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二百三十三話 本当に強くなった

「……悪い、リン。良い武器なんだろうけど……こう、あんまり他の奴と比較できない」


「そうっすよね。問題ないっす」


現在アラッドは普段通り、変わらず森の中に入ってモンスターとの実戦を行っている。


そして今はリンが造った武器を使い、以前造った大剣と比べて質は……使い心地はどうなのかを比べていた。


ただ……大剣がそれなりの出来であり、アラッドが数年前と比べて数段強くなっている。

今戦っていたモンスターはDランクのオークだが、オーク程度だと本当にあっさりと勝負が終わってしまう。


「やっぱりあれっすよね。モンスターが弱いと、比べるものも比べられないっすよね」


「ん~~……握り心地や重心? は前よりも良くなっている気がするけど……そうだな。数年前と比べて身体能力は上がったし、体格も良くなったからな」


体が大きくなれば、それだけで身体能力の増加に繋がる。


数年前までならオークも悪くない実戦相手だったが、今ではちょっと遊ぼうという思いすら湧かない。


「ありがとうっす。でも、やっぱりCランクぐらいのモンスターじゃないと上手く比べられないっすよね」


「……ダンジョンでもあれば、上手く比べられそうですけどね」


護衛の一人として付いてきたレオナがぽつりと呟いた。


「ダンジョンか……確かにそうだな。階層数が多いダンジョンなら、強いモンスターがいるから武器の良し悪しを比べるのに最適だな。それに、モンスターが無限に湧いてくるから現役の冒険者たちの邪魔にならない」


「アラッド様。その考えは分からなくもありませんが、旦那様と奥様が認めないと思いますよ」


「そうですね。ダンジョンを潜るとなれば、帰ってくるまでに何日も……十日ぐらいかかるかもしれません。それを旦那様や奥様がお許しになると思いますか?」


「うぐ……ま、まぁそうだよな」


二年ほど前からデルドウルフに進化したクロの脚力が大幅アップしたこともあり、ガルシアたちの中で二人以上の護衛を連れていくことを条件に、一泊だけなら鉱山に向かっても良いと特例が下りた。


二人ともアラッドが超強く、強くなる為に変わらず努力を続けているのは当然知っている。


ただ、それでも心配なのだ。

親として、その思いだけはどうしても消えない。


家から外出する期間が数日、十日ともなれば許可するわけがない。


(今まで何回も鉱山には向かってるけど、死にかけたことは一度もない。ここ最近では……あのトロル亜種との戦いだけだ……なんてことを伝えても、意味はないよな)


今ならBランクのモンスターが相手でも、手札を総動員すればそれなりの勝率を確約できる。

しかしそれを伝えたところで、二人が理解したところで……それとこれは話が別。


「はぁ~~、ダンジョンは冒険者になってからの楽しみってことだな」


「そうなりますね。冒険者になってからであれば、もうアラッド様のご自由に動けるようになります」


「そりゃ冒険者になれば、自身の行動は基本的に自己責任だからな」


元冒険者である母親のアリサに、自身の体験談や耳にした噂話など……過去に一度聞いたことがある話であっても、思い出して記憶に定着させる為、何度も苦い話を聞いてる。


だが、自己責任ゆえに自由があるんだな~~……と、アラッドは話を聞くたびに同じことを思う。


「ただ……もうちょい強い奴と戦いたいってのはマジだからな」


「狂化に慣れるためですよね」


「そうなんですよ。EランクやDランクだと、手加減してても速攻で終わるんで、せめてCランクじゃないと……いや、頑張ればDランクのモンスターが相手でも頑張れるんですけどね」


兵士や魔法使いの間にも、アラッドが狂化というそれなりに珍しく、扱いが難しいスキルの使用に慣れようと頑張っているという話は流れている。


強化系のスキルを狂化だけにすれば良いのではと思うかもしれないが、レベルがそれなりまで上がってしまい……現在のレベルは二十九。


冒険者基準で考えると、そろそろ中堅かな~~っといったところだが、アラッドは他者よりもレベルアップする際の伸び幅が大きい。


その分レベルも上がりにくいが、現在の身体能力を考えると、そこに狂化の効果がプラスされてしまうとオークぐらいならワンパンで終わってしまうのだ。

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