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六百七十一話 聞く度に燃える

「でも、あれだね。ブッキングしてもひとまず相手に先手を譲るのは、アラッドにしては珍しいね」


「筋を通す……って堅い話ではないと思いますけど、変に揉めたくはないんで」


実家に為にあれこれと、一応考えているアラッドではあるが……全面的にブッキングしてしまった相手に譲るという考えはなく、そういった強い意思などもあって結局は揉めているのが殆ど。


(そういえば、ちょっと有名になってた山賊を討伐するために、ギルドに自分たちで何とかするので、手出し無用でお願いしますって頼んだ件……どうなったんだろうな)


スティームを連れて実家に帰った際、二人は互いの従魔と共に集めた情報の中から、Bランクのモンスターを従魔として従える山賊へ殴り込むため……一応山賊の根城から一番近い街の冒険者ギルドに話を通した。


冒険者ギルドの職員やトップとしては、特に理不尽な要求をしてくることなく、自分たちだけで悩みの種である盗賊を討伐してくれるというのは正直、非常に嬉しい話だった。


だが、現場で動く冒険者たちにとっては、プライドが踏みにじられた感覚に近かった。


「そうかそうか……うん、アラッドぐらい強い若者なら、それぐらい余裕のある精神でいてくれた方が、組織の人たちは嬉しいだろうな」


平民出身の冒険者が理不尽な理由で貴族の冒険者に絡めば、当然ギルドにとって胃が痛くなる件へと発展する。


だが貴族の冒険者が貴族出身を理由にクソ偉そうな態度を取っていた場合……それはそれで冒険者同士が争う原因となるので、ギルド的には多少の謙虚さを覚えてほしい。


「さっ、友人たちは中にいるよ」


訓練場に到着すると、奥から聞き覚えのある者たちの気合が入った声が聞こえてくる。


「ふぅ~~~~。少し休憩、って……あ、アラッド。アラッドじゃないか!!」


「よぅ、ベル。久しぶりだな。最後に会った時より、ちょっと筋肉が付いたんじゃないか?」


「技術だけに頼る訳にはいかないからね……って、そうじゃなくてだよ。アラッド、急にどうしたんだい。いや、勿論久しぶりに会えたことは嬉しいんだけどさ」


ベルが真っ先に気付き、その後に次々アラッドというパロスト学園の生徒に置いて、一番のビッグネームの登場にわらわらと人が集まってくる。


「久しぶりじゃねぇから、アラッド!!!!」


「元気そうだな、リオ。おっ、ルーフ。なんだか顔色良くなってるな」


「ははは、ベルと同じ様な感じで……食いトレ? っていうのを最近頑張ってるんだ」


「良いじゃないか。いや、辛いとは思うが食えるようになって良い筋肉を付けられるようになれば、今より強くなれるのは間違いないぞ」


わらわらと集まってくる中には当然、男の友人だけではなく女の友人もいる。


「久しぶりですねアラッド。あなたの暴れっぷりは私たちの耳にもしっかり入ってますわ!」


「あ、暴れっぷりって、ちょっと言葉が悪いんじゃないか、エリザ嬢」


「あら~~、アラッドさんは冒険者になってから、一度も同業者の方とぶつかっていないのですか~~」


「うぐっ! マリア嬢……速攻で痛いところを突かないでくれ」


「あなたに喧嘩を売る人がいるのね」


「喧嘩というか……そうだな。割と世の中、立場とか関係無く自分の意見をぶつけてくる人はいるんだよ、ヴェーラ嬢」


友人という事もあり、彼ら彼女たちは偶に王都の冒険者たちに聞きに行くほど、アラッドがどの様な活躍をしているのか気になっており……その活躍を聞くたびに闘志を燃やし、訓練に……偶に遠征して、なんだかんだでベルたちも暴れている。


「久しぶりだな、アラッド」


「あぁ……久しぶりだな、レイ嬢。元気にしてたか?」


「当然だ。寧ろ有り余っている」


「本当にその通りなんだよ、アラッド。レイは最近教師たちと模擬戦を行う機会が多いからね。僕たちもうかうかしてられないってわけだよ」


あっはっは! と笑うアレクだが、実際に模擬戦をしたことがあるレイは断言出来る。

あなたはそこまで心配しなくて良いのではないかと。


レベル五十五であり、王都の教師の中でも超トップクラスの戦闘特化教師。


基本的に学生が死ぬ気で挑んでも勝てる相手ではない。


「ところで、そちらの二人は今アラッドがパーティーを組んでいる冒険者か?」


「そうだよ。こっちはスティーム。ギーラス兄さんと同じ騎士団で働いてる同僚の弟だ」


「どうも、スティーム・バリアスティーです。ホットル王国出身の貴族で、今は縁あってアラッドと共に冒険してます」


本人の自己紹介で、レイたちは色々と納得した。


貴族として生きてきたからこそ、貴族出身の者と、そうでない者の雰囲気の違いがある程度解る。

レイたちは間違いなくスティームが貴族だと気付いていたが、歳が近いはずの実力者を全く見たことがないことに、強い疑問を持っていた。


しかし、スティームが他国の貴族出身と知り、直ぐに疑問は解消された。


「それでこっちは「ど~も~~!! スティームと同じで縁あって一緒に行動してる冒険者で、アラッドの彼女で~~~すあぃった~~~~~~~っ!!!!!!!???????」おいこら、何とんでもない嘘付いてるんだ」


……ベルたちはとにかく、アマゾネスらしき冒険者は、非常にテンションが高い人物だということは理解した。

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