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第12話:セブンの街道

 俺がガキの時分は、この世界はもっと国境だの、民族のしがらみだのに縛られて自由に国の間を行き来なんて出来なかったように思う。

 だが、こうしていると、いつの間にかこの世界は変わったのだと実感できる。

 ディアスポラへと戻る街道の途中だ。

 よく整備された真新しい石畳が、どこまでも続いている。

 一挙に大量の工夫と魔術師を雇い、数ヶ月で作り上げたと言うこの道が、世界を席巻するセブンの街道だ。

 こいつがあるお陰で、世界は小さくなりつつある。

 今まで半月かかっていた旅路が、十日弱に短縮され、より多くの商品が街道を通って世界へ巡っていく。

 ディアスポラへ希望を伝えさえすれば、どんな小国であろうとセブンの街道が張り巡らされる。

 まあ、後の街道の維持整備はその国が受け持つ事になるから、財力が無い小国がおいそれと挙手するのも問題らしいのだが。


 俺と共に街道を行くのは、傭兵ギルド『黄金の狐』に所属する三人の傭兵。

 半悪魔の戦士ダレン。

 同じく半悪魔の女戦士タミア。

 白子の魔術師アン。

 まあ、とても真っ当な仕事にはつけないようなはみ出し者ばかりだ。

 だが、傭兵であれば話は別だ。

 そこは実力主義の世界。力を持ち、結果を出した者だけが認められる世界だ。


 俺は最近気づいたのだが、この黄金の狐というのは、前世の時に小説なんかで読んだ、冒険者ギルドってやつによく似ている。

 全世界に支部があるわけではないが、それでも数カ国にまたがる組織というだけで尋常ではない。

 こいつは、運び屋ギルド『有翼の兎』とセットになっている。

 彼ら有翼の兎は、言うなれば各国の大使館のような役割を担っている。

 ギルド本部の中に、ディアスポラへの賛同国家から大使が派遣され、彼らが各国の情報交換や、国家の石を代弁する役割を担っている。

 なんというか、前世の世界に似た社会構造じゃないか。


「賢者セブンと言うやつは、大した奴だな。このシステムは何もかも、そいつの発案らしいぞ」


 ディアスポラへ帰る前、近くの小国に立ち寄ると、そこにも黄金の狐の支部が存在していた。

 ここを拠点として利用しつつ、仕事の完了を伝える。

 すると、有翼の兎のネットワークにより、本部でこの仕事の完遂が記録されると言うわけだ。

 どうだろう。

 何もかも、そのセブンと言う男の発想は、この世界のものであるとは思えない。

 そいつはもしや、俺と同じ異世界からやってきた人間なのではないだろうか。

 対して俺は、王子と言う立場に生まれて、何だかんだとあってこうして自由業に納まり、対するセブンは世界の構造そのものを変えて行っている。

 ……というか、よく各国はこんなシステム受け入れてるよな。


「受け入れてない、国も多い……。イリアーノ、とか」


「あー、イリアーノは受け入れねえだろうなあ……」


 アンの言葉に俺は納得した。

 フレート王国、イリアーノ王国、そしてガルム帝国はセブン側から提案されたこのシステムに異を唱えている。どれも五百年以上の歴史を誇る大国ばかり。

 対して、聖王国はダントツで古い歴史を持つ千年王国なわけだが、アッサリと領土内に有翼の兎の出張所を置かせている。

 懐の深さの違いだろうか。


「おっ、なんかカイル、思ったよりもダメージ受けてないやん」


 とりあえず、このナントカという都市国家で休憩していくことにする。

 この国は国境線から一山超えないと海が無い国で、まあ山と平原しかない。

 少し前はステップ地帯だったとか。この奥まった地方で、ダレンが生まれ育った部族が暮らしている。

 で、俺たちは黄金の狐と一体化している酒場で、昼間からまったりしているのだ。

 タミアは俺の向かいに座ると、ジョッキをドンッと置きつつ俺の顔を覗き込んだ。


「聞いたよ。なんか勇者が出てきたんやって? 災難やったなあ……。いくらカイルでも相手が悪いわ」


 わっはっはと笑う。


「全くだ。俺も勇者ってのが、あれだけの化け物だとは思わなかったよ。しかもエドガーの奴、得物は弓だってのにナイフ一本で俺をあしらいやがった。あの有様じゃ、兄貴が殺されるのも分かる気がするな。むしろ勝負になったかどうかすら怪しい」


