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朝エリシュカよりもアッティラの方が早くテーブルに着いて待っており、エリシュカが来ると椅子から立ち上がりお互い挨拶をする。
「おはようございますアッティラ様」
「おはようございます王女殿」
エラクがエリシュカを席へ案内し席へ着くと、アッティラも座る。
”えっ?なんなの!これは!!遠い、ものすごく遠い!!!”
テーブルは来賓を招いて食事をするような長いテーブル。その端と端に座る二人。
もちろん普通に話しも出来ないくらい離れている。
よって、会話なしの静かな朝食の時間は過ぎていった。
次の日も、その次の日も同じ場所での朝食、夕食が続いた。
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「キンガ、これは食事を一緒にしている事になるのかしら?」
「なるのではないのでしょうか」
「あんなに離れているのに!?」
「同じ時間に同じテーブルでお食事をなさっているのですから」
エリシュカは納得のいかないと言った顔をで少し不機嫌になったが、キンガはそんな事を気にすることなく答える。
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次の日の朝。
食事の用意してある部屋に入った瞬間驚いた顔で立ち止るアッティラ。
「エラク?」
「何でございましょうか?」
「これはどう言う事だ?」
「これは・・・」
「アッティラ様おはようございます」
アッティラが指を指して訪ねられた事に対して説明をしようとした瞬間、後ろからエリシュカがやって来て挨拶をすると、席に着く。
「アッティラ様、どうされましたの?」
「いや、いつものテーブルではなかったので」
エリシュカを見て状況が呑み込めたアッティラは、諦める様に歩き出すと、窓際に用意された二人が食事するにはちょうどいい大きさの丸テーブルにエリシュカと向き合うように席に着く。
テーブルに食事が用意されると、なぜかお互い無言で食事。
気まずさがないと言えば嘘になるが、近くで食事をする事に嬉し思うエリシュカ。
長い間一人の食事になれていたアッティラは、目の前に人がいると言うだけでも気になって仕方がない。
”なぜ、こんな事になった!?王女が朝食を食べないと言い出したから仕方なく一緒に食事をしていただけなのに、こんな近くで食事をしなくてはいけないのか・・・”
エリシュカが何を考えているのか理解でず一人悩みながら黙々と食事を口に運ぶアッティラ。
”アッティラ様、何も話しかけてくださらないですわね。それに、お顔を上げてもくださらないし、お食事しかみていませんし”