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四十話 衝突は避けられない

「……アラッド、君の気持ちは凄く嬉しいよ。ただ、その……アラッドが使うべきだと、僕は思うよ」


弟であるアラッドとはそれなりに仲良くやってきていたと思う。

そんな弟が自分の身を案じて高価なマジックアイテムをプレゼントしてくれたことは嬉しい。


だが……さすがに高過ぎる。


(ランク五とランク六のマジックアイテム。これは僕が持つようなものじゃない)


アラッドの厚意を無下にしたいわけではない。

しかし、プレゼントの内容があまりにもギーラスの予想を超えていた。


「ギーラス兄さん、値段のこととかは気にしなくて良いよ。ギーラス兄さんの身を案じて買っただけだから。俺に必要ない道具だよ。普段探索している場所は浅いから、強いモンスターや状態異常の攻撃を行うモンスターもいないし」


そうではない。そういう事ではないんだと言いたげな表情をするギーラスだが、あまりにも真っすぐなアラッドの気持ちに押され始めた。


「学園に入学すればギーラス兄さんの才能や実力に嫉妬する者が絶対に現れる。侯爵家の長男であるギーラス兄さんにちょっかいを掛ける人なんてあまりいないと思うけど、中には馬鹿なことを考える愚か者がいるかもしれないだろ」


「……そう、かもしれないね」


実際に学園の生徒が不慮の事故で死んでしまうというケースは決してゼロではない。

故に、アラッドは大きな才能を持ちながら鍛錬を怠らないギーラスを妬む者が現れると確信していた。


「だから、この二つがあればそういった馬鹿たちの攻撃から身を守れるよ」


「う、うん。そうだね……分かった。有難く使わせてもらうよ」


こうしてアラッドは無事ギーラスに色襲の警鈴と邪破の指輪渡し、上機嫌で部屋から出て行った。


「ふぅーーーーー……とりあえず、貰ったんだし魔力を込めようか」


やっぱりアラッドが使いなよ、なんてことはもう言えなかった。

せっかく貰ったプレゼントなので、自分の為に使おうと決めた。


そしてギーラスが魔力を込めたことでピアスと指輪はギーラス専用のマジックアイテムとなった。


「それにしても、ランク五とランク六、か……学園に入学してもこんな高価なマジックアイテムを身に着けているのは僕ぐらいじゃないかな?」


公爵家の令息や令嬢なら身に着けているかもしれないが、それでもアラッドがギーラスに渡したマジックアイテムは他の物と比べて段違いな性能を持つ。


ランク五、六のマジックアイテムであれば大抵の攻撃や状態異常を無効化できる。


(……授業で模擬戦をするときは外した方が良いかな? でも、害意を持つ攻撃に対して結界を張るんだったよね……それなら身に着けていても問題無いかな)


模擬戦という殺し合いではない戦いに害意を持ち込むことはない……普通はないのだが、模擬戦の場でただただギーラスを痛めつけようとするアホが現れるかもしれない。


何処に邪が潜んでいる分からない魔境で生きて卒業するにはピッタリのマジックアイテム。とアラッドは思っていた。


「プレゼントしてくれたとはいえ、アラッドには大きな恩ができてしまったね……冒険者になった時、何かサポートできることがあれば支えよう」


アラッドはまだ五歳にしては異様に賢い。

だが、世渡りが上手いかどうかでいえば、そうではないとギーラスは思っていた。


(アラッドは強い……強いからこそ、自分より弱い者が己を侮ることを嫌う。そしてアラッドが冒険者になるのは……確か十五歳を過ぎてからだったか。今でさえ強いのに、このまま順調に強くなり続ければ……いったいどれほどの強さになる? おそらくBランク……いや、もしかしたらAランクの冒険者に匹敵する力を身に着けているかもしれない)


そうなれば、多くの冒険者と衝突する可能性がある。

冒険者の中には爵位を継げない貴族の令息や令嬢もいる。


侯爵家の三男であるアラッドよりも上の者は殆どいないが、厄介事に巻き込まれる可能性は大いにある。

そういった時に必ずサポートしようとギーラスは決めた。

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