2話
お読みいただきありがとうございます!!
文を書くって難しいですね。
さぁ今回はタイトル回収するかな?
警戒しながら目を開けた俺の視界に最初に映ったのは赤い絨毯の敷かれた床だった。
教室の床はこんな床ではなかったはずだ。混乱した頭を整理するため周りを見渡してみる。
詩織と九条ほ俺のすぐそばでまだ目を閉じたままだった。
その周りにも教室にいたであろう約30人ほどの生徒たちがおり、まだ目を閉じているもの、何が何だか分からないと言った感じに周りをキョロキョロ見ているものとそれぞれの反応を見せていた。
「勇者様方、急な召喚に応じていただき誠に感謝いたします。私の名前マリー・バーバリウス、このバーバリウス国の王女という立場の者です。突然ではありますが、あなた方にはこの国の勇者として魔王と戦っていただきたいと思い召喚させていただきました」
そんなにうるさいと言うわけでも無いのによく通る女の人の声が前方から聞こえる。
俺がその声のする方に顔を向けるとそこには、いかにも! みたいなお姫様のような女の子が立っていた。
輝くような金髪を胸元まで伸ばし、遠くからでもわかるような大きな目に長い睫毛、スッと伸びた鼻に小さに口、身長は詩織より少し小さいくらいだろうか。やや痩せ型ながらも出るところはしっかり出ている。足元まである淡いピンクのようなドレスを着た物語に出てくるようなお姫様がそこにいた。実際には王女らしいが。
そのマリーと名乗る王女の後ろには護衛だろうか2人の白い騎士甲冑に身を包んだ騎士が立っていて、俺たちとそのお姫様の間には左右に分かれて多くの鎧を着た騎士が立っている。
どこか大きな建物の中なのか城の謁見の間のような内装の部屋の中央あたりに俺たちは居るようだ。
本当に物語みたいだ。
などとどうでもいい感想を抱いていると、王女の声に反応したのか詩織と九条が目を開けていた。
「ゆーくん、これどういうこと?」
俺同様状況を理解できていない詩織が困惑を隠せずに訪ねてくる。
「俺にも訳がわからない。魔法陣みたいなのが光り出してとっさに目を閉じて、光が弱まったから目を開けたらこうなってた」
「あのいかにもお姫様みたいな子がなんか魔王と戦って欲しいみたいな事いってたんだけど……」
詩織と同じように目を開け、事態の把握を行おうとしていた九条が話に入ってくる。
俺と同じような感想を抱いていたようだ。
「言ってたな。現実離れしたお姫様みたいな少女に騎士、この状況。さっき言ってた魔王というのと召喚、もしかすると漫画よろしく異世界召喚ってやつでもされたのかもな」
などと冗談っぽく言ってみたものの、何となくだがその予想は当たっているような気がしていた。
俺も友達が多いわけでは無いから誰かとそんな話をする事などほとんどないが、所謂日本のサブカルチャー的な物もある程度は知っている。
その中に今の状況と酷似しているものがいくつかあった。それは王女がさっき言っていたように、異世界からの勇者召喚だ。
異世界から召喚された勇者がチートを駆使して魔王を討伐する。
まさか現実にそんなことが起こるなんて考えてもいなかったが、この状況はまさにそれだろう。
「突然このような場所に召喚され混乱されていると思います。なのでまずは状況の説明からさせていただきますね。ガリウス、よろしくお願いします」
王女がそう言うと、右側に控えていたガリウスと呼ばれていた騎士が「ハッ!」と言いながら一歩前に出た。
「私は王女様の近衛騎士団団長のガリウス・ガレイオンだ! 勇者様方にはこれから訓練をしていただき、来たる魔王との戦いに参加して貰いたい。我々は長らくの間魔王率いる魔族達との戦争を繰り広げている。しかし一向に魔王討伐には至れなかった。そこで伝承に残されている勇者の召喚を行うこととした。我々の争いに巻き込むようで非常に申し訳ないとは思うが、この世界のため、またこの国の民のためどうか力を貸していただきたい」
ガリウスと呼ばれていた騎士はそう言うと頭を下げる。それに続くかのように王女ともう1人の騎士が頭を下げた。
いくら位の高そうな人物に頭を下げられたとしても、こちらとしては「ハイ、そうですか」と納得できる話ではない。こんなことを考えているのは当然俺だけではなく、
「意味わかんねえよ! 早く元の世界に返してくれ!!」
「そうよ! いきなり勇者だとか魔王だとか言われても戦えるわけ無いじゃない! 早く帰らせてよ!」
今まで混乱と見慣れない光景、見慣れない騎士達に圧倒され黙っていた生徒たちが、1人が叫び出したのを皮切りに次々と抗議の言葉をあげる。
「帰る手段は分かっております。しかし、伝承では魔王を討伐した後でなければ帰還は叶わないと記されておりました。勝手にあなた方をこちらにお呼びしたのは私たちです。なので、最大限の支援とこちらでの生活に不自由が無いように致します。どうか……どうか力をお貸し頂けませんか。勇者様方が最後の希望なのです」
王女が綺麗な顔を切実に願うように歪め、先程よりも深く頭を下げる。
恐らくこの国のトップであろう王女様、ましてかなりの美少女だ。そんな少女にこんなにも深々と頭を下げられ、今まで抗議をしていた生徒達も押し黙ってしまう。
しかし、不満が治ったわけではなく、声を張り上げてまで抗議し難い状況になっただけだ。その証拠に
「そんな勝手な話があるかよ……クソッ」
「イヤよ。戦えるわけないじゃない」
「帰して、帰してよぉ」
と拳を握りしめて歯を食いしばっているものや、完全に意気消沈して塞ぎ込んでいるもの、周りの目も気にせず帰してと繰り返しながら泣きじゃくっているものまでいる。
そんな中俺はと言うと、これからの身の振り方を考えていた。王女が言ったように帰る手段が魔王を討伐することしかないのか、それとも伝承に残されていないだけで他にもあるにしろ、今すぐ帰る、と言うことは出来ないだろう。なら、これからどうしていくかを考えた方が建設的だろう。
そう思い詩織と九条に相談しようと2人を見る。
詩織はどうやらこの期に及んでまだ状況を飲み込めていないようでキョロキョロとしながらアワアワとしていた。というか本当にアワアワと言っていた。
九条はと言うと、冷静に周りを観察しているようだ。流石というか、こんな状況でも慌てずに冷静沈着を保っているのだからすごいと思う。
それを言うと俺もなのだろうが、俺はまあ普段から実戦だなんだとやっているせいかかなり順応性が高いと言うか、慌てると言うことはそれが死に繋がると言うことを体に刻まれているからだろう。
「樫村くん、これどう思う?」
俺と同じように相談をしたいと考えていたのか九条が話しかけてきた。
「どう思うと言われてもあまりにも情報が少なすぎるな。もう少し話を聞かないと今後の方針も立てられない。しかし! 俺は矢面に立ちたくない。できれば静かに生きたい」
「樫村くん、あなたって人は……とは言えあなた以外にこの状況で落ち着いてる人なんて」
「みんな、一旦落ち着こう!」
九条が俺に呆れながら自分が先頭に立って情報収集するべきなのか、と葛藤している時にその声は聞こえてきた。
正解は回収しませんでした\( 'ω')/
申し訳ないです...