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馬車の列の中に一台だけ一回り大きく豪華な馬車。
その両横のドアにはオールフェン王国の王家の紋章が彫り込まれてある。
オールフェン王国からヴォールーニ公国への輿入れ行列である。
「お嬢様、国境を超えました」
「そうヴォールーニ大公国に入ったのね」
「はい」
紋章の付いた馬車の中で話をする二人。
一人は、金髪の長い髪に碧い瞳の王女。もう一人はその侍女。
この長い馬車の列は、王女が隣国の公国に嫁ぐ行列。
そんな話しをしていると馬車の列が止まり、ドアがノックされ、ドアが開かれ王女と侍女が馬車から降りる。
森の中の開けた場所に騎士が数十人並びその中の一人が王女の前に進みでると一礼する。
「王女殿下、我々はここまでです。この先からは大公国の方々に引き継がせていただきます」
「ご苦労様でした」
「くれぐれもご無理をなされませんように」
「ありがとう」
王女を護衛してきたオールフェン王国の騎士達が帰って行く。
そして、王女の前にヴォールーニ大公国騎士達が並ぶと、その指揮を執る者が、一歩王女の前に出ると一礼する。
「王女様、ここからは我々ヴォールーニ大公国騎士団がご一緒させていただきます」
「よろしくお願いします」
「はい」
王女は馬車に戻り、ヴォールーニ大公国の騎士達に連れられ城へと向かった。