痛い僕、激痛彼女
「僕は恋をした」
それは僕が初めて会社に出勤した時だった。
遅刻しないように早めに1人暮らしのアパートをでた。管理人のお婆さんが手を振ってくれた、手を振り返す
最初というのは印象に残るからな
良い印象を与えたい
電車は今まで降りていた学校のそばの駅を通り過ぎて行く、ここで僕は自分は社会人なんだなぁと、ようやく実感する。
電車を降りるといつもと違う景色
入社試験で何度かは通ったがほとんど知らない道をキョロキョロしながら歩いていく、今誰かに見られたら田舎者だと思われるだろう。
二ヶ月前面接に行った時に見かけなかった花屋がある、この二ヶ月で出来たのだろうか?時間の余裕は・・・少しある、冷やかして行こう
近くに寄ると『オープンセール‼︎』
と書かれた黒板ミニが可愛らしく飾られている、今日が初開店のようだ
「お客さんですか?1人目なのでサービスしますよ?」
店の奥から出てきてそういう彼女
「・・・」
ジッと見つめてしまう
正直に言おう、僕は今まで一目惚れする奴をバカだと思っていた、愚か者は私だった、神は居たのだ‼︎
整った顔立ち
仕事の邪魔にならないように後ろで一つにまとめられた髪
それによって表れたうなじ
可愛らしいエプロンに身を包んだ彼女はまさに天使、いや‼︎神と言っても過言ではあるまい!
そんな彼女は僕を不思議そうに見ている、今思えば美味しそうな体だったな、そう思う
そんな彼女をどれだけ見つめていただろうか
「あの、大丈夫ですか?時間、」
倒置法だぁ賢いんだなぁ、いや、そんなことより時間だ、腕時計を確認すると、かなり危ない時間になっていた。
「あっ、すみません!行かないと‼︎
」
馬鹿な人だと思われたに違いない
結局会社には遅刻してしまって怒られたのだがあまりよく憶えていない
上司の小言を聞きながら定時にあがりボンヤリと帰路を辿って行く
「どうかしましたか?落ち込んだ時にはお花の香りで気分転換ですよ?」
「はぁ」
「これなんてどうです?見た目はアレなので売れ残ってしまいましたが香りはとても良いですよ、このままだと多分売れないので五百円、いや三百円で・・・・・・
話は延々と続きなぜか最終的に千円で買わされた
「でもまぁ、話せたから良いかな」
自分でも現金だとは思うがきょうはゆっくり眠れそうだ
「痛っ!」
蚊に刺されたのだろうか、あいつらはたまに痛いままにしやがるからな、とりあえず寝よう
んーよく寝た、今までの中で一番寝られた気がする。
用意してあった肉を食べ尽くす、冷たくなってたが関係は無い、満足だ、ふと外を見ると空が赤みを帯びている、ゆっくりしすぎたようだ
肉を食べ過ぎたせいかムカムカする
『赤いもの』を吐き出す
『赤いもの』を出し切った後俺は死んだように眠った
次に俺が目を覚ました時
強盗が入ってきていた
若い男女と老女だ
壁を破って入ってきた
男は俺を見ると何やら叫んで逃げ出した
向かって来られたら恐いが、逃げている男には恐怖心が欠片も無い
男には体当たりをかます、2階から落ちていく男、運が悪ければ死ぬだろう
老女にも体当たり、こちらは窓を突き破り派手な音を撒き散らし落ちて行った
若い女には噛み付く、首があっさりと落ちる
落ち着いて侵入者を見ると彼女だった
若い男は会社の同期
老女は管理人のお婆さん
口に付いた血の味、やはり彼女は美味しいようだ、俺は彼女を喰らう
僕は深い眠りに付いた