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二百十五話 色が黒かったら……

パーティーが行われる街に到着し、その日はのんびりと過ごし……翌日は用意していたオーダーメイドの服に着替え、開催される屋敷へ馬車で向かった。


「アラッド、今日も美味しい料理がたくさん用意されているから、遠慮せずに食べて構わないよ」


「それは楽しみですね」


今回のパーティーでは、知人がそれなりに参加しているという有難い点がある。


だが、アラッド的にはやはり……参加する者たちの為に用意されている高級料理が非常に楽しみだった。


(あぁいった心底美味いと感じる料理が食べ放題なのは、パーティーの良い点だよな)


社交界に参加することに対して苦手意識を持つアラッドだが、高級料理が食べ放題という点に関しては社交界に参加する価値があると思っている。


(レイ嬢たちも参加するらしいし……以前参加した時のパーティーよりは楽しめそうだな。いや、前回のパーティーはあれはあれで楽しかったか)


パーティー自体は途中で抜け出したが、アリサに連れられて女性騎士たちが訓練を行っている場所に到着。

そして新人騎士であるモーナと模擬戦を行い、国に仕える現役騎士のレベルを肌で感じることが出来た。


(あれから一年ぐらい経ったけど……あの頃よりは、モーナさんと良い勝負ができそうだな)


モーナも第三王女であるフィリアスを守るために日々努力を積み重ねているが、それはアラッドも同じ。

以前モーナと模擬戦を行ったころと比べて、体は確実に大きくなっていた。


「レイ嬢やベルたちもいますし、以前参加したパーティーよりは楽しくなるかと思ってます」


「そうだね。同世代の友達がいれば、退屈することは少ないだろう」


それはその通りだった。

以前のパーティーではアラッドが侯爵家の三男だからという理由で、縁を持とうとした令嬢たちが寄ってきたが、アラッドはそういった役割を全て弟であるドラングに押し付けた。


そして自分一人で美味い高級料理を堪能し続けた。


特に他の家の子供との関わりに興味がないアラッドにとっては、それはそれで悪くない状況ではあったが、若干退屈に感じる部分がゼロではなかった。


(そういえば、この街に居る間は殆ど体を動かせないよな……あんまり動かない時間が続くと体が鈍りそうだし、後で父さんに頼むか)


これからパーティーが終わるまでは当たり前だが、のびのびと体を動かすことは出来ない。

鍛錬を積み重ねることが日常のアラッドにとって、一日の間に少しぐらいは必ず体を動かしたい。


そんなことを考えていると、目的の屋敷へと到着。


(…………うちの屋敷に比べると、少し小さいか?)


最初は建物の大きさに圧倒されることが多かったアラッドだが、既にかなり大きい一軒家の存在感には慣れてきた。

加えて、前世では目の前の屋敷以上にデカい建物は普通に存在していたので、そもそもそこまで驚くような存在ではないなと思えた。


(それより、大量の馬車が並んでる方が驚きの光景というか……馬車の色が全て黒なら、完全にヤ〇ザの集会だよな)


なんてアホな事を考えながら屋敷に入り、目的の会場へと向かい……途中でフールとは別れる。


「それじゃ、アラッド。また後でね」


「はい、また後で」


周囲にアラッドと同じく、親と別れて子供たちだけのパーティーが開かれる会場へと向かう令息や令嬢が多数存在する。


そんな中で……アラッドは少し離れた位置から他の令息や令嬢たちからチラチラと見られていた。

元副騎士団長であるフールの容姿は割と知られており、その息子であるアラッドの容姿も噂程度ではあるが、それなりに広まっている。


なので、今回のパーティーに参加した者が三男であるアラッドであることは子供たちも分かってはいたが、こういった場には滅多に現れない存在なので、どう接すれば良いのか分からない。


ただ、そんな空気が漂っている中で、一人の令息が元気良くアラッドに声をかけた。

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