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外にまで響くような大きな声で叫ぶとともに立ち上がると、ファレンスを睨むように見る。


”あぁ!何てことなのかしら!!もし、もしもホノリア皇女がこのまま結婚しなかったら、カッティラはエリシュカと結婚するといいかなませんわ!!!今ならまだすんなりと婚姻無効にしやすいはず、いえ、それ以前に大公家の方の教会で結婚したのが間違いだったわ、そもそもオールフェンの教会でも結婚していればこんな事にはならなかったはず・・・いえ、もしそうしていれば、アッティラとエリシュカの結婚は無かったことに・・・だとすれば、大公家での結婚式は間違いではなかった、という事に、なるのかしら?結局の所、ワタクシに命じた人間は誰なのかしら?そうでなければ、この状況は喜ばしい事なのに、今はワタクシ自身もアッティラとエリシュカの結婚を望んでいる。不思議なものね・・・”


「アエリア様?」


叫んだ後、そのまま険しい顔で考え込んでいるアエリアに、驚きながらも声をかける事をためらっていたファレンスが恐る恐る声をかけた。


「そんな事許されませんわ!」


声を掛けられファレンスの方を見たかと思ったら、勢いよく顔を近づけ怒った顔で言い放つ。


「あ、あの、少し落ち着いて、とりあえずお座りください」

「あらっ、失礼」


アエリアは、そう言うと空笑いをしながら座りなおした。


「ファレンス殿、なぜその様な事になっているのかきちんと説明をしていただけますね?」

「はい・・・」


ファレンスは、元々アエリア自身が結婚に乗り気ではなかった事、むしろ結婚が決まった後に報告し納得させた事、など正直に話した。


”呆れましたわ。自分勝手過ぎるわね、自分達のために邪魔者を追い出したかったのね、ある意味彼女も自業自得とはいえ・・・”


「ここまで来ては後戻りは出来ませんわ、この結婚」

「そうですね」

「ホノリア様を説得できそうなものはないのですか?」

「何かと言われましても」

「例えば、大公の領地は果物が沢山採れるので、それが食べ放題になるとか」

「食べる事は好きで食欲がすごいのですが、食べ物であれば輸入すれば」

「では、自然は?」

「動く事が好きではありませんね」

「演劇は?」

「こちらでも見る事が出来ますし、あまり興味もないです」


”むしろ、最後まで観ず寝てる事の方が多いくらいだ”


「乗馬は?馬に関してはいい馬がおりますわよ」


大公領の馬は世界一と言われるほど有名なのだ。


「興味ないかと」


”子供の頃の習い事で乗らされているのしか見た事がない。今乗ると馬が可哀そうだ”


「あとは何が・・・」

「あの、なぜそこまで一生懸命に?」

「あの二人のためです。何度聞いてもそれ以外に何もありませんよ」

「それは失礼しました」

「納得いきませんか?」

「いえ・・・」

「ワタクシもよくわからないのです。ですが、それが一番いいような気がいたしますの」

「・・・」

「つまりは、今現在アッティラとエリシュカの結婚は王家の総意なのです」


”なぜかなんてワタクシにも疑問はありますけれど”


アエリアからすれば、自分の決めた縁談が潰されただけではなく、間違っていたと言われているようなものなので、どこかしこりの残したまま納得しているのだ。


”つまり、そのためにこの二人の結婚を成功させる必要が出てきた。何度聞いても裏がありそうな・・・アッティラ殿がそんなにメリットがある人物とは思えんのだが・・・まぁ、なんにせよ一番の難問だった王家との揉め事は回避されそうで安心した”


ファレンスは、納得できないまでも少し安心した。


「ホノリア様が食いつきそうな何かはないのですか?」

「そうですね・・・食いつきそうな、何か・・・権力とか」

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