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第2話

これからは基本主人公視点となります。


「ありゃ?気を失ったか」


ボス猿にワンパンくらわして引ったくった女はぐったりして気絶した。


まぁ無理も無い、まだ森の”中層”とはいえ普通の人にはオンネエイプですら化け物だわな。見ると肩を酷くやられたみたいだし。


ゆっくりと奴等に向き直ると獲物の横取りにキレたのか新たな獲物に喜んでるのか一気に騒がしくなる。正直聴いてるだけで耳が痛い、メンドくさいが手早く済ませるとしよう。


ゆっくりと両腕を広げ奴等を挟みこむように今度は閉じていく。見えない壁に押し込まれて縮こまりながら潰れていく猿共。


「ギャーギャーうるせぇよクソ猿共、さっさと死ね。”百腕抱擁(ヘカトンプレス)”」


手の平同士がくっ付いた時には俺の数メートル先には大きな血溜まりと数十匹分の”薄っぺらな”皮しか残っていなかった。


「さてと、、、この子はどうすっかなぁ。怪我を治して森の外に放り出す?いや、流石にそれはヒドイし助けちゃった手前とりあえず家に連れてくか」


女の子を抱えて俺は瞼を閉じ魔力を高め再び瞼を開き呟く。


「”真紅道(クリムゾンエプロン)”」


目の前には真っ赤に輝く空間が開き俺は中へ進む。


すると一瞬で到着。俺の住むログハウス、場所はこの森の最深部だ。中に入り俺は空部屋のベットに彼女を下ろす。


改めて見るとかなり美少女だな。年は17.8で赤みがかった髪はサイドテール、少し日に焼けた健康的な肌でスレンダーな身体つきをしてる。


しかしこの子はどうして森の中にいたんだろう。中層とはいえここまで人が入ってきたのは住み始めて三年、初めてだ。何だかメンドくさい事にならなきゃいいけどな。


「とりあえず怪我を何とかしなきゃな。んーと、、、よし、これだな」


俺は長い布地を取り出しベットに腰掛けて彼女の砕けた肩に巻きつけていく。魔法で回復することも出来るがこっちの方が時間はかかるが負担はかからない、裸を見ることになるがそこは治療の一環、勘弁してもらおう、、、決して見たいわけではないぞ。


「”ΜΟΙΡΑ”の糸地、、、久しぶりに使ったな」


この布地は巻いた場所の時を”巻き戻す”事が出来る。巻いた時間と同じだけだから傷の具合から30分も巻いとけば大丈夫だろう。シーツをかけて立ち上がる。


「さてと、、、」


彼女が目を覚ますまでは面倒を見るとしてとりあえずメシの準備をするとしよう。めんどくさがりな俺の唯一の趣味が料理だ。


台所へ向かい色々と準備をする、本日はベイクドポテトエッグだ。何とも簡単だが味は絶品間違いなし。所要時間は15分、あらやっぱり簡単。


カマドでポテトを焼き上げているとどうやら彼女も目が覚めたようで覚醒した気配を感じる。このままじゃ焦げちまうから一旦火から遠ざけて再びベットへ顔を出す。


「よぅ、目は覚めたか?」


声をかけると彼女は顔だけを俺に向ける。


「さっきの人、、、助けてくれたんだね、ありがと」


怪我の感覚がなくなってるせいかさっきよりも顔色も良くなってる、意識もはっきりしてるみたいで何よりだ。


「あぁ、気にしないでいい。助けたのも珍しいと思ったからでたまたまだしな。それより何であんたは森の中に入ってきたんだ?」


「それは、、、」


彼女は事の経緯を語った。やっぱりメンドくさい事態になってるようだ。


「みんな捕まるか殺された、、、多分あたし以外」


身体を震わせ涙を溢しながらも俺を見ながら話す彼女を強い子だと感じる。俺はふと昔を思い出しながら思う、あの”バカ”は相変わらずバカみたいだな。


「話しは分かった。で?あんたはどうするつもりなんだ?」


彼女は涙を拭き目を閉じて少し考えると口を開く。


「どうするって言われてもどうしようもないよ。酷い怪我もしたし正直今は何も、、、」


「怪我なら心配ないぞ。多分もう治ってる」


自分の肩を指差しながら伝えると驚いた顔をした彼女はシーツをめくり肩の布地を剥ぎ取る、、、おっと、見えるぞ。


「え!?そういえば痛みも傷もない!うそでしょ?」


身体を捻ったり触ったり騒がしく身体を動かすとスレンダーながらしっかり主張している胸が震える。俺はゆっくり目線を逸らす。


「驚いてる所悪いが露出する趣味が無ければ隠した方がいいんじゃないか?」


俺がそう声をかけると彼女は自分の状態に改めて気づいたらしい、面白いぐらい顔を赤くしてシーツを被る。


「なんで?!あ、エロ猿に服!見られた?」


「あー、治療の時に申し訳ないが見たぞ。すまんな」


シーツの中からふぇーんと面白い声が響く。泣いたり恥ずかしがったり大変だな。


「自由に使えるのが男物しか無いからとりあえずこのシャツでも着て落ち着いたらキッチンに来てくれ」


シャツをベットに投げ部屋を出てキッチンで再びポテトを火にかける。


丁度ポテトが焼きあがると同時に彼女は部屋へやって来た。俺のシャツだからちょっと大きめだがそれがいい。


「あ、改めて助けてくれてありがとう。遅くなったけどあたしはアル、さっきも言ったけど森の近くの村で猟師をやってる。出来ればさっき見たものは忘れて!」


顔を赤らめながら話すアル。


「俺はテン、この森に住んでる。助けたのはさっきも言った通りたまたまだから気にすんな。裸は見慣れてるからきにしないでほら、これでも食べてとりあえずゆっくりしろ」


椅子を指差しポテトを差し出すとアルは「見慣れてる?」と首を傾げながら座って食べ始める。すると再び涙を流し始める、おいおい。


「おい、ポテトだめなら無理に食うなよ」


「違う、、、あたし生きてるんだって実感しちゃって。そしたら自然に涙が、、、うぅ〜」


とうとうわんわん泣き始めたアル。ちょっと照れ臭いが俺はアルの頭に手を置きゆっくり撫でる。


「まぁ、しょうがないわな。泣ける時に泣いとけ」


「ごべんなざぃぃ〜、ばだしばだしぃ」


顔をぐちゃぐちゃにしたアルは美人が台無し、正直ヒドイ有様だがそれが人間的な魅力を上げるのだから不思議を感じる。


俺はアルが泣き止むまでずっとなで続けた。





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