で挑むのは自殺行為。

しかしそれを止めようとする者は、この場に誰もいなかった。

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