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百話 それではこれを……

「そ、そうなんですね……」


リグラットからの伝言に対し、アラッドは直ぐに答えを返せなかった。


(え、えぇ~~~~~~。マジですか、国王陛下。いや、作った専用駒を喜んでくれてたのは嬉しいんだが……でも、要望や望みと言われてもな……)


王都で開催されるパーティーに参加した際、アラッドはアルバース王国の第三王女であるフィリアスを迷子の状況から保護した時に、同じ様なことを聞かれた。


その際にアラッドは冒険者になってから何か困ったことがあれば、その時に助けてほしいと返した。

現在のアラッドは、特に欲しいと思う物の中で自身の財力を使って買えない物はなかった。


別の大陸で生産されている米や醤油は金次第で手に入り、錬金術に必要な鉱石はオーアルドラゴンのお陰で復活した鉱山から手に入る。


勿論、鉱石の中にはそう簡単には手に入らない貴重な物もあるが、今のところそんな高級素材に手を出すつもりはなく、比較的手に入りやすい鉱石を使って日々精進していた。


「ん~~~……今のところ、特に願いという願いはないんですよね」


「そ、そうですか。まぁ……やっぱりそうですよね」


リバーシや積み木を売っているのはリグラットの商会であり、アラッド自身が作ったプレミア品のリバーシを欲しいと願う者たちへの仲介もリグラットが行っているので、七歳の子供の懐にどれだけのお金が入っているのか……だいたいは予想出来る。


(今のアラッド様が手に入らない物など殆どありませんからね。権力に執着があるならまだしも、アラッド様はそう言うのに関して興味が薄いからですね……いずれ騎士の爵位は手に入れそうですが)


アラッドが完全に子供離れした実力を持つという話はちょいちょい耳に入ってくる。

残念ながら実際にモンスターを相手に戦っている様子は見たことないが、リバーシや積み木にチェスなどを開発している時点で普通の子供ではないということだけは分かっている。


なので、アラッドが規格外過ぎる戦闘力を持っているという話はあっさりと信じた。

そして耳に入ってくる話からして、アラッドが望んでおらずとも騎士の爵位ぐらいは手に入る、というのは容易に想像出来てしまう。


「で、でもあれですよね。ここで特に何もないのでお気になさらず、なんて返答したら色々と、問題ですよね」


「ど、どうでしょうか? 国王陛下はアラッド様がこの世で一つしかない専用の駒を本当に気に入っていましたし……ですが、確かに形だけ見るとあまりよろしくはないかもしれません」


国王陛下が礼をしたいと言ってるのに、それを断るとは何事か!!


という、アラッドに対してなんとも理不尽な件が絶対に起きないとリグラットは保証できない。

国王陛下自身はそのように返答されても特に怒ることはない。


ただ、せめて何かしらの礼はしたいと思い、大金を送る……もしくは生活を豊かにする高ランクのマジックアイテムを送るかもしれない。

それはアラッドにとって全く困ることではないのだが、この話が仮に……もし漏れてしまうと、忠誠心がいき過ぎているアホが暴走する可能性が決してゼロではない。


(リバーシやチェスを作った人物が俺だってバレるのは嫌だし、なによりリグラットさんに迷惑が掛かるかもしれないからな………あっ、そうだ!!!!!)


可能性としては低いが、不安要素を抹消するためにアラッドはこれが欲しいと思う品を一つ頼むことにした。


「リグラットさん。国王陛下に礼の品は寝る時に疲労が回復するベッドが欲しい……そう伝えてもらっても良いですか」


「快眠、疲労回復の効果が付与されているベッドですね。それであれば変に勘ぐられることもなさそうですね……かしこまりました。必ず国王陛下に伝えます」


アラッド自身が持つ金でも買うことはできるのだが、タダで手に入るということもあり、最高品質のベッドを要望することに決めた。

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