第7話-異変-
ものすごくお久しぶりです。
覚えていてくれた方、ありがとうございます。(いるのかなぁ?)
最近多忙だったのとやる気出なかったのとまぁ、いろいろありまして(汗
随分と間があいてしまい、自分でもどこまで書いたっけ?という状況でございます。
しかし、読んでいただけるだけで光栄でございます。
話噛み合ってなかったら、ごめんなさいです
(´・ω・`)
海面上と浅瀬にいる2人の少年。
1人は刀を構え、1人はポケットに手を入れている。
そして、瓜二つだった。
「よう、冬輝。久しぶりだな」
「…冬哉…っ!」
輝は憎しみという感情を激しく顔に浮かべている。
一方、冬哉と呼ばれた少年は輝を見下すかのように見返す。
やがてやれやれと言うように首を振りながら言う。
「おいおい、双子の再開だろう?少しは感動ってもんはないのかよ?冬輝ぃ?」
「あんたを双子の兄弟だと思ったことはないよ。僕には兄さんと姉さんは1人だけ。弟はいないよ」
吐き捨てるように言った。
「あー……なら、こう言った方がいいか?え?俺の『片割れ』さんよぉ?」
「……っ!」
その瞬間。輝は少年に急接近し、喉元を狙う。
しかし、それは相手側も同じだった。
目の前で火花が散る。
いつ取り出したのか、少年のその手は刀を持っていた。
「殺気出しすぎだな、冬輝ぃ?」
「るっさいっ!」
いくつもの軌跡がいくつもの火花が飛び交う。
次第に輝の頬、脚などに切り傷が浮かび上がっていく。
輝は痛みを堪えながらも刀を振るった。
「おいおい、速度が落ちてっぞ!冬輝ぃ!」
「っ!…その名で僕を呼ぶなぁぁ!」
激昂。そして、渾身の力を込め刀を振り下ろす。
だが、しかし
「うぐっ」
不意に横っ腹に蹴りを受ける輝。
バランスを崩し倒れこむ。
起き上がろうと体制を立て直すがその時にはすでに遅い。
少年が刀を自分の頭に振り下ろす直前だった。
殺られる。
そう確信したその時、少年を目掛け、鎌が飛んできた。
「ちっ!」
それを避ける少年。
避けたところに某ライダーキックが飛んでくる。
これも避ける。
「あっちゃー、よけられちゃったか」
鎌を拾いあげて棒読みでつぶやく。
よいしょっと鎌を振り回して決めポーズ。どやぁ。
乱入してきたのは我らがフリーダ部の部長、坂本優香だった。
「なんで、ここに…?」
ヨロヨロと起き上がる輝が優香へと問う。
「ふっ、風が呼んでくれたのさ………。…ちょっと黙らないでくれない?悲しいんだけど」
相変わらずのマイペースだ。
しかし、助かった。
優香が来てくれなければ今頃は頭にわっかと翼を生やしている所だっただろう。
「まぁ、いいや。立てる?輝?」
「もう立ってますよ」
優香はチッチッチッと指を振る。
「私が聞いてるのは、下の方の…きゃんっ!」
殴った。後悔はしていない。
晃君ならノリに乗ったかもしれないが、あいにくと僕は違う。
このシリアスっぽい展開をぶち壊す気か、この人は。
「おう。待たせた輝。片付いた」
ツインズが帰ってきた。
あの数を良く倒したものだ。
少年は優香とツインズを見てさらに舌打ちをする。
状況は3対1。
どう見ても分が悪い。
「……ここまでか、所詮は模造品」
少年がそう呟くと少年が持っていた刀がガラス細工のようにパキパキと砕けた。
「刀が折れて3人相手じゃ流石にキツイんじゃない?」
ツインズ(表)が煽る。
すると少年はケラケラと笑い出した。
「あぁ、確かにキツイわー。…ったく、ここで出すとは思わんかったわー」
瞬間、輝は叫んだ。
「っ!伏せろ!」
皆が一斉に伏せる。
刹那、後方にある建物、木々、その他が2つに割れて吹き飛ぶ。
「…なぁ、冬輝?この刀?見たことねぇか?」
静かに囁く少年。
「…そんな、なんで…」
少年の手には輝が持つ刀と同じ物が握られていた。
「この刀はよ。《季節》そして、お前のは《四季》。二刀一対の刀なんだわ。まぁ、元々は二本とも俺のだったんだけどよ」
季節?四季?二刀一対?何を言っている。わからない。わからない。
「だって、この刀は…父さんが…」
「そう、俺のをパクったんだよ。返せと言ったけどよ、あのオヤジは返さなかった。いや、俺もな?最初は普通に返してくれーって言ってたんだ。でもさ、あまりにも頑固でしつけーからっ…クククッ
殺っちまったんだよ。パクるくらい欲しかった四季でな。そしたらよー、そのオヤジの娘、あーアネキか?出て来てよぉ。いやー、ほらね。見られたからには生かしておけないってよく言うだろう?だからぶっ殺した。だけどなぁ、お前がその現場を見ていた。見られていたのは恐れ入ったわ、いやホント」
少年は語る。
輝の家族を殺した。
否、虐殺したということ。
それを見ていたのが輝だったこと。
輝自身だんだんとその日のことを思い出すかのように青ざめる。