「えっ、カイルの兄ちゃんって勇者に殺されたん!?」


「あー、まあな。ほら、イリアーノ側に組する人間だったからな」


「あー。イリアーノって、プロイスと戦争をしてるもんなあ。でも、戦争にまで勇者が顔を出してくるんじゃ勝ち目はなくない?」


「イリアーノ内部にあるのは、勇者って連中の強さを過小評価する傾向だよ。そこまで人間離れした強さであるわけがない、なんて言いやがる。かつては準勇者級と言う強さの等級があったけど、イリアーノはその手の連中をあらかた追い出しちまった。王国が強い連中に寝首をかかれるのを恐れたんだな」


「ほえ~」


 タミアの声は、驚き半分、呆れ半分だろう。


「ってわけで、イリアーノは優れた軍隊こそあるものの、突出した個人戦力が無い国になってるわけだ。常識的には国軍だけで悪魔にだって対抗できるだけの武装、戦術を持ってるが……まあ、ディアスポラに現れたと言う天候を操る悪魔なんかが登場したら、どうなるか分からんよな」


「なんか……めんどくさい事になってるんやねえ」


 すっかりジョッキに注いだエールが不味くなってしまったようだ。

 タミアは顔をしかめたまま、酒を飲み干した。

 悪い事をしたなあ。


「で、酒が不味くなる話ついでにだな。神聖プロイス帝国は、徹底した個人戦力重視の国なんだ。軍隊は殆ど存在しない。国民がみんな武装してて、国が作った最新の装備を使う。シュヴェルト王国を併合しただろ? あれで傭兵としての戦いのノウハウも吸収してる。そして……セブンが率いる六人の勇者だ。あのエドガークラスが六人だぞ? 冗談かよ」


 最も堅固と謳われたイリアーノの城塞都市は、ほんの僅かな軍勢と、たった二人の勇者によって陥落させられている。

 一人は勇者エドガー。もう一人は、シュヴェルト王国の王女だった勇者オードリー。

 城塞都市陥落に要した時間は、わずか一日だ。

 俺が思うに……勇者一人の戦闘力は、大国一国の軍隊に匹敵する。

 で、こんな連中を率いていられる、セブンとかいう男がいるのだ。

 一体そいつは、どんな奴なのだろう。

 いまさらながらに気になるようになってきた。


「儲かった……」


 アンが戻ってきた。

 フードの下に見える顔が上気しているから、どうやら興奮しているらしい。

 彼女が席に着くと、皮袋を開いて見せた。

 おおっ、金貨じゃねえか!


