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「先ほどの質問ですが、間違いありません。私は、アッティラです」

「し、失礼をいたしました!」


エリシュカは、立ち上がると慌てて頭を下げて謝る。

一歩間違えば大問題になり兼ねない、ましてや初の顔合わせでいきなりこんな質問をされては気分の良いものではない。だが、どうしても聞いてしまった。


「王女殿、顔を上げてください、謝る必要はありません」

「ですが、大変失礼なことをっ」

「いいえ、当然の質問だと思います」

「えっ!?」


アッティラの言葉に顔を上げる。


「それはどういう事ですか?」

「とりあえず、座ってください」


二人が座ると、今度はアッティラの方が申し訳なさそうに話し始める。


「この結婚は、ヴォールーニ公国の大公子とヴォールーニ公国の王女の結婚という約束事でした。そうして、代理結婚により私と王女殿は結婚しました」

「はい」


”?????”


返事はしたものの、エリシュカの頭の中はいまいち状況が掴めていない状況のまま話しを聞く。


「ただ、大公崩御により状況が変わってしまいました。

現大公は()()()()()であり現大公子である私は、()()()()()になったのです」

「あ、の・・・それは、つまり・・・」

「王女殿が婚約した当時の大公子は()()()()()大公子、つまり現大公、()()()です」


「???・・・!!!!!?」


”待って!ここまでは問題ない・・・?って・・・問題ありじゃないの!!!なんでこんな事になってしまってるの?わたくしは、カッティラ様と婚約していたのではなく、この国の大公子と婚約していた、と言う事なの!?そもそもそんな事がありえる!!??そんな話し聞いてないわよっ!”


「王女殿、大丈夫ですか?」


いつもであれば、頭の中でのパニック状態を悟られる事なく平静を保つ事くらいの事は出来るのだが、今回は話しが話しなだけにそんな余裕はなく、アッティラが心配するくらいの動揺ぶりを見せてしまった。


「あ、はい、大丈夫です。お見苦しい所をお見せして申し訳ありません」

「謝らなければならないのはこちらです。申し訳ありません」

「あの、お聞きしてもよろしいでしょうか?」

「何ですか?」

「この事は、わたくしの父、国王は存じている事なのでしょうか?」

「それは、王女殿がご存じなければ、知らないのではないかと」


アッティラはバツの悪いといった様に言う。


”それは、オールフェン王国との関係悪化になるとわかっていて、と言う事?”


「この事に関して隠し事をしても仕方ないので先に申し上げておきます」

「なんでしょう?」

「この結婚、私自身結婚後に知りました」

「!?」

「ちなみに、大公子になった事もその時に告げられました」

「・・・」


エリシュカの思考が追い付かず、無反応で呆然とする。


「あの、カッティラ陛下はなぜその様な事をお決めになられたのでしょうか?わたくしに何か問題でもあったのでしょうか?」

「それは違います」

「それでは、オールフェンが王国が何か失礼な事でもいたしたのでしょうか?」

「違います」

「それではなぜですか?教えて下さい、お願いします」


頭を下げるエリシュカ。


「近い内に王女殿の耳にも入る事ですので先にお話ししておきます。

大公は帝国の皇女と婚約しました。皇女との結婚のために私と王女殿が結婚をした、と言う訳です。ですから、王女殿に問題があったとかではありません。

謝って許される事では在りませんが、申し訳ない事をしました」


アッティラはエリシュカに深く頭を下げ謝った。


「頭をお上げください。アッティラ様が謝る事ではありませんわ」

「ですが、私の兄の、身内の事でもありますし」

「けれど、わたくしとアッティラ様のされた事は同じです。わたくしが被害者ならアッティラ様も被害者、違いますか?」

「それは・・・」

「それはそうと、なぜこんなリスクを冒してまで、何かご存じですか?」

「多分ですが、持参金だと思います」

「持参金?」

「はい。この国と帝国領土の隣接する土地の一部を持参金にしたようです」

「領土ですか」


”確かに、領土が増えるのは魅力的・・・でも、リスクの方が大きい気が”


「王女殿?」

「は、はい!」

「大丈夫ですか?」

「えぇ、アッティラ様なぜこの様な強行な方法を取ったのですか?どう考えても割に合うとは思えないのです。それに、婚約解消をすると言う選択肢もあったと思うのですが?」

「そうですね。その考えについては私もそう思います。

一つ言えることは、長年大公国の領土であった土地が返還される事が関係しているのかもしれません」


”領土が返還される・・・”


「あっ、公太后様の!?」

「よく御存じですね。

母上の場合は、結婚の時に母上の実家から公爵の位と、存命の間土地は大公国、正確には母上の物になりその土地で得た作物などの税の半分を持参金、もう半分を母上の年金としていました」


”数十年もの間大公国の土地だった所とその収入を失うわけね。そこへ、変わりとなる土地(エサ)をちらつかせられ食いついた、と言う事かしら?まぁ、気持ちは理解出来なくもないけれど・・・このタイミングでそんな暴挙に出るなんて、ある意味無謀。

いえ、後ろに帝国がいるなら表立って波風を立てることはあり得ないかも。あったとしても、テーブルの上での話し合いで済む可能性の方が高いわ。それなのに、わたくしとアッティラ様を結婚させた理由は?”

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