表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
359/808

三百五十九話 処女でも無理?

「ユニコーンの角の納品依頼、ねぇ……」


目に留まった依頼書の内容は、Bランクモンスターであるユニコーン。


基本的に人に危害を加えず、その外見からモンスターではなく神獣だという説を唱える者もいるが、冒険者たちからすれば、とりあえずモンスターであることに変わりはない。


発見難易度の難しさと、外見からは解らない戦闘力の高さ。

それらが組み合わさり……一部では、Aランクに認定しても良いのでは? という声も上がっている。


「おっ、その依頼を受けるつもりなのか?」


「いや、珍しい依頼だなと思って」


声を掛けてきた先輩は、アラッドにその依頼書について軽く説明した。


「その依頼は所謂塩漬けされた依頼書だ」


「塩漬け……ということは、張り出されてから半年ぐらい経ってるんですか?」


「俺の記憶が正しければ、一年は経ってると思うぞ」


「一年!?」


塩漬け依頼の中では珍しい部類ではないが、まだ冒険者としてルーキーのアラッドとしては、その月日に驚かずにはいられなかった。


(……よく諦めないな)


諦めたらそこで試合終了。


アラッドも気に入っている名言ではあるが、ただ待つ時間としては、長過ぎる時間だと感じる。


「この依頼の主は、どうしてもユニコーンの角が欲しいって訳じゃねぇみたいだからな?」


「どうしても欲しいから、一年以上経っても待っているんじゃなくて?」


「錬金術師として、そこそこ成功してる奴だ。俺や仲間も偶に世話になってる」


「えっと……それなら、単純に研究材料や、錬金術の素材として欲しいというだけだから、いくらでも待てるってことですか?」


「そういうことだな」


先輩冒険者の言う通り、依頼主の錬金術師は特に何かに困っている訳ではない。


なので、この先二年三年……五年先であっても待てる。


「だから、この報酬金額も嘘じゃねぇんだよ」


「……報酬金額は、それ相応で魅力的ですね」


「だろ」


達成金額は、白金貨三十枚。

ユニコーンの角の希少性を考えれば、Bランクモンスターの素材とはいえ、妥当な金額と言える。


「俺も一瞬は受けようと思ったぜ。でもよ、今まで訊いてきた話を思い出すとな~、中々受けようとは思えねぇんだよな」


「目撃情報がある場所は、ゴルドスからそれなりに離れてますからね……それに、周辺に生息してるモンスターの

強さも、並ではないですよね」


「おっ、それも解るか」


「ある程度ですけどね」


目撃情報の周辺に生息するBランクモンスターは、アラッドが考えている通りユニコーンだけではない。


その他にも強敵は生息しており、ユニコーンは非常に警戒心が強く、そもそも戦えるかが怪しい。

一説には、処女の頼みであれば自身の角を差し出す……と言われているが、全く確実性がないため、仮に処女の冒険者が依頼に同行したところで、絶対の保証はない。


「どうするんだ、受けるのか?」


「……他に面白そうな依頼がないんで、受けるのもありかなって思ってます」


「マジか……この依頼を受けるってなると、最低でも一週間は……あっ、アラッドの場合はそうでもない、か」


クロという見るからにそこら辺のモンスターとは格が違う従魔が、アラッドの仲間であることを思い出した。


「でも、最低数日は……やっぱり一週間ぐらいは掛かるよな。受けるにしても、もう少し休んでからの方が良いんじゃないか」


「昨日先輩たちにたくさん料理や酒を奢ってくれたんで、十分休めましたよ」


「あ、そうか……まぁ、それなら良いんだけどよ」


一般的な冒険者からすれば、あり得ないスケジュール。


しかし、先日の戦闘では特殊な個体である強敵、オークシャーマンと戦った。

その戦闘を終え、帰ってきてから先輩たちに飯を奢ってもらい、大浴場で汗を流してぐっすり寝れば……アラッド的には十分休んだことになっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