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ノア兄の一番尊敬できるところは王宮魔法師であることだ。ノア兄はルイーズ様の一番弟子で、魔力も高く、そして、魔法の技術も相当すごいらしい。そして何よりすごいのが第二王子で在りながら魔法使いであることを公表しているのだ。

5年前に隣国ヤイカ王国との戦争になった時、大国との戦争に国民はこの先どうなるのかと不安で仕方なかった。歴史的にヤイカ王国と戦争して敗れた過去があるからだ。

しかし、この戦争はたった2日でナリターヌ王国の大勝で終戦する。しかも、兵の出陣もなしに。よってこの戦争は国民の意識では、戦争という立ち位置なのかも微妙だ。

その兵のぶつかり合いなしの戦争の英雄とされたのがノア兄だったのだ。

実質的には、ルイーズ様とノア兄なのだがルイーズ様は表に出るのを嫌うのでノア兄にすべて功績やら褒美やらを押し付けた。

その時に告白したのだ。この国を支えているのは魔法使いであり、自分もまたその一人だと。

国民はナリターヌ王国の危機を救った英雄を大いに受け入れた。

魔法使いが恐れられているこの国で、ノア兄の魔法の実力はもちろんのこと、誰でも隔てなく優しく紳士的に接するザ王子のノア兄だからこそでもあった。

魔法使いを感じさせないあのふわふわな雰囲気もノア兄の凄味だと思う。




「ルイーズ様はご無事でしょうか。」



3人で北塔の裏に広がる森に向かう。

もともとルイーズ様が魔法の訓練で使うのと、任務の際転移する場所をと作った森だ。様々な魔法や結界が張られており危険を伴うことから、魔法使いじゃないと入れない森である。



「んー、任務に出てからぱったり連絡がないし約束の時間にも来ないってことはたぶんトラブルに巻き込まれてるね。でも、死んだからさすがにわかるから死んではいない。」



ルイーズ様は時間に厳しい人だ。

唯一、魔法使いが使えない禁忌の魔法が、死の魔法と時の魔法である。

魔法使いは人を殺めることができない、そして、時を操れない。

この禁忌を破った時、その者が滅びると言われている。

そもそも大陸一の魔法使いと呼ばれるルイード様でさえ禁忌の魔法を知らないらしいのでナリターヌ王国で禁忌は破られることがないと思われる。

それゆえ、ルイード様は時間に特に厳しい。時より魔法に勝るものはないと言うほどだ。

一分一秒を大切に、そしてより細かく時間を把握し、行動している。そんな人が約束の時間に来ないのは何かあったと思う他ない。



「あ、あの、ノア兄。私が聞いていいのかわかりませんが、任務とはどのようなものなのでしょうか。」



「他国へのスパイ調査としか言えないかな」


ノア兄は優しい声色だったが目を細めて遠くを見つめていた。いつもの笑顔がない。



「危険なお仕事ということですね、、、」



「大丈夫っ、あの人は基本的に危険な場面しか行かないんだから。ただの危険オタクだよ。」



真っ暗な森の入り口でノア兄さんが杖をふるとぱっと道標のように道が光った。


「ま、とりあえず転移する予定の場所まで行こう。」


「実はここ、怖い場所に思えるけどこの国で一番安全な場所なんだ。ルイーズ様の魔法もそうだし、僕もいくつか防御魔法をかけてる。外部からの侵入はまずないし、魔力のないものはもちろん森の存在を知らないし、魔法使いの敵から見てもこの森自体存在してないように見える仕掛けにしてあるからね。ミアに傷一つつけさせないからっ。」



ノア兄がウィンクした。


では、なぜ、テオと私が森に入れるのか。

実は少量で使い物にならないらしいが、魔力を持っているのだ。

魔法は全然使えないけど、小さな頃から北塔で魔法のことをルイーズ様に教えてもらうことが一番好きな時間だった。

魔法で部屋を明るくしたり、お茶を入れてくれたり、花を咲かせてくれたり、ルイーズ様はとっても親切でいろんな魔法を見せてくれて子どもの私は魔法にわくわくしっぱなしだった。それは今も変わらない。魔法はいつだって私の好奇心を掻き立て魅了する。

毎日私にベタベタのノア兄の杖をふる姿さえも憧れてかっこいいと思う。きゅんとする。



「あ、今、兄さんのかっこいい姿に惚れたでしょ」


ノア兄が杖を構えながらにっこにこしている。

えっ、なんで心が読めるの。魔法使いは心も読めるの!?


「ミアがそんなに可愛い顔してくれるのならもっともっと魔法使っちゃおうかなっ」


「はぁ、、、」


その横でテオは盛大にため息ついていた。







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