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序章 花より綺麗な機械

西暦2032年。人類が絶滅の危機に瀕してから8年後。地球は人類の引き起こした第三次世界大戦により荒廃していた。人類はこの大戦のあと各国で宇宙船を開発。別の惑星を探し、旅立った。そしてその人類の中から集まった科学者や軍人数十名が地球に残った。彼らの任務は地球の生態系や生存可能環境かの調査だ。人類はこの二年間で地球の調査機の開発に取り組んでいた。そして完成したのが『CT2022人型機動調査戦闘兵器カグヤα』このカグヤは日本の技術部が主体で制作した惑星探査を目的とした自動機械人形(オートマタ)だ。カグヤは数体制作され5号機までの開発が行われている。日本の骨格ベースを主軸にアメリカ、ドイツ、ロシア、イギリスが制作に参加している。

カグヤは独自の通信システムで駆動していて五体は常に通信連結(リンク)している。この機能により一体が通信不能になると近くの機体が駆けつけ、修復、再起動する。というものだ。そのリンクは司令部にも繋がり、応急処置では直らない機体が司令部に運び込まれる。

そして西暦2035年。カグヤの正規実用型である『CS2023正規自動機械人形実戦機動調査戦闘兵器アマツ』が完成した。アマツの主な任務は地球環境の調査の他に地球の外。つまり宇宙空間の調査や本部との通信に使用される。アマツはこの一体だけで、カグヤが量産体制に入っていた。アマツは単機での行動が可能で、最新鋭の機器が詰め込まれた人類のオートマタの歴史の中で最も優れた機体になるーーーーーーはずだった。カグヤは突如暴走し大破。技師からの宣告は修復不可能。それだけだった。人類の希望を絶たれた科学者たちは絶望した。本部との通信を絶たれ、自殺者も出た。その中でただ1人、研究を続ける少年がいた。彼の名は時坂六花。これは彼と1機のオートマタの話である。







序章 花より綺麗な機械







西暦2037年4月

「うーん・・・。」

時坂六花は悩んでいた。自身の開発したオートマタ「RIKKA2026惑星探査型戦闘可能万能自動機械人形 通称 カグラ」その完成まであと一歩というとこらまで迫っていた。六花は数年前、2035年にカグヤの大破事件を目の当たりにしていた。六花もカグヤの開発者の一人だった。それだけに諦めきれなかった。

六花は日本のオートマタ開発第一人者、時坂政宗の息子であり、父の影響で5歳から電子や機械の勉強に積極的に取り組んでいた。その努力もあり六花は日本の中で最年少のロボット開発者になった。六花は次第に研究を進め、6歳の時、自動探査機械人形の最上位「オートマタ」の開発に成功。六花は最年少にて最短の期間で開発に成功した。最初は小さなものだったが周りの研究者や父に支えられ遂に等身大のオートマタの開発に成功した。その時だった。

西暦2026年

第三次世界大戦の勃発だった。人類は宇宙開発競争に夢中になり互いの国のことを考えていなかった。競争に遅れた国は連合から見放され先進国が主体の世界になった。発展途上国は取り残され、残されたのは必要のない機械と核兵器と火器だった。発展途上国の内のある国が核兵器を使用。世界は灰と火に覆われた。戦争の終着後、人類は己の間違いに気付いたが遅かった。地球は放射能が蔓延。とても人が住める環境ではなくなっていた。

先進国は互いに協力し大型の宇宙船を開発。人類は宇宙に旅立った。それから5年後。西暦2027年、人類は宇宙船から初の地球探査チームを派遣。そこには政宗もいた。六花はついていきたいと言ったが「お前は未来があるんだ。だから残っていなさい。」と言った。

それから4年後。西暦2031年。地球からの通信だった。その内容はあまりにも酷かった。政宗の死亡通告だった。原因は不明。ただ、政宗の胴体には五本の傷があったと言う。原因を突き止めるために母や周りの人の反対を押し切り、地球に旅立った。地球で六花が最初に行ったことは探査ではなく、父の葬式だった。六花は泣かなかった。ここで泣いていては何も始まらないからだ。それから4年後。アマツの大破事件が起きた。それから6年。六花は16歳になり、この6年間1人でオートマタを作り続けた。誰にも介入されたくなかった。生涯最高傑作になるようなオートマタを1人で作り上げたかった。

そして現在。

「うーん・・・。」

俺は悩んでいた。

「基礎プログラムは打ち込んだし、姿勢制御ジャイロセンサーも組み込んだ。自立はできるし喋れる。ただ足りないのは・・・。感情。」自分でもバカってとこくらい分かっている。コンピューターに感情を持たせると言うことは暴走し大破する可能性があるということくらい。だが感情抑制をすれば可能性はある。自分に付き従わせるんだ。・・・そう言う趣味はないけど。

「あー。どっかにいいパーツ落ちてないかなぁ・・・、あ。」

1つ思い出した。そういえば父さんの葬式の時に渡された手紙、泣かないために開けていなかったんだ。俺は手紙の中を見るのが少し怖かった。父さんを思い出してしまいそうだったからだ。でも何かヒントがあるかもしれないと思ったら開けずにはいられなかった。

