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六百十一話 嘘だったかも?

「チッ! 違う蛇だったか」


「シャアアアアアアアッ!!!!」


レストからのお誘いを断ってから数日後……今日も今日とてソルヴァイパーを探し続けているが、中々お目当ての個体には遭遇出来ない。


地中を糸で捜索するという手段は悪くないのだが、地中を移動するモンスターはなにもソルヴァイパーだけではない。

他の蛇系のモンスターやモグラなども地中移動しており……ときおりワームといった体型だけは蛇に似た気色悪さマックスなモンスターとも遭遇する。


「ジャっ、ァ……ァ」


「ん~~~、もしかしてもうソルヴァイパーは別の地域に移っちゃったのかな」


赤雷を纏わず……普通の雷を纏って本気で動き、双剣であっさりと切断してしまうスティーム。


(この蛇、確かCランクだったと思うんだが……集中力が高まってる状態で本気を出したスティームなら、やっぱり相手にならないか)


コンディションとしては最高と言える状態である。


しかし……それをソルヴァイパーとの戦闘時に持ってこれなければ意味がない。


「さぁ、どうだろうな。俺の糸は存在を把握出来るだけで、触れた相手の詳細までは解らない。もしかしたら……可能性はゼロではないかもな」


「そっか。それなら、もしかしたらの可能性は考えておいた方が良いね」


ソルヴァイパーと戦えないことは非常に残念である。


しかし……ソルヴァイパーと戦ったとギルドに報告を行っている冒険者たちの会話の中に、白蛇が白雷を使ったという情報はない。


スティームとしては、白雷を習得したソルヴァイパーに赤雷を操る自分が挑む……この構図に期待を寄せていたこともあり……白雷を使えないのであれば、今回の様に戦えないのも致し方ないと考えていた。


(白蛇とは戦えないとなると、次は……そうだなぁ。前回ドラゴンと戦えなかったから、属性持ちのドラゴンかな? どうせなら、防御力が高いゴーレムに挑むのもありかな? もしくは……この前戦ったホワイトタイガーのような四足歩行の獣タイプもありだね)


完全に諦めてるわけではないが、それでも見切りを付けて次の目標に眼を向けるのも大事ではある。


強敵と戦うチャンスは、今回限りの話ではない。


「……まっ、ソルヴァイパーがいなくなってたら、また闘争心が燃え上がる様な相手を探そう」


「うん、そうだね。ありがとう、アラッド」


「この前は俺が我儘を言って譲ってもらったからな。当然だ」


この日も結局ソルヴァイパーを発見して強制バトルに持ち込むことは出来ず、街へ帰還。


しかし酒場で夕食を食べている途中で、先日アラッドたちに共闘を提案してきた獅子の鬣に属する冒険者、レストたちがソルヴァイパーと接触したという話が耳に入ってきた。


「ふ~~ん。あの人たち、ソルヴァイパーと遭遇出来たんだな」


「ソルヴァイパーと遭遇出来た上に、誰も死んでないというのを考えると、色々と運が良いね」


運が良い連中だと思いながら、相変わらず自分たちは運がないなと思い、少し凹む二人。


「……まだソルヴァイパーがこの辺りから移動してないことが解ったわけだけど、やっぱりそろそろ移動するかな」


「…………レストさんたちがどの程度、ソルヴァイパーとバチバチに戦ったのか解らないが、かなり真っ向から戦えたのであれば……もうこの辺りは住み心地が良くても平穏な地ではないと判断して移動するかもな」


狙い始めたのだから、どうせなら逃したくない。

そんな気持ちはあるが……ソルヴァイパーが別の地域に移動するとしたら、何処に向かうなど解るほど蛇系のモンスターに……ソルヴァイパーに詳しくないため、移動されてはもうお手上げである。


「ねぇ、アラッド。僕……やっぱり戦えるなら、ドラゴンと戦ってみたいかな」


「良いね。まぁ、あれだよな。ドラゴンとのバトルは、一種の夢って感じだったもんな」


「その夢を叶えた気持ちはどんな感じ?」


「そうだな…………ドラゴンゾンビとの戦いでは、ただ無我夢中で……クソ魔法使いの好きにさせない為に戦ってたところもあるから、純粋に一種の夢を叶えられたとは思えなかったが、轟炎竜との戦いでは……心の底から死闘を楽しめた気がする」


クロと共闘での戦いであるため、次こそは一人で討伐したいという思いはあるが、それはそれでこれはこれ。


あの激闘に対し、非常に満足しているという気持ちに嘘偽りはない。


「それを考えると……ギーラス兄さんはあの風竜……ストールとの戦いでは、心の底から俺みたいな満足感は感じてないかもな」


「なんて言うか、あのドラゴンは凄い小狡いというか小者と言うか……いや、勿論強かったのは強かったんだけど、なんというか……本当にドラゴンなのかと疑いたくなるところがあったかな」


「だな。ぶっちゃけた話、あいつがかつて父さんと戦った暴風竜、ボレアスの子なのか疑わしいとすら思ったよ」


「……あれだけ小狡い部分があるから、嘘を付いて自分はボレアスの子供だって宣言してビビらせようと考えてたかもしれないね」


「はっはっは!!! あり得そうだな」


最初の頃よりソルヴァイパーに対する意識が薄れていた二人だったが……この翌日、ついに二人にツキが回ってきた。

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