表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/56

第七話 男たちの末路と初公式イベント予告

「お、おい!お前等!GMコールだ!早くGMコールをしろ!」


ドクターを見た男は半狂乱になりながらそう喚き散らす。

だが仲間はポカンとしている。何のことか分からないのだろう。


「GMコールだ!あの女は最弱職の【学者】の癖に俺達の攻撃を防いだんだ!チートだ!チートに決まってる!」


その言葉で仲間はやっと理解する。

しかしドクターはチートでも何でもなく、【狂医者の白衣】のVIT上昇により攻撃が効かなかったのを男たちは知らない。


(ふむチート?中々面白い話ね。面白そうだし観察してみましょ)


ドクターは笑みを維持したまま男たちをまるで演劇を鑑賞するように観察する。

瞳には期待の色が。


『はーいこちらGMコールでーす♪用件をどうぞ!』


ガラス瓶の時と同じ人だ・・・と心の中でドクターは思い、表情をやや、和らげる。

しかしそれをGMコールに通報されて焦っていると勘違いした男は勝利の笑みというよりは恐怖に染まった、引き攣った笑みを浮かべる。


「あいつチーターだ!早く垢バンしろ!GMなんだろ!?」

『チーター?』


男は見えないGMに怒鳴りながら喚く。

それにGMは困惑の声を上げる。

それもそうだ、ドクターがプレイしているVRMMOは特殊AIの通称『Mother』と呼ばれるAIが常に不正を感知し、見つけ次第コンマ一秒以内に不正者の逆探、位置情報の警察への通報を行う不正警備用AIがいるのでチートなどやろうとしても出来ないのだ。


『ん~?君は・・・ああ!さっきコールしてくれたプレイヤーか~』

「久しぶりね?GM」


ドクターとGMが会話し始めたのを見て男たちは困惑する。

自分が追い詰めているとでも思っていたのだろう。


「ど、どういう事だ?!テメェGMとグルだったのか!?警察に――――」


そこで男たちは消えてしまう。


『もぉ~本当やめて欲しいな~ああいうの~よくあるんだよね。自分より強いからチートだ、チートだとかさ?出来る訳ないの分かってるじゃん。迷惑なんだよな』


先程の陽気な声とは思えない声でGMは愚痴を言う。

ドクターはその言葉でGMが何をしたのか分かった。GMが男たちをこのゲームの世界から追放(垢バン)したのだろう。

それに気づいたドクターは・・・。


『・・・君なんで不機嫌そうなの?』


ドクターは不機嫌そうに頬を膨らましていた。心なしか怒っているようにも見える。


「だってあの男たち(プレイヤー)は私の薬の実験体にするつもりだったのに・・・」


プンプンと擬音が付きそうな声でGMに言う。


『実験体って君・・・まあそこは良いんだよ?でもさ、普通さ、なんでアカウント消したの?とかさ勝手にしていいの?とかあるじゃん?ねえ、そこんとこどうなの?』


どうやらGMはテンプレを注ぎ込んだ小説の様な反応を期待していた様で声の主は少し怒っている様だ。

だが、ドクターには知ったことでは無い。


「だって貴方は自分の楽しみを目前で潰されたらどう思う?」

『それは・・・・・・嫌だね。なんかゴメンね?』

「別にいいわよ」


第三者が見たら友達かと思うくらいの親しさで語り合う二人。

そしてGMはニヤリとでも聞こえてきそうな声で話し始める。


『いや大丈夫だよプレイヤードクター。これから面白いことが起きるから楽しみにしておいてくれ。それじゃあね♪』


その一声を最後にGMは通話を切る。どこかで既視感のある光景だなと思いながらドクターは疑問を抱く、面白い事?と。


(あのGMのことだし面白い事には嘘をつかないと思うし期待しときましょうか)


何が起きるかと内心ワクワクしながら町に戻るドクター。

町の中でインベントリ内の整理をしていると突如としてアナウンスが鳴る。

どうやらそれは周りのプレイヤーも同じ様で動きを止めアナウンスを聞く。


『やっほー♪皆元気~?GMだよ(キュピ♪)』


その時クレアシオン・オンライン内のほとんどのプレイヤーが舌打ちをした。

一方ドクターは先ほど聞いた声に早く面白いことを言えとばかりにつま先を地面にトントンさせる。


『もう皆~そう怒んないでよ~イデッ!なにすんのさ!独身秘書!』


GMは誰かに殴られたようで殴った相手を独身秘書と呼ぶ。

そして独身秘書と呼ばれた人物はというと。


『誰が独身秘書ですか!?貴方のせいで婚活にも行けないんです!!あっ!皆様こんにちわ。このクソウザいGMの秘書ことミルルンです!』


その時クレアシオン・オンライン内のほとんどのプレイヤーが思った。

何故名前がミルルン?と。


『GM!クレアシオン・オンラインの初の公式ベントの予告をするんでしたよね!?何故早く言わないんですか!』

『いやいやミルルン!今!君が!言っちゃったから!』


アナウンスで漫才を繰り広げるGMとミルルンを尻目に、全プレイヤーは公式イベントという言葉に期待で胸を高鳴らせる。


『ああ!もういいや!じゃあ改めてイベント内容を発表するよ!初イベントの内容は~・・・』


そこでゲーム内の空全体に巨大なウィンドウ画面が出て来る。

そこにはこう書かれていた。

『PVP大会』と一言。

そしてプレイヤーは雄たけびを上げ、歓喜した。


『そう!PVP!プレイヤーバーサスプレイヤー!今までは君たちプレイヤーがある程度強くなるのを待っててね。まだイベントを出来なかったけどやっと出来るよ!皆も楽しみみたいだから説明するよ!PVPはトーナメント式でトーナメントの参加人数は十六人!予選は四ブロックごとに分かれてのバトルロワイアル!会場は特別エリアを作成したよ!参加する人はメニュー画面から参加、観戦できるよ!イベント開始は今日からちょうど一週間後!お見逃しなく!』


そこでアナウンスは終わる。

ドクターは無言でメニュー画面を開きトーナメント参加と観戦の欄を押した。

こうしてドクターのクレアシオン・オンライン初の公式イベント『PVP大会』への参加が決まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