「魔石をたくさん手に入れた、から。売った。いいお金になった」


「おおーっ!」


 俺はアルジャスを救った時、少なからぬ金を得ている。

 で、内々にガルムの皇帝からも、戦争を止めた件で金を貰ってて、正直食うには困らない。

 だが、魔石が生んだこの金貨の量はなかなか壮観である。しかも大金貨ときてやがる。下手をすると大きな家が一件建つぞ。


「これ以上のお金はここに無いからって……。手形ももらってきた。ディアスポラで、換金する……」


「うひょー! うちら大金持ちやー!! なんか、もう、ドッペルゲンガー退治で得た金なんてはした金にしか見えなくなるねえ」


「全くだ」


 これでしばらくは遊んで暮らせる。

 それくらいの金が手に入ったわけなんだが、こう、俺には波乱万丈な事をし続けなければいけない呪いみたいなものがかかっていてな。


「トカゲ」


 アンが俺の肩を指差した。

 地下にいたカエルの化身であるこのトカゲ。こいつは俺がサボらないように見張る役割がある。


「へえへえ。分かってるよ。サボりゃしねえって」


「何を独り言してるんだ?」


 いつの間に戻ってきたのか、ダレンが山ほどの料理を手にしてそいつを摘まんでいる。

 黄金の狐が経営する酒場はセルフサービスって訳じゃないんだが、いかんせん、所属する傭兵の数が多い。お行儀よく料理を注文して、運ばれるのを待っていちゃなかなか空きっ腹を埋めることが出来ないわけだ。

 ってことで、気が早い奴は自ら料理を取りに行く。

 ダレンもその口らしい。

 でかい皿の上に盛られた、野鳩の丸焼きの山。小骨は多いが、まあ食うところもそれなりに多い。

 後は、甘辛く味付けされているから、実に酒に合う。


「いやな。俺はさる事情から悠々自適とはいかねえんだって」


「お前は地下の主から呪われてるんだったっけ?」


 こいつは俺とマギーの旅についてきていたから、多少の事情は知っている。

 男に理解を示されてもあれだが、まあ嬉しくないと言えば嘘になる。


「それってなんなん? 呪い? うわ、引くわあ」


「呪い……かかってない」


「は?」


 アンが俺にかかった呪いを一言で否定した。


「そのトカゲは、何か魔力、まとってる。だけど呪い、カイルにかかってない」


「はあ!?」


 おいおい。今まで呪われてるとばかり思って行動してたっつうのに。

 ガマガエルの奴、このトカゲを俺につけたことで満足したってことなんだろうか。


「じゃあ、のんびりサボってもいいか……」


「ギィーッ」


 おっ! いきなりトカゲが叫び声をあげた。

 そいつはNGってことらしい。

 あれか。こいつはガマガエルにとってのテレビカメラみたいなもので、俺はこいつを運ぶ撮影スタッフなんだろうか。


「サボれないらしい」


 俺がしょっぱい顔してると、みんなは笑った。


「まあいいんじゃないか? ちょっと金が入ったくらいで落ち着いても、つまらんだろう。今、世の中は大きく動いているからな。この軍資金を使ってあちこちを見て回るのも面白いと思うぜ」


「せやね。うちもアンも、なかなかこんな大金とは縁が無かったから、ずーっとディアスポラの周りで燻ってたんよ。これならあちこち遊びに行ってもお釣りが来そうやない?」


「物見遊山の旅、いい!」


 おっ、こいつら乗り気だ。


「それにな。セブンの街道のお陰で、金さえあれば旅ってのは随分気安くなってんだ。この金があれば、旅の途中で旅費が寂しくなる事もねえだろうし、楽しく旅行が出来るってもんだ」


 この世界では、旅行ってのはそこまで一般的なことじゃない。

 北方諸国連合が祀る暁の星教では、イリアーノにあるルキフルスが聖地とみなされている。なんで、みんなこぞってルキフルスに旅をする事はあるんだが、こいつがもう危険な旅で、三割以上の旅人は命を落とすと言われているのだ。

 本来の聖地は、聖王国が存在している地方らしい。だが、なにぶん聖王国は長い歴史を持つ国だ。前身となった王国を含めればイリアーノの方が古いんだが、王権を巡る闘争の絶えない北部諸国では、連続した血筋をもつ王国を維持する事は実に難しい。

