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四十二話 目指すは高い高い壁

「その……リーナ様はおそらく、ドラング様がアラッド様に勝負を挑んだ一件の礼として、プレゼントを渡したのだと思います」


ノーラスの考えは正しく、礼……というより、リーナとしては迷惑料を払った感覚だった。


「礼って……別に模擬戦を受けるくらい大したことじゃないけど……毎日は嫌だけど」


アラッドにとって、ドラングと模擬戦を行うことぐらい大した労力にはならない。

なので、その件でリーナがプレゼントをくれたとは全く予想していなかった。


「アラッド様にとっては大したことない件かもしれませんが、リーナ様にとってはアラッド様に迷惑を掛けてしまったと思ったのでしょう」


「そうなのか?」


「アラッド様はあんまり気にしてなさそうっすけど……もしかしたら、一度目の決闘の時に思いっきりあばらを殴ったじゃないっすか」


「……そうだな」


初めてドラングと模擬戦を行った際、さっさと終わらせたいという気持ちが強かったので、速攻で終わらそうと思って動いた。


そのため、かなり強めに……しかも拳に魔力を纏って殴ってしまったので、あばらの骨がバキバキに折れて内臓に突き刺さる……なんてことはなかったが、それなりのダメージを入れてしまった。


「模擬戦で骨に罅が入るぐらいのダメージを与えたって聞いて、アラッド様を怒らせてしまったとリーナ様は勘違いしたのかもしれないっすね」


「あぁ~~~~……なるほど。そう思ってしまったのか。それなら納得だ」


お互いに木剣を使っていたので五歳児の模擬戦であったとしても、当たり所が悪ければ骨に罅が入ることは珍しくない。


だが、最初の模擬戦は開幕速攻で身体強化を使用し、拳と脚に魔力を纏った状態であばらを殴った。

握った木剣を一切使わずに拳だけでけりを付けた。


(確かに荒い倒し方だったかもしれないな……)


アラッドはリーナと適度な関係を築けていると思っているが、リーナはドラングの件でやや迷惑を掛けてしまっていると感じていた。


最近はアラッドに絡むことはなく、日々鍛錬に時間を費やしている。

だが、訓練場以外などで視界に入ると一瞬ではあるが反射的に睨みつけていた。


(時折敵意が籠った目を向けられるんだが……多分、俺に勝つのは全く諦めてないんだろうな)


アラッドが考えている通り、ドラングはライバル視しているアラッドに絶対に勝つという目標と父であるフールを超える騎士になるという二つの目標を抱きながら日々を過ごしている。


ただ、そのどちらも達成するのはかなり難易度が高い。


ドラングが日々強くなるために努力を重ねているのはパーシブル家の者であれば全員が知っている。

しかしアラッドも最近はリバーシの制作に時間を取られることもあるが、日々の鍛錬は怠っていない。


そして特別許可を貰い、二日に一度は天候に恵まれればモンスターを狩っている。

最近ではDランクのモンスターとも戦う様になり、レベルは本当に徐々にだがゆっくり上がっている。


(そういえば、新しい目標は父さんを超える騎士になる、だったよな……ど、どうなんだ? 客観的に見てそれはギーラス義兄さんの方が達成する可能性が高いと思うんだが)


ドラングは五歳の誕生日に剣技のスキルを授かり、火魔法のスキルを習得したことで自分はフールを超えられる可能性があると信じて疑っていない。


だが、五歳の誕生日に剣技のスキルを授かり、火魔法のスキルを習得したのはギーラスも同じ。

そして……残酷な現実ではあるが、才能という点においてギーラスはドラングを上回っている。


(ドラングの目標を馬鹿にするわけではないけど、父さんを超えるにはちょっと乗り越えないといけない壁が大きいと思うんだよな)


才能だけで実力が決まることはないが、ギーラスもドラングと同じく毎日鍛錬を欠かさなかった。


「難しい顔をしてるっすけど……大丈夫っすか?」


「あ、あぁ。大丈夫。特に悩みってわけじゃないからな……ん?」


アラッドの耳に複数のモンスターの声が耳に入ってきた。

それが気になり、身体強化を使用しながら声がする方向へと向かった。

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