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百六十九話 少しぐらい残してくれ

「いやぁ~~~~……マジで俺らやることないな」


「そうですね。彼一人で直ぐに終わらせてしまいますね」


屋敷を出発してから二日目、今日も順調にモンスターがアラッドが乗る馬車を襲いに来る。

ただ、今のところCランク以上のモンスターが襲ってくることはない。


そこでガルシアは奴隷としての務めをしっかりと果たそうと思い、クロからモンスターが接近したという報告を受け取ると、直ぐにグラストに許可を取って飛び出す。


そして自慢の五体で時間を掛けずに瞬殺。


(アラッド様が落札した奴隷なので普通ではないと思っていましたが、本当に高い身体能力を持っていますね)


ガルシアは一応リンが造った大剣を背中に装備しているが、出会った魔物は全て大剣を使わず素手で瞬殺している。

大剣を使わない理由は、リンが造った大剣に不満があるのではなく、襲い掛かってくる相手が大剣を使わずとも倒せる。


加えて、大剣を抜く時間を削減。

少しでも時間を掛けずに倒そうという思いから、結局今回の道中では一度も大剣を使っていない。


「グラスト様、討伐終わりました」


「うむ、ご苦労だ。モニカ、アラッド様も呼んでくれ」


「はい」


ガルシアが倒したモンスターはアラッドが迅速に解体を行い、食べられる肉は夕食に焼かれて胃袋に入る。


アラッドの空間収納はまだまだスキルレベルが低いが、フールから借りているアイテムバッグであれば大量の素材を入れることが出来る。

保存性も高いので、肉は時間が経っても問題なく食べられる。


「ガルシア、本当に仕事が早いな」


「ありがとうございます、ダリアさん」


「そんな堅苦しくなくて良いって。もっと軽くいこうぜ」


「えっと……俺は奴隷なんで、今のままでも大丈夫です」


本当はガルシアも砕けた感じで喋りたい気持ちはあるが、ダリアが軽い感じで良いと言ってくれても、いざという場面で奴隷といった立場の言葉が出ない可能性がある。


それでアラッドに迷惑を掛けてしまうかもしれないと考えると、本人が了承していても少し堅苦しい喋り方になってしまう。


「真面目だな~~。でもさ、ガルシア。もっと俺たちに仕事を残してくれても良いんだぞ」


「でも、俺は一応戦える奴隷なんで、戦える時は戦わないと……」


「いや、その気持ちはとても立派だと思うぜ。でもよ、馬車を操ってるグラストさんはあれだけど、俺とモニカはその戦える時にお前と同じく、戦わないと駄目だろ。なぁ、モニカ」


「そうね……別に戦いが好きな訳じゃないけど、少しぐらいは仕事を残しておいてほしいって思うわね」


モニカは勿論戦闘大好き人間ではない。

だが、襲い掛かるモンスターの討伐を全てガルシアに任せるのは、少なからず申し訳なさを感じる。


ダリアも流石に少しは仕事をした方が良いと感じているが……ガルシアは戦闘で全く疲れてないので、寧ろ何かあった時の為に二人の力は温存しておいた方が良い、と考えていた。


しかし二人が真面目に少しぐらいは仕事を残しておいてほしいと思ってるのが分かったので、次に遭遇するモンスターは二人に任せることにした。


そして六時間後……次に遭遇するモンスターはダリアとモニカが対処すると決めてから、パタッとモンスターが馬車を襲いに来ることはなくなった。


「はっはっは! それから結局モンスターが一度も襲ってこなかったのか……まぁ、それはそれで良かったんじゃないか」


「そんなことないっすよ。折角きっちり仕事しようと思ってたんすよ。なぁ、モニカ」


「そうね……ガルシアばかりに任せていたし、今日は護衛としての務めを果たそうと思っていました」


アラッドとしては、自分がぐっすり寝ている間……モンスターや盗賊が襲ってきても直ぐに対処出来る様に見張ってくれている二人は十分に護衛の仕事をしてくれていると思っている。


「そう思ってくれてるだけで俺としては頼もしいよ……グラストさん、明日には着きそうですか?」


「えぇ、安心してください。ここまで順調なペースで進めましたので、明日の昼過ぎには到着できます」


グラストの宣言通り、アラッド一行は翌日の昼手前に目的の街……レナルトに到着した。

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