 ってことで、歴史ある聖王国にどけ、とも言えず、ルキフルスを聖地という事にしてお茶を濁しているわけだ。

 ちなみにこれは王家の人間や、貴族連中だけが知っているようなシークレットな。


「うちねえ。一度ルキフルスに行ってみたかったんよね!」


「私、ヴェナティーゼに行きたい。水の、都……」


「おうおう、見事なまでにイリアーノだな……。何気にうちの国って見所も多いからな」


 嫌な思い出が多い国だが、まあおらが故郷って奴でもある。

 憧れを抱かれて、悪い気はしないもんだ。


「そや! カイル、観光案内してや!」


「うん、うん!」


「なにい!?」


「いいじゃないか。現地人のガイドがちょうどここにいるんだから、イリアーノ旅行と洒落込もう」


 俺は三人に押し切られてしまった。

 これは、俺の顔を知っている奴に見つからないようにしなくちゃいけないな……。

 肩の上のトカゲが、妙に嬉しそうにしている気がした。




 翌日、翌日である。

 少しもゆっくりすることなく、俺たちはイリアーノに向けて旅立った。

 もう、あれだ。

 生き急ぎすぎじゃないかお前ら。


「やー、楽しみやねー! うち、聖王国から北に行くのって初めてなんよ! あ、いや、ステップは北の方やけどあれは別腹で」


「イリアーノ旅行……。歴史ある王国……。ロマンを感じる……」


 女子勢がウキウキしてやがる。

 荷物といっても大した量は無いので、リュックに詰めてみんなで徒歩で向かっていく。

 このメンツは足腰が頑丈なので、荷馬車や乗合馬車でトロトロ行くよりもずっと徒歩の方が早い。

 魔術師であるアンですら、何の苦もなく道をすたすた歩いていく。体格から見て一番多く荷物を持っているように見えるんだが。


「魔術師は、荷物、多い。だけど安心。軽量化の魔術、かけてある」


 はあ、なるほど。

 ダレンはと言うと、実に荷物が少ない。

 替えの下着すら入ってないんじゃないかってくらい荷物が少ない。


「必要になったらその都度買うか、調達するさ」


 野生的である。

 ってなわけで、俺たちはセブンの街道を行く。

 一日目。

 いきなり山賊が出た。

 治安悪いんじゃないのか……?


「街道のお陰で俺たちも狙うポイントを絞れるようになってな!」


「鋼の熊の連中が出てこないうちに稼がせてもらうぜ!」


 俺が実に山賊らしい山賊たちを見回しつつ、うーむ、と首をかしげていると、ダレンが補足してくれた。


「こいつら、恐らく新参者だな。セブンの街道で強盗行為を働くのはリスキーだって知らんのだろう。常にある程度腕が立つ護衛がいるもんだ」


「なるほど、こいつらはそういうセオリーを知らないって訳か」


「おいい!! 俺たちを無視するな! ええい、やっちまえ! 女はさらってお楽しみのあと売り払え!」


「ほう、うちらを?」


「売る?」


 フードを被っていたタミアとアンがそれを脱ぐと、盗賊どもはアッと叫んで固まった。

 紫の肌で角の生えた女と、アルビノの女である。


「は、は、半悪魔だ!!」


「げえ、聞いてないよー!」


 うわあ、もう山賊がヘタレたぞ。


「よっしゃ、まあここで会ったのも何かの縁だろう。ぶちのめしてやる」


 俺は宣言した。

 そして宣言したとおりになった。

 リーダーっぽい奴は剣の腹でさんざんぶん殴って気絶させ、タミアは山賊の男どもを五人くらいまとめてふっ飛ばす。

 アンの魔術で連中は無様に地べたを転げ周り、のんびり駆けつけたダレンが、連中の間を高速で駆け回りながら縛り上げていく。

 殺してもいいんだが、街道脇に埋めるのも手間である。

 縛り上げて転がしておくことにした。


「定期的に鋼の熊の連中が見回りをしているはずだ」


 鋼の熊というのは、ディアスポラにある傭兵ギルドの一つ。一番傭兵らしい働きをする武闘派ギルドだ。戦争や紛争がないと出番がないため、最近は少々影が薄いらしい。そのため、黄金の狐や有翼の兎と契約し、セブンの街道の警備や保守点検を受け持っているそうだ。


