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四百二十六話 騎士団にも名が

異常なほど修練と実戦を重ね、幼い頃から他者よりも前に前にと進み続ける……基本的にはそれしか興味がない弟。


知り合いの令嬢ができたという話は聞いた。

どうやらその後の関係は友人へと発展。

しかし……そこからそれ以上の関係へと発展することはなく、そのことについて喋る弟の表情に、それらしい年頃の思いは浮かんでいなかった。


もしや、このまま一生女を知らずに生きていく?

色んな意味で半神にでもなるのか? と何度か思った。


だが、久しぶりに会った弟の纏う空気から、もしやという考えが生まれた。

それについて問うたところ、あっさりと認めた。


兄として、何故か感無量な感情が湧き上がり……そこからは完全に野郎の会話が行われた。


「なるほど、お前の初めての相手はマジットさんか……ん? マジット、さん?」


弟が捨てた相手の名前に、何故か聞き覚えを感じた。


(どこかで聞いたことがある…………そうだ、騎士団が教官として雇おうとしていた元冒険者で、現ギルド職員のあの人か!)


アラッドから現在の職業、過去の職業を聞き、その名前に関して明確に思い出す。


「お前、凄い人とやったんだな」


「? ギーラス兄さん、マジットのことを知ってるの?」


「どの騎士団でも、教官として迎え入れたい人材だ」


「あぁ……なるほど。凄い解かる」


マジットの実力を知っているからこそ、騎士団から教官として勧誘されているという内容に、即納得。


(単純に指導者としての腕もある……加えて、俺が騎士の爵位を貰った直後に行った……教育的指導? 的なことも出来るから、騎士団としては是非とも欲しい人材だな)


関係を持ったアラッドとしては、それが成功していなくて良かったと、バレない様にほっと一安心。


「でも、そのマジットさんとは付き合わなかったんだな」


「……なんというか、お互いにそういうのは求めてない、って感じだったから」


「そうか。まっ、アラッドがそう思うなら、何も言わないよ……ところでさ、さっき話してくれた内容は本当、なんだよね」


野郎な会話は一旦終了し、話はマジリストンでの活動に戻る。


「えっ……あぁ、ドラゴンゾンビの話? うん、一応ね」


渦雷の能力を限界まで引き出し、狂化やその他の強化スキルをもろもろ発動し、ようやく討伐。

クロの声がなければ内なる狂気に引きずり込まれていた可能性が高いため、本人はソロで倒した認定はしていない。


「でも、クロの声がなかったら暴走してた。だから、俺一人の力で倒したとは言えないかな」


「何言ってるんだ。その後がどうであれ、結果としてお前は一人でドラゴンゾンビを倒したんだ。もっと自分の功績を誇れ」


弟の努力や覚悟を労い、昔の様に頭を撫でる。


アラッドとしてはやや恥ずかしくはあるが、手を振り払う気にはならなかった。


(いやぁ……マジか。我が弟ながら本当に凄いというか凄過ぎるというか……本人には申し訳ないから言えないけど、ちょっと冗談かと思った)


弟があまり冗談を言う性格ではなく、本人の瞳に嘘がない事から、疑いは一瞬で消えた。


(珍しくて強い武器を使っていたとしても、ミノタウロス戦の場合は相手がそれなりの武器を使ってたからであって……アラッドだけの実力であれば、完全にBランクモンスターはソロで倒せるんだよな)


今更……今更同僚であるディックスとの約束を破る訳にはいかない。

自分の弟であるアラッドの方が強いという思いは譲れない。


譲れないのだが、逆にこれから対戦するディックスの弟であるスティームの心がボロボロに崩れないか。

そこが心配になってきたギーラス。


(……まっ、喧嘩を売る様にふっかけてきたのはディックスからだ。あいつの弟の心が折れたとしても、それはディックスがアラッドの実力を見誤ったのが原因だ)


後の面倒な未来に関して思考放棄し、アラッドを連れてラダスを案内し始めた。

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