第5屋 怪しい影
「最近お客さん減りましたよね。」
私が何気なく言う。
最近は、雨が多くなり初夏の暑さが襲ってくる。
「まぁ、春先のあれは、ネットの効果でしょ。」
アキさんが言う。
「そもそも、お客さんそこまで多くなかったし。」
「そうなんですか。」
そうそうと言っている。
3人で暇していると扉が開いた。
「アキさん、久しぶり。」
男が言う。
「おーお、久しぶり!」
その男に、見覚えがあった。
「春、覚えてる?」
思い出した。あの、冬を買っていた人だ。
「こちら、常連さんの鈴木さん」
アキさんが紹介する。
すると秀仁が
「鈴木さん久しぶり」
「秀仁君も久しぶりだね」
二人が話している。
「そう言えば、この前の冬って何のために買ったんですか。」
ずっと、気になっていたことを尋ねる。
「それは……」
鈴木さんを遮りアキさんが言う。
「僕が、買ってもらってるの。」
「どうゆうことですか?」
私が尋ねる。
「魔法使いには、色々あるの」
「そうなんですね」
それ以上は、踏み入れちゃいけない気がした。
「じゃ、アキさんコーヒー一つ」
鈴木さんが言う。
「はーい」
軽やかに返事をする。
しばらくして鈴木さんの前にコーヒーが置かれる。
「秀仁君これを渡しておこうと思って。」
小さい箱を机の上に出した。
その中には、懐中時計が入っていた。
「君のお父さんから預かっていたんだ。いつか渡してくれと。」
黙ったまま受け取る。
「ありがとう御座います。」
秀仁が言う。
すると、突然2階から呼ばれる。
段々と声が近づいてきた
「春、助けてレポート終わんない!」
アキさんが助けてきなと言う。
さて、春がいなくなったここには、魔法使いしかいない。
「鈴木さん、いや、ここでは、ロウの方がいいか。」
アキさんが続けて言う。
「シュウの両親が狩りにあったんだ。おそらく、傷のつき方から見て現実魔法の使い手だろう。」
シュウが黙っている。
「大丈夫だよ、きっと良くなるから。」
ロウが、シュウの背を撫でる。
「そこでだ、奴らに一泡吹かせてやろう。」
アキが悪い顔をする。
「二人でか?」
ロウが尋ねる。
「うん、シュウは…」
シュウが、アキの言葉を遮る。
「いえ、僕もやります。」
シュウの目は、覚悟で染まっていた。
「分かった、じゃあ、三人でだ。」
ガタン
勢い良く扉が開いた。
そこにいたのは、あの魔法使い狩りだった。