「中身は・・・っと。」

そこに入っていたのは、白紙の手紙と、64GBのメモリーカードだった。正直納得した。あの時も、メールもロクに送らない父さんが手紙?って放置していたからだ。

「まさかメモリーカードだったとはな。父さんらしいや。」

俺は早速メモリーカードをオートマタのと繋がっているPCに差し込んだ。中には暗号化されたファイルと1つ、ビデオファイルがあった。俺は暗号化されたファイルをツールで解凍している間にビデオファイルを見ることにした。

「でもなんのビデオなんだ・・・?とりあえず再生っと。」

再生ボタンを押すとそこには父さんの姿があった。

「やぁ。六花。久しぶりだね。なかなか連絡できずすまない。これを六花が聞いている時、私は、死んでいるとでも言うと思ったか?ハハハ。そんなわけないだろう。」

「え?」

父さんが生きてる?いや、強がっているだけだろう。俺は確かに父さんの死体を見たんだ。

「おっと、そろそろ暗号化ファイルの解凍も済んだんじゃないのか?」

その時だった。ピーっと暗号化ファイルの解凍完了の音がなった。

「六花。お前は今、なぜ?と考えているだろう。その感情が大事だ。考える事を忘れるな。お前は間違いなく私の息子だ。今製作しているオートマタもこの暗号化ファイルで完成に近づくだろう。」

「なんで・・・父さん・・・。」

気が付けば俺は泣いていた。

「おいおい六花。泣かないんじゃなかったのか?」

「は・・・?」

なんでビデオファイルの父さんが今の俺の状況を知っているんだ?

「ハハハ。そう驚いた顔をするな。通話アプリを開いてみろ。」

俺は即座に通話アプリを開いた。こんな地球で電波が通じるとは思わなかったが、今は父さんの言うことに従うしかなかった。通話アプリの状況はオンライン。通話相手は・・・。

「父さん・・・。」

「やあ六花。久しぶりだね。」

父さんはさっきと同じセリフをさっきより優しく、丁寧に言った。

「六花、よく聞くんだ。あまり長話はできない。六花の後ろにいるオートマタ。感情を持たせたいんだな?」

「うん。そうだよ。あとそれだけで完成するんだ。」

「わかった。では先ほど解凍したファイルを開くんだ。そこにRIKKAというフォルダがあるだろう?」

なんで俺の名前なんだよ。

「あった。RIKKA・・・。六花。」

「そのファイルをオートマタにインストールするんだ。」

「わかった。」

インストールに管理者権限許可コードを打ち込み、オートマタにインストールする。ゲージが満タンになったところで父さんが口を開いた。

「そいつをどう使うかはお前次第だ。ファイルは全て編集可能だ。お前の好きに使うといい。あと、私の名前のフォルダに位置情報ファイルが入っている。私はそこにいる。来るといい。道は平坦ではないだろう。だがお前とそのオートマタなら来られるだろう。待っている。」

「待って、父さん!」

「なんだ?」

咄嗟に出た言葉。

「ありがとう。」

「なんだ。そんな事か。お前らしくないな。切るぞ。時間が無いんだ。ハハハ。」

「なんだよそれ。」

最後の言葉はきっと聞こえてなかっただろう。だがその時だった。

「ん・・・。ふぁ・・・。六花・・・さん・・・。」

可愛らしい女の子の声だった。それはオートマタが発しているものであり、完全に「眠気」という感情を持っていた。

「そ、そうだよ・・・。俺が・・・六花だ。」

するとカグラは目を輝かせ

「わぁぁ・・・。遂に会えましたね。六花さん。私、RIKKA2026惑星探査型戦闘可能万能自動機械人形 カグラです。」

すごい・・・。抑揚をつけて自分の名前を言った。しかも型番から・・・。

「どうかしましたか?六花さん。」

「いや、単純に感心していたんだよ。機械が、オートマタが感情を持っているってことに。」

実際すごいと思う。ここまで来るとほぼ人間と変わらない感じだ。

「そうなんですね。てっきりご期待に添えてないのかと思いました。」

「そんなことないよ。確かに君は僕の最高傑作だ。」

感心に浸るのもこれくらいにして地図を見ないと。解凍したファイルから父の名前のファイルを探す。

「MASAMUNE・・・。これか。」

ファイルを開くと一つのアプリケーションソフトが入っていた。すぐに実行ボタンを押す。すると地図アプリが起動したが、ただの地図アプリではなかった。部屋にあったプロジェクターが起動し、何もなかった空間に巨大な日本地図が現れた。そしてその地図にはある座標が刻まれていた。

「TOKYO22・・・。東京の22区か。」

残念ながら俺たちの拠点は現在大阪だ。オートマタに飛行機能はないし。

「長い旅になるな。」

「そうですね。でも・・・。」

カグラは何かもったいぶっている様子だった。

「?。何かあるなら言えよ?。」

するとカグラは出会った時よりも笑顔で。

「六花さんとなら、きっと上手くいくと思います。」

その時の世界中のどんな花よりも綺麗な顔を、俺は生涯忘れることはないだろう。














あとがき


このような厨二小説をお読みくださり有難うございます。最近寒くなってきてそばを食べて気が付けば年が明けてました。なんてこった。

最近某ゲーム会社さんからオートマタ関連のゲームが発表されました。それまでも私、機械関連の厨二臭さが大好きでして。そんな中発表されたゲームなので創作意欲がバンバン湧いてきてこんなものを書いてしまった・・・。と言ったところです。皆様の評価がよければ続きもバンバン書いていきたいので、今後とも宜しくお願いします!






この荒廃した世界で鉄の花束を。

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