「じゃあ、そいつらに任せりゃいいだろう」


「先行こう、先! うちおなかすいたー!」


「魔術を使うとお腹、すく」


「へえへえ。行くぞ欠食児童ども!」


「飯だー!」


「だー」


「お、置いていかないでくれええええ!?」


 山賊どもの悲痛な叫びを背後に、俺たちは先を急いだ。

 夕方には宿場町に到着したので、そこでたらふく飲み食いをし。



 二日目。

 何事も無かった。

 元々は岩石砂漠だったらしい場所なのだが、その真ん中にセブンの街道が走っているため、足元が安定していて実にいい感じだ。

 時折外から転がり込んでくる、石や岩はやっぱり鋼の熊の連中が、定期的にやってきて取り除くなりして整備しているそうだ。

 いい仕事してるなあ。ちょっと頭が下がる思いだ。

 岩石砂漠のど真ん中に宿場町が現れたのには驚いた。


「昔はここは、追いはぎの町なんて言われていたんですよ。今は真っ当な商売で食っていけるようになりましてね。そういえば、一夜にして町を滅ぼした魔術師と、悪魔の目を持つ女の話がありまして……」


 町に歴史あり、だなあ……。




 三日目。

 やっぱり何も無い。

 元々、岩石砂漠は魔獣が跳梁する土地でもある。

 だが、そいつらが出てこないってことはここは人の領域になっていると言う事でもある。

 人が魔獣を恐れるのと同様に、魔獣は人を嫌う。とち狂った奴が人里を襲う事もあるが、魔獣といえど野生の動物である。襲えば手痛い反撃を必ずといっていいほどしてくる人間と言う生き物は、連中にとっては危険極まりない獲物なのだ。

 セブンの街道に魔獣がよりつかないのは、ここが人間の領域である事を魔獣が理解しているからだろう。


「あとは鋼の熊の連中が見回りをしていてだな」


「またあいつらかよ!? 過労死するんじゃねえのか!?」


 しかし、そうやって鋼の熊が定期的な見回りを出来るほど、この街道はよく整備されている。

 岩石砂漠を貫いて走る、黄土色の石畳。

 どこまでも続くと思えるこの光景は壮観だった。

 こいつを僅かな年月で整備した、賢者セブンと言う男。

 イリアーノで喧伝されていた、ただの詐欺師と言うのとは明らかにスケールが違うのが分かる。

 立ち寄る宿場町で、セブンの名を聞かないことが無い。

 きっちりと一日ごとに宿泊できるように点在する宿場町の数々は、セブンの投資によって築かれたものなのだという。

 追いはぎの町など、遥か昔に滅びたものを再建されたらしい。その時、近隣に細々と暮らしていた、町の生き残りの子孫に優先して経営権を与えたのだとか。


「セブンの街道を行けば行くほど、奴のとんでもなさが分かってくるな。一体どれだけの男なんだよ、セブンってのは……」


 勇者たちの親玉。

 新興の帝国を支配する宰相。

 ガーデン最大級の資産家。

 ガルム帝国とも面識を持つ顔の広さ。

 世界に優れた街道を張り巡らせた男。


 俺が巡ってきた世界でも、奴は様々な顔を見せた。

 だというのに、俺は奴を一度も見たことが無い。

 俄然、賢者セブンと言う男に興味が沸いてくるのを感じる。


「イリアーノを抜けたら、セブンに会いに行くのも面白いかもしれねえな」


 思い付きで口にしてみて、俺にはそいつがひどく面白そうな事だと思えてきた。

 あのエドガーみたいな化け物をわんさか従える、謎の男。

 そいつの顔を拝みに行くって言うのは、ちょっとした冒険ではないか。


「あ、なんかカイルが気持ち悪い笑い方しとるわ」


「うるせえ」


 こうして俺は、旅の目的を見つけたのである。

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