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四百十七話 直ぐに増える中身

「漢気溢れる超新星に、男よりも頼りになる英雄に……乾杯!!!!!!!!!」


「「「「「「「「「「乾杯!!!!!!!!!」」」」」」」」」」


黒幕の男を倒し終えた後、一番近くて大きい都市がマジリストンだったため、討伐に参加した者たち全員向かい……大人数が入れる料理店で宴会が開かれた。


今回の討伐で亡くなった者は確かにいる。

だが、今は……今だけは全員はっちゃけた。


腹八分目など気にせず料理を食べ、限界を突破する勢いで浴びるように酒を呑む。


「おっ、空になってんじゃねぇか、アラッド。ねぇちゃん! エール一杯!!」


「かしこまりました!!」


誰かがアラッドのグラスが空いてると気付くと、直ぐに追加が入る。


(……ヤバい、もう何杯目か数えてないな)


注がれた本人としては、場の雰囲気的に断れない。


アルハラではなく、追加で注文してくれる者たちに悪気がないことも解っているため、水と交互に呑みながらなんとか吐かずに耐えていた。


「いや~~、あの一撃は本当に凄かった。あの一撃を放つまでの動きも凄かったが、アラッドがドラゴンゾンビを倒すときに放ったあの一撃……まさに神速の一撃だったぜ」


宴会場では、アラッドやマジットの戦闘光景を見ていた者たちが身振り手振りしながら、その凄さを見れなかった者たちへ伝える。


「神速……そうね、あの動きは一瞬だったわ。偶々アラッド君の動きに注視出来てたから線を追えたけど、注視出来てなかったら、まるで瞬間移動しように見えたはずよ」


「僕は本当にそういった動きにしか見えなかったよ」


「アラッドの動きも凄かったが、最後のマジットのあの連打よ……いや~~、マジで半端なかった!!!!」


冒険者、騎士、魔術師など関係無く、アラッドとマジットの活躍話で乗り上がり続けた。


そんな中……当然、宴会場には墓荒し男の討伐に参加していない者たちも参加しており、二人の活躍話を聞き……マジリストンでは有名人であるマジットの活躍話は素直に信用し、多くの者が興奮した。


ただ、若者たちの多くはアラッドの活躍に関しては素直に信じなかった。


デメリットはあれど、優秀なスキル。

加えて、優秀な武器を使用しながら戦った……とはいえ、Bランクのモンスターであれば、まだ六割から七割は信用出来る。


しかし……討伐したモンスターのランクがAランクともなると、さすがに話を盛り過ぎでは? と疑ってしまう。

これに関しては、最奥の部屋より前で戦っていた者たちも似た様な感想を持っていた。


ただ、討伐に参加した者たちは、最奥の部屋から確かに二度の大歓声を聞いた。

そして最奥の部屋に入ると、そこにはドラゴンゾンビの死体と思われる遺体が転がっていた。


「ん? おいおいお前ら、もしかして俺たちが見た光景を信じられねぇのかぁ~?」


酔っ払いが若い参加者たちに絡む。


普段なら表情に不快感が出そうで出ない状況だが、今は薄っすらと不快感が表に出ていた。


「……あいつが強いってのは、認めますよ。俺らじゃ、マジットさんの模擬戦相手なんて出来ない。でも……だからって、Aランクモンスターを一人で倒したなんて話、さすがに信じられないっすよ」


「ん~~~~……まっ、解らんでもないな。でも、アラッドだって余裕綽々な感じで倒したわけじゃねぇんだぞ。時間超過でデメリットが発生するスキルを使って……おそらくだが、体を動かす力量? をミスれば盛大に転ぶ技かマジックアイテムでも使用してたんだろうな」


酔っ払いの観察眼は見事であり、その二つがドラゴンゾンビを倒すうえで重要な要素となった。


「そんで、最後はジャストタイミングを狙って一刀両断。見事倒したとはいえ、ありゃもうちょっとで暴走寸前だった筈だ」


「…………」


「そこまで色々ベットして勝利を手に入れたんだ。俺ら的に言えば、あいつは思いっきり冒険したんだ。同じ冒険者である俺たちが、同僚の勇気ある冒険を認めなくてどうするんだよ」


「…………っす。精進するっす」


「はは! 解ってんじゃねぇか。追いつきてぇ、追い抜きてぇなら、それしか道はねぇ」


酔っ払いの言葉通り、彼らがアラッドに追い付く方法は……限りなくゼロに近くとも、それしかなかった。

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