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三百六十四話 その変化は知らない

戦闘音が聞こえる方向になるべく気配を消しながら、速足で向かう。


(白い雷に……黒い雷?)


ユニコーンが雷魔法を使うため、その点に関しては疑問を持たない。

寧ろ絶対にユニコーンがいると確証が持て、テンションが上がる。


ただ、黒い雷を操るモンスターは聞いたことがなく、頭を捻るアラッド。


(黒い雷……もしかして、闇落ちしたユニコーンとか?)


そんな話は聞いたことがない。

アラッドの情報にはないが……歴史を遡ると、人の手によって無理矢理闇に落とされたユニコーンが、黒い雷を操るようになった、という事実はある。


「ストップ、クロ」


戦闘を目視できる距離まで接近できたため、一旦脚を止める。


「あれは……ケルピー、か?」


通称、水上の馬。


馬の様な見た目だが、ヒレがついており、一般的な馬が走ることが出来ない水の上を駆けることが出来る。


そんなケルピーの額に、一本角が生えていた。

これに関しても、そこまで珍しくはない。

理由は定かではないが、角が生えるケルピーがいるという情報は、冒険者であれば割と知っている内容。


当然、アラッドもその情報は頭に入れている。

だが……目の前のケルピーは、そもそも肌の色が通常種と違い、ダークな色が強く、角も長い。


過去に数回しか戦闘経験はないが、それでも普通のケルピーではないと解る。


(というか、ケルピーが使う属性魔法は水だろ。なんで雷を使ってるんだ……)


真面目に考えようとしたが、今は考えるだけ時間の無駄だと判断し、放棄。


次に視線を向けたのは、そのケルピーと対峙する一体のユニコーンと……その後ろで怯えている体が小さいユニコーン。


(……先日、俺に戦意を向けてきた相手は、あのユニコーンだったのか?)


向けられた視線に戦意だけしか感じなかった。

加えて、その戦意の強さと警戒心を考慮すると、目の前で子供を守る様に戦うユニコーンしか考えられない。


(というか、あのケルピー……絶対にこの状況を悪い意味で楽しんでるな)


少し離れた場所からでも、邪悪な笑みを浮かべているのが解かる。


怯える子の前で、親をいたぶる。

そして最後は殺し、絶望を与えてから子も殺す。


なんて事を考えている様に思え、他人事ではあるが……少なからず怒りが湧いたアラッド。


「ワゥ」


「……確かに、前回は俺が戦ったもんな」


先日、Bランク相当の戦力を持つオークシャーマンと戦った。


クロとしても、あのオークシャーマンは良い遊び相手だと感じていた。

そのため……今回は自分が戦いたいと主人に伝え、アラッドはその要望に応じた。


「分かった。素材は欲しいが……最悪、ぶっ潰しても良い」


「ワゥ!!!」


主人の許可を貰い、勢い良く白と黒の雷が火花を散らす戦場へ乱入。


「「ッ!?」」


当然、両者は突然の乱入者に驚く。

いきなり自分たちの戦いに割って入ってきた。


その現実だけではなく……その戦闘力の高さに、先程まで邪悪な笑みを浮かべていたケルピーの表情が崩れる。


「俺は、あんたたちに危害を加えるつもりはない」


クロが襲い掛かる相手は、ケルピーのみ。

ユニコーンには一切そういった感情を向けない。


「……」


突然戦闘に割って入ってきた巨狼、そして一人の人間。


自分たちに敵意や殺意を向けられてはいないが、それでも油断はできない。


アラッドとしても、特にその警戒心を無理矢理解こうとはしない。

ただ……お前たちに敵意はないという示す為、ホールドアップした状態で比較的体が大きいユニコーンの前に立った。


強化スキルは使用していない。体から魔力も出していない。

現状でユニコーンのタックルや白い雷を食らえば、最悪殺られてしまうかもしれない。


それは理解しているが、それでも今回は明確に殺意や敵意はないと伝えるのが仕事だと思い、視線を切らさずユニコーンの前に立ち続けた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ユニコーンをテイムできたら角取放題だな
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