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一話 異世界に転生したら、やっぱり赤子からスタート

高校二年生の工藤 英二は今地面に倒れて徐々に意識を失い始めた。


(ヤバい……全然体が動かない。頭になんかヌルっとした感触がある。血か?)


爆走していたバイクから人を突き飛ばして助けようとした結果、轢かれそうだった人物は見事助かった。

怪我らしい怪我はない。


だが、英二は撥ねられた衝撃と頭を打った衝撃で体と意識がボロボロだった。


(すげぇ、な……本当に死ぬ時って、リアルに自分が死ぬって解るんだな)


誰かが近くで叫んでいる。

心臓マッサージをしてくれている心優しい人がいる。


それらがなんとなく解るが、今の自分に何をしても無駄と解ってしまった。


(高校生で死ぬのか……人間いつか死ぬものとは分かっていたけど、もう少し生きたかったなぁ……)


まだまだ生きて人生を楽しみたかった。

そう思いながら英二の意識は完全にシャットダウンした。


だが、直ぐに目を覚ました。

残念なことに奇跡的に生きていた訳ではなく、体は完全に死んでいる。


「ここは……どこだ?」


周囲を見渡しても、白い空間が続いているだけ。

何も無い空間……そんな空間に一つのウィンドウが浮かんでいた。


「転生しますか、いいえ。はい……これがあれか、噂の異世界転生ってやつか?」


それなりに漫画は読む方なので、コミカライズしたな〇う小説は知っている。


「けど、異世界に転生とは書いてないよな……もしかして、元の世界でもう一度人生をやり直すのか?」


転生した後、どの世界の人間に魂が宿るかは書かれていない。

怖いことをいえば、人に転生するとも書かれていない。


だが、もっと生きて人生を楽しみたかったと思っていた英二からすれば、はいを押す以外の選択肢はなかった。


するとまた意識がシャットダウン。

再び徐々に意識が戻ってくる。


(……目の前に母親らしき人物と、父親らしき人物。そして出産のお手伝いさん? メイドも数人いるな)


自分がいったいどんな世界に生まれたのか。

それは赤ちゃんとして転生してから直ぐに分かった。


(この世界はあれだな。前世と大幅に違う異世界だな)


前世では使える者など一人もおらず、存在は空想の中にしかなかった魔法があり、モンスターという人を襲う存在がいる。


そして英二はパーシブル侯爵家の三男として転生した。

簡単にいえば、今世はお坊ちゃまとして生きていくことができる。


(色々楽しみではあるが……この赤ちゃん生活は辛いな)


赤ちゃんなので、当然歩くことは出来ない。

ただ、転生した故に意識は転生する前と同じ状態が保たれている。


(唯一の救いは、母親が俺のジェスチャーをくみ取ってくれて要望に意外と応えてくれるところだな)


英二……転生したことにより得た名はアラッド。

そして父親はフール・パーシブル。侯爵家の当主。

母親は元Bランク冒険者のアリサ・パーシブル……第三夫人。


貴族は一夫多妻制が珍しくなく、アラッドには血の繋がった母親であるアリサを含め、三人の母親がいることになる。


それを知った時の衝撃は尋常ではなかったが、そういう世界なのだろうと思えば直ぐに慣れてしまった。


そんな貴族の当主に見初められたアリサはアラッドのジェスチャーを正確に読み取り、本を話して聞かせたりパーシブル侯爵家に仕える兵士たちの訓練光景を見せてくれる。


(思ったよりも退屈しない日々を送れているが、それでもやっぱり自由に動けないのは辛いな)


体が自由に動かせない。それがかなり辛く、退屈という思いが大きくなる。


そんな中、前世には存在しなかった魔力という人体のエネルギーの存在を知り、アラッドは毎日必死に自分の中にある魔力を探った。


まだまだ赤ん坊ではあるが、貴族の令息なので少なからず魔力を持っている。

そして魔力を探し始めてから半年後、ようやく自身の体の中にある魔力を感じ取ることに成功。


次はその魔力を動かしてみる!!! と意気込んだのは良かったが、そう簡単に動かせるものではなかった。

これも一年ほど時間を掛けて体内の魔力を動かし、体の外に放出することに成功した。


ただ、ここで一つ大きな失敗をしてしまった。

魔力を放出し続ければ、当然体内の魔力が少なくなっていく。

そして魔力を全て使い切った状態になってしまうと、まだ色々と耐性がない赤ちゃん状態では魔力切れの苦しみに襲われ、嫌な状態で意識がシャットダウンされる。


「……あれは辛かったな」


赤ちゃんながらに色々と実験を繰り返してるうちにアラッドは三歳になり、ある程度自由に動けるようになっていた。

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