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百七十九話 見て盗め

三体のヒポグリフに襲われ、無事に討伐した日の翌日……アラッドたちは前日と同じく朝から街の外に出てモンスターを狩りまくっていた。


(ファイターにナイト、アーチャーにタンクか……随分と揃ってる集団だな)


そして昼手前頃、コボルトの上位種軍団と遭遇し、アラッドが応戦。


アラッドが一人で戦うと言った時は、止めこそしなかったが少し心配に思っていたレイ嬢。

だが、いざアラッドが戦っている様子を見ると……そんな不安はあっさりと吹き飛んだ。


(昨日の戦いで分かってはいたが……多数との戦いにも随分と慣れているな)


一対多数の戦いなど、まだ子供に教える内容ではない。

実際にアラッドもそういった戦い方は教わっていなかった。


だが、実戦では簡単に複数の敵と遭遇するので、アラッドはその戦いの中で自然と多数の敵と戦う上で重要なことを学んでいった。


「……随分と、多数の敵と戦うことに慣れている様だな」


「バイアード様も先日、実際に観たようにアラッド様に糸という特殊なスキルがあります」


「その糸を使い、危ない攻撃を防ぐ……もしくは躱しながら実戦の中で確実に慣れていったということか……はっはっは!!! 本当に常識外れだ」


話だけを聞けば、確かに便利なスキルに思える。

しかし、糸で相手の攻撃を防ぐにしても、目では見えない攻撃に関しては感覚で防ぐしかない。


それが分かっているからこそ、バイアードは本当に常識外れだと口にした。


(それに……今のアラッド君の戦い方は、まるでレイに多数の敵との戦い方を教えているかのようだ……いや、実際に正しい戦い方を見せてくれているのだろう。レイと同じ得物のロングソードを使い、瞬殺できる敵を直ぐに殺さない)


バイアードが考えている通り、アラッドは丁度良いモンスターと遭遇したので、レイ嬢に複数の敵との戦い方を教えようと思った。


とはいえ、実際こういった場面ではこういった動きをした方が良いなど、いちいち口には出さない。

ただただ四体のコボルト上位種の攻撃を上手く防ぎ、躱す。

そして丁度良いタイミングを狙って、ガラ空きの部分に斬撃を叩きこむ。


レイ嬢の現段階での身体能力を考えれば、さすがに戦い方を学んだところで、実際にDランクである複数のコボルト上位種に勝つことは不可能。


だが、それでもレイ嬢はアラッドの動きを少しも見逃さない様に、盗めるところは盗もうと真剣に戦闘光景を見ていた。


(何分戦った? 体感では三分から四分ぐらい戦ったと思うから……うん、もう終わらせても良いか)


コボルト上位種はまだまだ動けるほどスタミナはあるが、前衛二体はアラッドの斬撃や蹴りを受けて負傷しており、ベストな状態ではない。


そんな状態ではアラッドの斬撃を防ぐことは出来ず、あっさり首を斬られてブラックアウト。


アーチャーを守るために拾った大盾を使ってガッチリ守ろうとするタンク。

だが、防御だけに集中しているという隙を狙い、アラッドはスレッドサークルを使用。


大盾を持っているコボルトタンクの腕を切断。


「……ッ!!!」


あまりにも綺麗に切られ、自身の腕が斬られたことに気付くのに遅れた。


そしてその数瞬でアラッドはアーチャーの矢を躱して近づき、今度は首をロングソードで切断。

最後に残ったのは後衛のアーチャーのみ。


しかし最後の一人になったところで逃げようとはせず、弓を構える。

最後の最後に一射だけ出来る距離があったが……その距離をロングソードをぶん投げて潰した。


「グギャッ!!??」


最後の一射を放とうと集中していたアーチャーはそれを躱せず、モロに投擲を顔面に食らってしまった。


放たれたロングソードは当然、アーチャーの顔を貫き、絶命させた。


「うむ、見事だ」


剣は敵を斬り裂く為だけの武器ではない最後の最後に実践してみせたアラッドに、バイアードは心の底から賞賛を送った。

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