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王女は部屋で化粧を直し、服を整える。
「キンガ、これで大丈夫かしら?」
「とてもお綺麗ですよ」
「本当におかしくない?」
「はい、とてもお綺麗です」
「やっとお会い出来るのよ!」
「お嬢様とても嬉しそうですね」
「それはそうよ。わたくしの夫なのですから」
夫である大公子との初顔合わせなのだ。緊張と嬉しさと不安が入り交った気持ちでどう表現していいのかわからないが、楽しみで仕方ないのだ。
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ドアの前で深呼吸をし呼吸を整えると、ドアの前に居る執事に合図を送ると執事がドアを開く。
そして、王女が部屋に入り大公子の前で立ち止まると挨拶のカーテイシーをする。
「お初にお目にかかります。オールフェン王国 第二王女 エリシュカ・オールフェンでございます。
先の国王陛下の崩御にお悔やみを申し上げますとともに、喪中にも関わらず婚儀を予定通りに行えたことを嬉しく思います」
「私は、ヴォールーニ大公国大公子アッティラ・ヴォールーニ」
”アッティラ!?”
エリシュカは名前を聞いた途端驚くが、挨拶お途中のため何事もないようなフリをしたまま挨拶を聞く。
「オールフェン王国よりよくお出でになられました。本来ならば出迎えるはずが所要があり申し訳ありませんでした。
前大公である我が父から婚儀を予定通りに行うようにとの言葉がありそのまま行ったが、代理結婚になった事をお詫び申し上げる」
「とんでもございません」
挨拶が終わると、エリシュカが顔を上げる。
”深い紺色の髪、同じ色の瞳、背はお兄様と同じかもう少し高い、くらいかしら?”
エリシュカが顔を上げアッティラを見ると、長い髪の毛の両横を垂らし他は後ろで結び、髪と瞳の色は兄に聞いた通り。ただ、身長は聞いたよりも高く、顔はかなりの美形。右頬に怪我をしたのかガーゼをしていた。
「城の中は、個人の部屋を除き好きにして構いません。何かあればエラクに聞いてください」
「はい。あの、アッティラ殿下にお聞きしたい事がございます」
挨拶も早々に切り上げようとした所にエリシュカからの質問の言葉に対し、内心やはり、と気まずそうに思うアッティラ。
「何ですか、王女殿?」
「大変失礼な質問なのですが、わたくしが結婚したお相手は、アッティラ大公子殿下で間違いございませんのですよね?」
”やはり知らなかったのか・・・知っていればここにはいないだろうから当然か・・・”
「王女殿、とりあえず座ってお話しを」
「あっ、はい」