大岩
○シネマ村、オープンセット脇
6人がいる。
木村「どうやって流れを変えるの?」
山本「それは分からん」
高田「何で岩に穴あけとるん?」
山本「それなんだが。坑道は奥に行くほど
ずいぶんと広くなっている。もっと広げるつもりだ」
原田「で?」
山本「貯水場にするつもりだと思う」
木村「思いっきりたまったところで」
亜紀と太一「バーン!」
高田「ああ、びっくりした」
原田「貯水場が決壊する」
山本「そうだ」
木村「大量の水が一気に溢れ出し、清水の能舞台を
水圧で押し壊し、清水坂を五条通へ流れ下る」
亜紀と太一「バーン!」
山本「そのとおり」
高田「相当の水が要るのとちゃう?」
山本「相当の水がめと水が要る」
木村「大雨洪水警報が出たとき」
原田「それは梅雨の終わりや、7月の中旬」
亜紀「祇園祭」
太一「長刀鉾」
山本「水無月の長刀鉾に誘われて、というのは?」
原田「7月祇園祭の後、大雨洪水警報が出たときや」
6人、おおきくうなづく。
高田「ひょっとしてその水がめのふたてあの大きな岩とちゃう?」
皆、高田の顔を見る。
○清水、不老の滝、大岩
6人が大岩を見上げている。
6人、顔を見合わせて、
6人「まちがいない!」
そこに住職が通りかかる。
高田「ちょっとすみません」
住職「はい、なんでしょうか?」
高田「あの大きな岩の上のほうに鳥の羽根の
ような形が見えますが、あれは?」
住職「よう気がつきなさったな。あれはこの清水を守る
鉾の形、長刀鉾じゃよ」
6人顔を見合わせ、
6人「えーッ!」
○ワゴン車
ワゴン車、三条東山を右折。
○ワゴン車内
6人がいる。
山本「まちがいない。変面はその水量を計算して貯水池を広げ
岩盤に穴を開けてタイミングよく岩が崩れるように調整している」
原田「後はどうやって流れの方向を変えるかだな?」
木村「それは日ノ岡ね」
高田「うまいこと流れを変えんと自分も流されてまう」
山本「そのとおり。一番のポイントはそれだ」
ワゴン車、蹴上の坂をあがる。