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五十六話 バカな方法かもしれないが

「仮にさ、鉱山が復活したらどうなる?」


「どうなると言われましても……詳しいことは分かりませんが、鉱石が自領で手に入るだけで領内の財政はかなり変わるかと」


現在フールが治める土地に鉱石の収入源は殆どないので、他領から採掘された鉱石を買い取っている。

だが、自領で鉱石が採掘できるようになれば、わざわざ相場より少々高値で買う必要がなくなる。


(……仮に一体のモンスターが住み着いた影響で鉱山が復活したなら、外部からの侵入者に気を付けないとな)


可能性として、高ランクモンスターの力が影響して鉱山が復活したなら、鉱山から永遠に鉱石が取れる可能性がある。

それはあまりにも美味し過ぎる収入源となる。


アラッドが作ったリバーシのお陰でかなり懐に余裕が出来たフールだが、自領の鉱山が復活したと分かれば大喜びするのは間違いない。


「なぁ、もしモンスターの影響で鉱山が復活したとしたら、そのモンスターは絶対に高ランクだよな」


「間違いないかと。偶にCランクやDランクでも環境に影響を与えるモンスターは存在しますが、鉱山全体に影響を及ぼしたとなれば、高ランクのモンスターであるのは間違いありません」


「……本当に鉱山が復活したのかどうかこれから調べる必要があるけど、仮にそんなモンスターがいるなら是非とも居ついてほしいな」


鉱山にはいずれ寿命が来てしまう。

精霊の気まぐれで復活する場合もあるが、一度寿命が来た鉱山は中々復活しない。


元々鉱山だった場所は寿命が来てから予測的な計算上、まだ復活するまでの年数が経っていない。

モンスターの寿命が尽きるまで居続けてもらえば、その時まで永遠に鉱石が採掘できる。


(鉱石エリアがあるダンジョンを所有する領と比べれば負けるかもしれないけど、それでも多くの利益が得られる筈だ)


ただ、仮にモンスターが住み着いたとしても寿命が尽きるまで居ついてくれる可能性はないので、その場合はどうすれば良いのか。

その方法を考え始め、思わず解体の手を止めてしまった。


「大丈夫ですか、アラッド様?」


「あ、あぁ。大丈夫だ。少し考え事をしていただけだ」


この一件、フールに恩を返すという意味を持つ。

そう思ったアラッドはメタルリザードの解体を終え、街に戻るまで延々とその方法について考えていた。


考え事をしながらモンスターと戦うのは危ない?

それは確かに当然だ。常識だろう。


ただ、アラッドの糸で一旦動きを止め、その瞬間を狙って鋭い一撃を急所に入れれば何の心配もいらない。


メタルリザードとの一戦でアラッドは一皮むけた。

故にCランクよりも下のモンスターとは更に冷静さを保ち、戦える様になった。


(……良い方法は思い付いたけど、上手くいくかは分からないな。良くて三割……いや、一割ぐらいか? でもそれぐらいの方法しか思い浮かばないな)


他人が聞けばアホなのかと思われるかもしれない……いや、アホだと思うだろう。

そう思っても仕方ない。


だが、街に入るまで考え続けてもアラッドにはそれ以外の方法が思い付かなかった。

少々バカげた方法だが、それしかない。


そう思った直後、アラッドの前に四人の子供が現れた。

直ぐに兵士とメイジが前に出ようとしたが、それを抑える。


「何か用か、お前たち」


物乞い……といった感じには見えない。

いたって普通の服を着ている子供。


そんな子供が何故自分の前に現れたのか……見当がつかない。


「あんたがアラッドだろ。なぁ、俺たちにいだっ!?」


「バカ!!! 様を付けなさいよ!! アラッド様はパーシブル侯爵家の三男なのよ!!!」


「でも、俺たちより一つ歳下なんだろ。だったらいでっ!!??」


「そんなの関係無いに決まってるでしょ!!! 貴族様なんだから、敬語を使うのは当たり前なの!!!」


目の前に現れた子供たちが自分に何かを頼みたい。

それは分かった。


だが、夫婦漫才が繰り広げられているせいで何を頼みたいのかが分からない。


「……話ができる奴、俺に何の用があるのか教えてくれ」


「は、はい! えっと……既にモンスターと実戦を行っているアラッド様に、是非指導をしてほしいと思っています」


「俺に指導……そうか」


何故そのようなことを頼むのか深く理解はしていないが、四人にそういった気持ちがあるのだけは分かった。

ただ、アラッドも決して暇ではない。

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