「だったら…なんで僕を殺さなかった…?」
気づいていたのなら殺すことさえ容易かったはず。
なのにわざわざ見逃した理由があるのではと思った輝。
「そう!その通り、殺せた。けどよぉ、今から言う一言でお前がどんな反応を見せるか見たくてよー。クククッ…クハハハハッ!……ん?あぁ、悪い悪い。聞きてぇよな?聞きてんだろ!」
(マズイな…輝を錯乱させる気かもしれない)
ツインズ(裏)が不安を抱き、輝に声をかけようとするが輝に来なくていいと手を飾せられた。
その表情は、もはやその少年の一言が気になって仕方が無いかのようだった。
少年は続ける。
「俺はお前の家族を斬った四季をお前にやることにしたんだ。だけど、四季ってのは俺の刀の名前だからさ。新しく命名してやることにしたんだよ。お前の大好きだったアネキ、小林春。お前は春姉って呼んでたか?そいつを殺した刀だからよ。《春殺》って名に命名してやったよ!てめぇの振るっているその刀が、てめぇの家族を!てめぇの大好きなアネキを!ぶっ殺した刀だって、そう言い放った時の面を見たかったんだよ!どうだぁ?いい名前だろ?春殺だぜ、春を瞬殺ってなぁ!クククッ!クハハハハ、クハハハハッ!」
もの凄く楽しそうな笑い声をする少年。一方の輝は俯き、表情がわからない。絶望しているのか悲しんでいるのか怒っているのか。はたまた壊れたのか。
「…酷いものね。ネーミングセンスも最悪」
優香のその言葉には不快感が滲み出ていた。
「胸くそ悪くなってきたわ、反吐が出るぜ」
ツインズ(裏)も同じ気持ちのようだ。
今にも首を取りに行かんと構える。
「……けか?」
輝は弱々しく小さな声で言った。
「あぁ?」
「…こと…だけか?」
「あぁ?聞こえねぇな!冬輝ぃ!?」
イラついたように声をあげる、少年。
それがトリガーとなったのか、輝は激昂とは違う、酷く小さな声で言った。
「言いたいことは…ソレダケカ?」
その表情はない。無表情。
それを見たツインズは息を飲んだ。
まるで別人、ただただ目の前の敵を切り裂く獣のような雰囲気が漂う。
激昂した獣の如く襲いかかると思いきや、春殺と姉を殺した悲しみの名を与えられた刀を鞘に収め、構える。
一撃必殺、抜刀術。
「おもしれぇ、相手になってやるよ」
少年も季節を鞘に収め、構える。
ツインズと優香が固唾を飲む。
まるで鏡に写したかのような光景に緊張が走る。
次の瞬間。2本の光の軌跡が交わる。
ぶしゃっと、少年の肩から大量の血が溢れ出す。
冷や汗をかきながら、苦痛を堪えつつもめんどくさそうに少年は溜息をもらした。
「っはぁ…ダメだな、時間だ。また今度決着をつけようぜ。冬輝」
肩を抑えながら踵を返す少年。
その背後から輝は声をかける。
「その時は命はないと思え。冬哉」
冬哉と呼ばれた少年は
「口の減らないやつだな。ま、それはお互い様だぜ?」
と軽く微笑み。そのまま姿を消した。
ふぅ…とため息をつくと輝の肩からも大量の血が噴き出し倒れる。
ツインズ(表)と優香が不安そうに輝の元へ駆け寄る。
「輝っち!大丈夫!?」
「ちょっと!うちの部員にセクハラはやめてくれない?さっきの話の分かりそうなクレイジーっぷりはどうしたの?」
重症を負った人の取り合いをする2人。先程の緊張感は全くない。
ツッコミ役は俺1人かと思うツインズ(裏)だった。
「ひとまずは輝を手当しよう、話はそれからだな。構わないか?部長さんとやら」
「あら、クレイジーなお兄さんモードね。切り替え早いじゃない。構わないわ、そうしましょう」
3人はというか2人は、輝を抱えて宿を目指した。
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病院
「具合はどうだ、美紅姉」
「ん。まぁまぁかなぁ…いつも悪いね見舞いに来てもらって…」
「それは言わない約束でしょーが」
「そうね…」
クスクスと笑う美紅姉。
お久しぶり。早川晃です。
なんか久しぶりな気がするので挨拶をだな。
今はまぁ、日課でもある美紅姉の見舞いだ。
輝も武蔵も行方がわからんし、部長もどこか行くって言って消えたし、先生も期間限定ゲームイベントがあるから特訓は中止って言うし…
ぼっちというやつだ。しゃーない。
その分美紅姉の見舞いに来れるからとくに支障もないわけだが。
「別に毎日じゃなくてもいいのよ?晃がしたいことがあるのならそっちを優先して」
「俺がしたいのが姉ちゃんの見舞いなんだっつーの。おk?」
「あらあら。嬉しいわね」
頭を撫でられる。少し照れくさい。
「んじゃー、そろそろ帰るぜ…ん?」
コンコン。
ドアがノックされる。
「どうぞー」
っと美紅姉が答える。
はて?俺以外に見舞いにくる人っていたっけな?
