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「えっどういう、、?」


大事にしてた懐中時計が粉となり消えたことに驚く。

そして、私の力で?と言った?いや、私には魔力なんてないし魔法なんて使えないはず。



「私は生まれたときも10歳のときも魔力判定の目盛がびくともしなかったはずです。」



実は、私の母である王妃も公表はしてないが魔法使いで、それもまたルイーズ様と肩を並べるくらいの魔法使いでその子どもである私も魔力がある可能性が高いと魔力判定を受けたのだ。

もちろん、判定したのはルイーズ様本人だし,赤ちゃんの時は覚えてないにしろ、10歳の時の判定のことはちゃんと覚えてる。

魔力判定の針は時計のように360度動くようになっていて6時から9時の間で止まればかなりの魔力。3時から6時が並大抵、生活魔法ができる程度。12時から3時は魔法が使えるレベルの魔力でない、微量の魔力。

ちなみに、9時から12時で止まる者はなかなか現れないらしいが、11時で止まったノア兄は破壊力のある魔法も使いこなせるらしい、人並み越えた魔力量。

10歳の時にルイーズ様から渡両手で抱えるくらい大きめの時計、魔力判定の羅針盤を渡された時はすごくドキドキした。

お母様もだし、ノア兄だって魔力を持ってる。だから自分も魔法を使えるんじゃないかって期待した。

けれども針は全然動いてくれなくて12時と1時の間で止まったのだ。

ルイーズ様にも残念だけど魔法を使えるレベルじゃないねって言われた。

隣にいた9歳のテオも便乗して羅針盤を持ったけど、テオも1時で止まり2人してガッカリしたのを今でも鮮明に覚えてる。



「ミアにはずっと内緒にしてたけど、あれは細工がしてあった。」


ルイーズ様は少し申し訳なさそうに話し始めた。


「ミアが生まれたときそれは凄かった。生まれて産声をあげるとその部屋の窓ガラスが全て割れたよ。王妃は自分もそうだったらしい、と笑っていたが城が騒然として記憶をいろいろいじったりしてそれはそれは大変だった。」


「それくらい魔力が強かったんだ。ミアの母親、王妃もかなりの魔力だったから以前から相談を受けて対策は練ってたんだけどね。」


「炎の魔法が得意なノアの時でさえ、少し部屋の温度が上がったくらいだったから窓ガラスが全て割れたのは想定外だったけどね。」


ふっと笑う。やっぱり長くなりそうだね、と言って杖をふると机の上にティーカップがどことなく移動してきて、お茶を入れ始めた。


「王妃は私にお願いしたよ。どうかこの子を魔法使いとして育てないでほしい、と。王妃はかなりの魔法使いだがそれなりに苦労しててね。私のような変わり者ならいいが王妃はもとからいいとこの貴族のお嬢様だったし魔法を使えるとなるといろいろ怖がられたり、時には差別を受けたり、、、だから、心配だったんだと思う。大切な娘が苦労するのが嫌だったんだと思うよ。しかも王族となるとどんな目にあうか想像もつかないしね。」


「だから、王妃と私で魔力を抑える魔法具を作ったんだ。小さい時からずっともってただろ?ルビーのネックレス。」


紅茶を飲んでルイーズ様は私に微笑む。

そうだ、確かに持ってた。お母様に、お祖母様の大切な形見だからどんな時も離さず持っていてほしいと渡されたルビーのネックレス。物心ついたときには首にかけてあったし、お母様にもそう言われて大事にお風呂のときも寝るときもずっと一緒だった。


「でも、たしか、10歳のときに割れてしまって、、、」


確かあれは魔力判定する前だったはず。体調を崩して二晩寝込んでいた時ルビーのネックレスがすごく熱くなったのを覚えている。その次の日、起きたら熱は下がっていたがルビーが欠けていてショックをうけたのだ。熱が高熱すぎて欠けてしまったのかなと幼いながら思っていたが。


「魔法具がミアの魔力を抑えきれなかったから壊れたんだ。10歳でちょうど成長期でもあるし、あの時熱が出たのは身体が高い魔力に順応しようと闘ってたんだ。」


「それからすぐ私の部屋に呼んであの懐中時計をあげたんだ。私と王妃で作り直した魔力を抑える魔法具だ。懐中時計がきっと気に入るだろうと王妃が選んだんだよ。さすがに選ばなかったらどうしようと思ったが王妃は自信しかなかったな。」


楽しそうに言う。

ルイーズ様は私の熱が下がると快気祝いだとか言って部屋の好きなものをあげると言い出した。当時の私はそれがすごく嬉しかった。魔法の本もいっぱい読みたかったし、杖も使えないけど持ちたかったし、アンティークの可愛らしい品物もたくさんあったからすごく迷った。

でも、目に入った瞬間一目惚れして懐中時計に決めたのだ。

ルビーのネックレスが無くなって首が寂しい気がしたのももしかしたらあったかもしれない。

お母様すごい。さすが。


「羅針盤がほぼ動かなかったのはそれが所以だ。私と王妃でミアの魔力を抑えていた。ミアはずっと魔法に憧れ魔法が好きだったのに今までほんとに申し訳ないよ。」


ルイーズ様は軽く頭を下げた。


「いえいえ、お母様とルイーズ様が本当に私を守っていてくれたと理解できますから。」


「それにまた魔法具?壊しちゃってすみません。」


だから、あの時あんなに身体から漲る力があったのかと妙に納得できた。

そして今も微かだけど、あの時感じた力が掌にあるような気がする。拳をぎゅっと握った。







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