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6

家についたらすぐにシャワーを浴びた

とても心地よい疲労感だ

体の各部がズキズキするが、それも達成感にかき消された


ドライヤーで髪を乾かした後、冷えたオレンジジュースを飲み、

ついでに歯も磨いてベッドに横たわった


すぐ体勢を整えて、仰向けになろうとしたが電池が切れたように体が動かなくなった

左手を下にして横向きで寝たまま固まってしまった

とにかく疲れていたので、このまま眠ってしまわないように気をつけて

じっと体の行く末を観察した


さっき目を閉じたが、気がついたらボーッと部屋を見ていた

また目を閉じたが、また部屋を見ていた

僕は(まぶた)を動かすことが出来なくなったのかと思ったが、どうやら違うようだ

何故なら、僕が寝ている体勢では見ることが出来ない角度、

部屋のドア近くに置いてあるブタの貯金箱が見えるのだ


僕は今透視をしているのだろうか、ふとそう思った


視界に飛び込んでくるままに周りに見えるものを観察した

確かにこれは僕の部屋だ


茶色いドアがあって、ドアノブがある

部屋の鍵は掛かっていて、部屋の照明のスイッチがある

臙脂(えんじ)色のカーペットが敷いてあって掃除道具のコロコロが立てかけてある


棚の最上部にブタ貯金箱があって、隣に置いてあるデジタル時計は3時20分と見える


僕は今目で見ているのだろうか、意識で見ているのだろうか

待ちに待った幽体離脱の様な状態になった事を確信したので焦ってしまった

思考がフル回転して、次に何かしなければと思い

まずはベッドで寝ている自分の体を見ようとした


ただ、見るのが怖い

自分の顔を見るのがとても怖い

変なものを見てしまったらどうしよう


恐る恐るベッドの方に少しずつ振り向く

直視するのが怖くて、ちら見する感じで確認した


僕はそこにはいなかった

少しほっとして、

なら次は今動かしている体を見てみよう


僕は今動かしている体を意識した

感覚的には、部屋の中央に立っている感じだ

実態があるような無いような、それがどうなってるのかを目で見て確認したかった



ここで一瞬ベッドに横になっているはずの、現実の自分の姿を思い出した


途端に立っていたはずの僕の平衡感覚は無視されて、

左手を下にして横向きに寝ている僕に意識がもどった



僕は目を覚ました、眠ってから一ミリも動いて無さそうだ

取り敢えずかなり疲労していたので、

もう動く気にもならず、今体験したことをしっかりと心に焼き付けて

そのまま一眠りすることにした

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