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今日は快晴だった

窓を開け空気を入れ替えた

濡れ雑巾で僕の部屋のフローリングを拭いたり、少し掃除をしたりした


一通り終えて気が済んだ僕はいつもの日課を始めた

部屋のドアの鍵をかけ、窓を閉め

そして今日はレースのカーテンだけを閉めた


リラックスルーティンを終えた後、

窓際の良く日が当たるところへ寝そべった


掃除ご苦労さん、そんな気分で気持ちよくまどろんでいた

太陽の光が何かものすごく気持ちよくて

まるで、植物になって光合成でもしてるかの様な気分だった


あんまり気持ちよかったので、日課の事は忘れてお昼寝タイムになっていた

何か夢を見ていた気もするが覚えてない


十分(じゅうぶん)お昼寝を堪能して、そろそろ起きようと思って体を動かした

だが動かない、また金縛りにあっていた



「トントン」



部屋をノックする音が聞こえた

僕は焦って急いで体を起こそうとするが動かなかった

母親が忘れ物でもしたのだろうか

でもその後ノックの音も聞こえなかったので、

この金縛りを解くのは勿体無いとおもい、リラックスを試みた



数分経過しただろうか

体は完全にリラックスしていた


少し寝ることに飽きてきたので、

金縛りが解けるのを覚悟で体の各部分を動かしてみることにした

そして唯一眼球だけが動いた

右手の指先を少し動かそうとした

だが感覚がない

体が動かない場合は、強力な磁石で引っ張られてるような抵抗を感じるのだが、

この時は何も感じなかった

まるでそこに、床もカーテンも窓も自分の体も、

何も無いかのように、感覚だけでブンブン腕を振り回していた


僕はそこで何が起きているのか知りたくて、眼球を右斜め下に動かした


するとそこには、透明人間の手があった

透明なのだがよく見ると(ゆが)んでいるのだ

これはいわゆるエーテル体というものなのだろうか

グニャグニャ歪む透明な氷の彫刻という感じだった


僕はその後、一旦透明な手から目を離した

体の感覚がすべて曖昧だった


曖昧ではあるが例えて言うなら、波打ち際に寝ているような感覚だった

水平線が足の方角にあるように仰向けに寝ていた

足元から波が押し寄せてきた

僕のかかとは30センチくらい持ち上がった

急な坂道で頭を下にして寝ている様な状態になった

そしてゆっくりと元の位置まで戻った


またすぐに波が来た

僕のかかとは60センチくらい持ち上がった

そしてゆっくりと元の位置まで戻った


この時僕は何が起きているのか又知りたくて、眼球を下方向に動かした

すると、不可思議なものが目に飛び込んできた

背景は当然僕の部屋の壁だが、明らかにそこにあってはならないものがあった

光の球体だ


それは不思議だった、なぜなら全くと言っていいほと主張が無いのだ

動きもしなければ、(またた)きもしない

音も発しない

直径10センチほどのそれは、白く光っていて、

足元から1メートル程むこうに、床から1.5メートル程の高さでただ宙に浮いていた

だが僕はその光の球体に生命のようなものを感じた


また波が来た、今度は大波だった

かかとは120センチは持ち上がり、僕は()()った


僕は悟った、あの光の球体が僕の足を引っ張っている

次の波で、畑で大きな株を引っこ抜くように、

僕の踏ん張っていた頭部も全部持ってかれるのではないかと思った


僕は怖くなって、

「無理無理、ごめんなさい、ごめんなさい、」

と心の中で叫んで必死で抵抗したが

以外にも呆気(あっけ)なく波は収まった



気がつくとまた夕方だった

母にノックの事を聞いてみたが、今日昼間は家には帰ってないとの事だった


今日のことを振り返って思ったが、僕は案外臆病者なんだなと思った

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