3
公太子の帰りは夜も遅かったため、王女は眠ってしまい公太子と会う事が出来なかった。
「キンガ、朝食は殿下と御一緒出来るかしら?」
「お帰りが遅かったようですのでどうでしょうか」
「そう、よね・・・」
*****
予想通りと言うべきか公太子は食事に現れず。
「殿下は昨夜遅くのご帰宅のためお先にお召し上りください」
「わかりました。お昼はご一緒出来るかしら?」
「殿下にお伝えしてみます」
「お願いします。まだご挨拶も出来ていないのでご挨拶だけでもしたいのです」
「かしこまりました」
エラクは王女に一例すると、奥へと下がって行った。
*****
部屋のドアをノックするエラク。
「失礼いたします」
部屋に入ると、一人の男性が食事をしている所だった。
「まだお食事中とは、失礼いたしました殿下」
この男性こそ王女と結婚した相手、公太子殿下その人。
「もう終わった。何か用か?」
「はい。公太子妃様がお昼をご一緒にと、無理ならば挨拶だけでもと仰せになられております」
「そうか。当然の事だな。所で王女はどんな人物であった?」
「そうですね。礼儀正しくきちんと教育されたのがよくわかります。まだ緊張しておられるようですが、時々優しく素敵な笑顔をお見せになられる方ですよ」
「きちんと教育されている、か・・・」
公太子は、立ち上がると窓の方に近づきガラスに映る自分の顔を見ながらため息交じりの声でつぶやいた。
「殿下?」
「まさに未来の大公妃になるに相応しいよう努力をした、と言う事か」
「そうかと・・・」
「それより、昨日は王宮に行ったが無駄足だった。話し合いすらもまともに出来なかった」
「そうでしたか」
「兄上にすら会えずに帰ってきた」
公太子お苛立ちに対しエラクは予想通りと言った感じで落ち着いている。
「エラク、王女は知っていると思うか?」
「どうでしょうか?」
「元々私は一生結婚する気などなかったのに・・・」
小さくつぶやくように言うと、公太子は思わず頭を抱え込んだ。