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二百十一話 もう少し休みたかったが

フールの執務室に訪れ、流されるままソファーに座り……話もそこそこに本題へ突入。


(……もしかして、そういうことなのか?)


アラッドが心臓をドキドキさせながら予想していると、若干……少し違う答えがフールの口から出た。


「アラッド、そろそろもう一度社交界に出てみないか」


「……あ、あぁ。なるほど」


フールが伝えたかった話は、今度開かれるそこそこ大きな社交界に参加しないかという内容だった。


(ぱ、パーティーの話か……そうだな、個人的にはもっとのんびりしておきたかったという思いはあるけど、やっぱりパーティーぐらいはちょろっと出ないとな)


てっきり、先日個人的に会った四人の令嬢方の誰かが……その家が、婚約の話を持ちかけてきたのではと予想していたアラッドにとって、フールの口から出た内容はまだ厄介過ぎないものだった。


「どうかな。今度の社交界にはレイ嬢やマリア嬢たちに、ベル君やルーフ君たちも参加する」


「そうなんですね……まぁ、それなら」


誰も知り合いがいなければ、以前と同じくパーティー会場に置かれている高級料理ばかりを食べ続ける時間になったかもしれないが、レイ嬢たちがいれば……まず、向こうがアラッドを放っておかない。


「あと、ドラングはその社交界に参加しないから安心してくれ」


「それは有難いです」


以前パーティーに参加した時とはかなり状況が違うので、ドラングとアラッドがぶつかる……という可能性がゼロではない。


こうしてとりあえずパーティーに参加することを了承し、アラッドは自室に戻った。


「……アラッド様、その……また表情が優れませんが、何かあったのですか?」


「いや、まぁ……もうちょっと休息を楽しむ期間が欲しかったなって思ってるだけだ」


パーティーは約一か月後に開催される。


一か月と言えばそれなりに長い期間ではあるが、ここ最近は疲れる時間を過ごしていたこともあり、アラッド的にはもっと長い休息期間が欲しいところだった。


「大体一か月後ぐらいに、パーティーに……社交界に参加するんだよ」


「社交界ですか。貴族の令息であるアラッド様なら、そういったイベント? に参加しても不思議ではありませんが」


「そりゃそうだろうな。でも、俺の性格はもう解るだろう」


「……はい、それは勿論」


騎士や学者、宮廷魔術師の道などに進むつもりは一ミリも無く、目指す道は冒険のみ。


そんなアラッドにとって……貴族が集まる社交界など、欠片も参加したいと思わない。


「俺だって、家を出るまでに何回かはそういったパーティーに出席しないとなとは思ってたから、別に良いといえば良いんだけどさ」


「……貴族って、やっぱり大変なんっすね」


「………………大変かもしれないけど、民から金を貰って暮らしてるわけだから、大変なのは当然なんだろうな」


アラッドの子供らしからぬ言葉にガルシアたちは「流石!!!」と思ったが、よくよく考えればアラッドは自ら生み出した商品で並の商人や貴族より稼いでいる。


それを考えると、民から金を貰って暮らせている……という枠からは外れているのでは?

と思った五人だが、全員その考えは口にすべきではないと思い、胸の内に留めた。


「それでは、新しい正装をお買いになるのですよね」


「あぁ~~~~……そう、なるな」


前回社交界に参加するために正装購入してからそれなりに月日が経っており、アラッドの体も成長していた。

そうなると、当然新しい正装を買わなければならなくなるのだが……アラッドはそういった買い物を非常に面倒に感じている。


(母さんに任せるか? でも、そうすると結構お高くて派手なやつを買ってきそうな気が……だからって俺が買うってのもな……センスにちょっと不安が残るんだよな)


ひとまず、新しい正装は絶対に必要なのは間違いない。


自分のセンスを不安に感じているアラッドはエリナたちを引き連れ、皆の意見を聞きながら正装を購入することになった。

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