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百八十九話 手のひらで躍らせる

「見事な戦いぶりだった」


「ありがとうございます。ただ、レイ嬢も素手での戦いに慣れれば、あれぐらいの動きは直ぐに出来るようになりますよ」


ゴブリンとの戦いを観た限り、素手による戦いにおいても、並ではない才能を持っていると感じた。


身体能力は抜群に高いので、後は敵の攻撃を冷静に見極められればフォレストモンキーと戦っていたアラッドの様に、一切傷を負うことなく倒すことが出来る。


(仮に俺と同じぐらいのレベルになれば、身体能力はかなりえげつなくなるよな……身体強化のスキルとか使わずとも、正拳一発で終わらせそうだ)


アラッドもレベルが上がりにくい代わりに、レベルアップ時の恩恵が大きいことを考えれば、他者よりも同レベルであれば身体能力は上。


だが、レイ嬢の超人体質を考えると……いずれ身体能力では負けてもおかしくない、と思えた。


「ふむ、慣れか。やはりそこが重要なのだな」


「そうですね。どんなモンスターが相手でも……武器を使っていても、慣れれば……考えるより先に体が動く。的な感じになると思います」


「「「ッ!」」」


アラッドの言葉を聞いたバイアードやグラストを含む騎士たちは、全員大なり小なり表情に驚きが出ていた。


(まだ七歳という歳で、既にその域に達しているのか……いや、常時それが行えるという雰囲気ではなさそうだが……いやはや、全くも恐ろしい)


お世辞ではなく、冗談抜きでバイアードはアラッドのことを心の底から良い意味で恐ろしいと感じた。


(アラッド様の経験値を考えれば……いざという場面で、咄嗟に体が正解に動いてもおかしくはない……おかしくはない、が……やはり凄いというか、圧倒的に飛び抜けていますね)


アラッドが毎日どれだけ濃密な訓練を積み、実戦を行っているのかを知っているからこそ、グラストはアラッドが見栄を張った内容を話しているのではないと理解している。


その後の戦いもアラッドはメイン武器であるロングソードや、多彩な技がある糸を使わずに体術だけで遭遇するモンスターを倒し続けた。


遭遇したモンスターの中には勿論、ゴブリンやフォレストモンキーなどの人型以外もいたが、そんな相手とも戦い慣れているアラッドは慌てることなく、レイ嬢の手本になるような動きで全て撃破。

そしていつも通り、慣れた動作で解体まできっちり行う。


(いや~~~~~、流石アラッド様っすね。本当に慣れていらっしゃる)


レイ嬢の見本となる様に戦ったアラッドの動きにダリアは心底感心していた。


(多分っすけど、今日遭遇したモンスターは今まで戦ってきたことがあるんでしょうね)


騎士であるダリアはアラッドの護衛として普段は森の中に同行しないが、実際に目の前で戦うアラッドの様子を見て、そこは確信できた。


事実として、アラッドは本日出会ったモンスターは過去に倒したことがあった。

モンスターと戦い始めたばかりの時は、初めて出会うモンスターはなるべく全力で……速攻で倒していたが、今ではそれなりにレベルも上がり、命懸けの戦いにも慣れた。


といった感じである程度余裕があるので、最近では色々と試しながらも戦うことが多い。

普段は使わない大剣や双剣、槍などを使って戦う……もしくは糸とその他の武器を併用して扱い、相手を手のひらで躍らせるような戦いを行う。


相手の動きを見てから動くことも多いので、一度ゆっくり戦ったことがあるモンスターであれば、次にどういった動きをするのかある程度把握出来る。


(ッ!!?? なんだ、この感じ……)


ある程度モンスターと戦い続け、昼食を食べ終えてから数十分後……アラッドは明確に自分たちに向かって殺意を向けている存在に気付いた。


「アラッド様……」


「分かっています。どうやら……主? 的な存在の縄張りに入ったのかもしれませんね」


アラッドの言葉通り……かもしれないと思ったバイアードだが、周囲の木々に爪痕がないのに気付き、その可能性は低いと判断。


(主の様なモンスターがいるかどうかは分らぬが……この感じ、覚えがある)


バイアードが何かに気付いた瞬間、一体のモンスターが猛スピードでアラッドたちに近づいてきた。

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