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百三十五話 それぞれの思い

太陽がかなり傾き、あと一時間も経てば夕食の時間となる。

そんな時間までアラッドたちは存分にお茶会を楽しんだ。


アラッドを除いたベルたちはヴェーラたち四人のうち、誰かと仲良くなって婚約にもっていければ良いと父親から言われていたが、令嬢たちと仲良くなることなどすっかり忘れて話し合いを楽しんでいた。


それはヴェーラたちも同じく、本来はアラッドになるべく興味を持ってもらう様に仕向け、あわよくば婚約関係を結んでほしい……そう言われていた四人だが、四人ともアラッドに興味を持ってもらうどころか自身がアラッドに強く興味を持つ状態となっていた。


(魔法の腕に関しては、次の機会に見せてもらうべきね)


(剣の腕前は素晴らしかったですが、魔法の腕前はどれほどのものなのか……やはり非常に気になりますわ。どうにかして上手く誘って……なるべく二人で話せる状況が良さそうですわね)


(魔法を使ってモンスターを倒すとも言ってたから……多分、魔法について興味はあるよね。できればゆっくり話し合いたいな)


ヴェーラ、エリザ、ルーフの魔法の才が高い組はどうにかしてアラッドの魔法の腕を確認したい。

そしてあわよくば、ゆっくり話してみたいと思っていた。


(同じ歳であれほどの力と技術……ふっふっふ。やはり一度だけというのは勿体ない。是非ともアラッドとは何度も剣を交えたい…………いっそ、彼の屋敷を訪れてみるか?)


今回のお茶会でアラッドに出会う前から関心を持っていたレイだが、実際に剣を交えて更にアラッドに対して関心を持つようになった。

恋愛的な感情……というよりも、友情や尊敬に近い感覚を抱いているかもしれないが、それでも本人は無意識に一気に距離を詰めようと考えていた。


(特殊なスキルを持ち、剣の技術……そして身体能力であのレイを上回っている)


マリアは細剣技のスキルを五歳の誕生日に授かっており、その技術は中々のもの。

技術という点においてはレイを上回っているが、身体能力に関してはレイが完全に勝っている。


そしてその身体能力は女子だけではなく、同年代の男子すら完全に越えている。

そんなレイと模擬戦を行って途中でアラッドが止めたが、内容はアラッドの圧勝だった。


(おそらく、魔法の腕に関しても並以上……加えて、錬金術という珍しい趣味を持っている……とんでもない方ですね)


マリアは同年代の中で自分が一番優れている存在などと思ってはいない。

自分よりも優れた能力を持つ者は多いと思っているが、決して自分が全体的に見て下にいる存在だとは思っていない。


だが、そんな自分より……自分より優れた存在よりも上の存在だと認識。

まだ恋愛的な感情こそ湧いていないが、全体的にアラッドが尊敬に値する人物だと感じた。


(……まさか、あんな力を持っているなんてね。糸か……なんとも恐ろしい能力だよ)


唯一、一人だけアラッドが糸というスキルを使ってどのような攻撃を行えるのか知ったベル。

その内容を思い返すだけで身震いしてしまう。


それでも決して喧嘩っ早かったり、狂暴な人物ではないと知れて一安心。

寧ろあの場では紳士寄りの男子だと感じた。


是非ともアラッドとは友好的な関係を持ち続けたい。

心の底からそう思える程、ベルから見たアラッドは敵に回したくない男。


(まさかあんなに凄げぇとはな……長男のギーラスさんよりも強いんじゃないか?)


リオは実際にパーシブル家の長男であるギーラスが戦うところを観たことはないが、それでもかなり実力が高いという話は聞いている。

入学した学園でも既に強者としての地位を確立。


だが、今日……目の前で残念ながら身体能力ではまだ敵わないと思っていたレイを模擬戦で圧倒。

レイは模擬戦が終わると疲れた表情をしていたが、アラッドからはまだまだ強い相手と戦えるといった余裕を感じた。


(強いからといって自分より実力を低い奴を見下したりしないし、特に気取った奴じゃないし……仲良くしたいやつではあるけど、そうするとドラングの機嫌が悪くなりそうだな)


リオにとってドラングは決して悪くない友人なので、ドラングのことを考えるとおいそれとアラッドと仲良くはなれなかった。

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