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五十一話 二人がこの先どうなるか

「ありがとう、アラッド。わざわざ二人の為にこんな遊び道具を作ってくれて」


「いえいえ、別にそんな大層な物じゃないんで」


「そんなことないわ。この積み木も商品として売り出すのでしょ」


「そ、そうですね」


リグラットの行動は速く、木材を扱う職人の数を少々増やし、早速積み木の商品販売に向けて制作を進めていた。

積み木に関してはまだ経験が浅い若者でも作れる商品なので、あまり人を増やす必要はない。


「アラッドのお陰でパーシブル家の懐が潤っているとフールも喜んでいましたよ」


「まぁ……リバーシは本当に売れてるみたいですからね」


リバーシの市場はまだまだ熱い。

アラッドが作ったリバーシはザ・無難な台と駒。


だが、台や駒に装飾を施して売る店もある。

店が売るのであれば、当然売り上げの一割はアラッドの懐に入ってくる。


装飾を施した物になれば、当然販売する値段は上がる。

しかしそういった物を買う人物は、芸術に興味がある……もしくは他の人が持っていない者を持つことで、周りに自慢したい。


そういったちょっとアラッドにはあまり理解出来ない人もいるので、まだまだリバーシによる収入は止まらない。


「ねぇ、アラッドから見て二人には戦いの才能はあると思う?」


「唐突な質問ですね」


二人の視線の先では元気良く遊ぶシルフィーとアッシュの姿がある。

アラッドがいくら子供離れした強さや考えを持っていても、人が持つ才能の種類や多さを把握することはできない。


たとえ鑑定のスキルを習得していたとしても、本人の潜在能力を一瞬で見極めることは不可能だ。


「俺でも人が持つ才能を瞬時に見極めるのは不可能ですよ。ただ……多分、二人とも戦闘系の才能を授かる。そんな気はします」


「やっぱりそうよね」


「……あんまり嬉しくなさそうですね」


「いや、そういう訳じゃないのよ。うちはどちらかといえば武闘派寄りの家だから戦闘系のスキルを授かるのは勿論良いことなの。仮に戦闘系のスキルを持っていなければ、学園に入ってから多分苦労するでしょうから」


現当主のフールが副騎士団長まで上り詰めたということもあり、パーシブル家は他の家……ひいては王家までもが武闘派の家系だと思い込んでいる。


実際にそれは間違っておらず、先代当主や先々代の当主も学園を卒業した後は騎士団に所属していた。


性格が悪い屑どもは穴を見つけたら直ぐに突こうとする。

それは学園に通っていたエリアはよく知っている。


「ただ、やっぱり子供たちにはあまり怪我をしてほしくないって思うの。ギーラスもアラッドたちもね」


「そうですか……まぁ、皆そっちの道に進みそうですが」


「そうなのよねぇ~~~。ルリナも他の令嬢達とお茶を飲みながらお話しするより、剣を振っていた方が気分が良いって言うし……礼儀作法がしっかり出来てるからあまり強く言えないのだけど」


「は、ははは……ルリナ姉さんは結構活発的ですからね」


見た目は頭一つ飛び抜けた美しさを持つ侯爵家の令嬢。

だが、結構自分を鍛えたりしている方が好き。


侯爵家の令嬢なので偶に他の令嬢たちとお茶を飲み、お菓子を食べながらお話しすることもあるが、本人としては気が合う武闘派の令嬢と話している方が気が楽。


休日は服や装飾品が置いてある店を回るよりも、剣を振ったり魔法の訓練を行っている方が圧倒的に多い。


「シルフィーにはもう少しお淑やかになってほしいのだけど……どうなるかしら? 今でも少し元気が良すぎる気がするの」


「……そう、ですね。俺もそんな気がします」


まだ二歳なので人格が形成されるのはまだまだ先だが、アラッドは既にシルフィーからルリナに近いものを感じていた。


(エリア母さん、シルフィーもルリナ姉さんと同じく……いや、もしかしたらルリナ義姉さん以上に活発な令嬢になるかもしれません)


未来視のスキルを持っているわけではないが、なんとなくそんな予感はした。


「そうだ、今度クロちゃんに触っても良いかしら」


「えぇ、勿論構いませんよ。毎日毛はサラサラにしてありますから存分にモフモフしてください」


生のブラックウルフに最初は少々ビビっていたが、アラッドと楽しく戯れているところを見て、モフりたい思いが強くなった。

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