「ちっーす。診断の時間だぜぇ、オイ」
酒の匂いをプンプン放つおっさんが入ってきた。
「どちら様ですかね?答えによってはこの場で張り倒しますけど」
にっこりと笑っていない笑顔で出迎えてる俺氏、後ろに回している手で銃の安全装置を外す。
「…えーと。お医者さん、なんだけどぉ?」
困ったなぁ…かのように頭を掻く医者、全然それっぽくない。
「ふっざけんな!こんなアホみたいな医者が2人もいてたまるか!俺が知ってるアホみたいな医者は……って、あんたかよぉ…」
怒ったり落ちたりする俺。
「なに1人で怒ったり落ちてんだよ、オイ」
おいこら、同じことをそのまま言うなし。
皆様覚えているだろうか?
正直俺もそこまで覚えてはいないが。
酔ってバック転して頭から砂場にシューッ!!超!エキサイティン!!なことをしていた変な医者であり美紅姉の担当医であるガルシアさんだ。
「…?。晃、お知り合い?」
美紅姉が疑問を抱く。それもそうか。
「結構前に公園の砂場で命を救ってやったんだよ」
「公園?砂場?命?」
?マークが10個くらい浮かんでるぞこの人。
すると場を戻すかのように咳払いをするガルシア。
「診察するぜぇ。採血すっぞ、オイ」
ガルシアもただのバカではないようで、手慣れた手つきで診察を行った。
「大した腕だな、酔っぱらい親父とは思えねぇぜ」
「俺を誰だと思ってやがるんだ、オイ!…あー、そうだそうだ。帰りにちょっとこっちよってくれ」
?なんか用があるのか?俺はないけど。
「ちょうど帰るとこだったんだが?」
「ならいい、ちょいと付き合ってくれや」
「これなのか?」
オカマポーズをする俺。
「アホか?アホなのか、オイ!」
「あんたにだけは言われたくねぇよ、アホ医者」
「あぁ!?んだとゴルァ!」
病室の出入り口から咳払いが聞こえた。
そちらの方を見ると院長が怖い表情をしてこちらを睨んでいる。
「「す、すいませんでしたー」」
美紅姉が苦笑いをする。
採血終了。
「ほんじゃ、行くか」
「あ、あぁ」
「じゃあね、晃」
「おう、また来るぜ美紅姉」
バイバイと手を振ると病室を出る。
「屋上、来てくれや」
ガルシアが階段の方を指で指し示す。
屋上?あぁ、誰もいないからか。
階段を上って屋上へ向かった。
「で、なんなんだ?」
「担当直入にいうぜ、オイ。2度は言わねぇからな」
途端真面目な医者のような雰囲気に変わるガルシア。
「あ、あぁ…」
屋上の方が風が強く、バタバタと敷き布団や患者の服などがはためく。
少し大きめの声でないと、聞こえないような状況ではあったが、ガルシアが言った言葉は風の音など関係なく
嫌にはっきりと聞こえた。
「早乙女美紅。長くてあと、1ヶ月だ」
次の投稿日などは未定であり
年単位で間がある可能性も(それはそれでヤバい)
ひょこっと現れては続きを書いていきますので、待ち続けていただければ嬉しいのです。
安定のマイペース更新ですがよろしくお願いします。(ペコっ